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GREEK TO ME
カンマの女王のギリシャ語をめぐる向こう見ずで知的な冒険
原書: GREEK TO ME
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年1月15日
- 書店発売日
- 2023年12月27日
- 登録日
- 2023年12月18日
- 最終更新日
- 2024年3月5日
紹介
知的好奇心が人生を決める。
この人の場合、対象はギリシャ語だった。
ぼくも同じ道を歩いたから喜びがよくわかる。
──池澤夏樹
伝統ある雑誌「ニューヨーカー」で24年間にわたり校正係を勤めた“カンマの女王”こと、メアリ・ノリス。
彼女が生涯をかけて愛してきたギリシャ語、ギリシャ神話、ギリシャのすべてについて、
あふれる愛とともに語ります。
オハイオ州の田舎に生れ、語学なんて苦行だとしか思っていない消防士の父のもとで育ったノリス。
ラテン語を学ばせてもらえなかったことから始まった彼女のギリシャ語との出会いは、
ある日偶然モンティ・パイソンがギリシャ神話をネタにした映画を見て、
ふとギリシャにゆきたいと思ったこと。
上司で大のギリシャびいきのエドに導かれ、ギリシャ語の世界に身も心も夢中になって──。
女神アテナに自分をなぞらえた学生時代のこと。初めてのギリシャ旅行のこと。
ギリシャ悲劇を通じて、母との関係を見つめ直せたこと。
コンプレックスだった自分の容姿の話題からも自由になれたこと。
憧れの作家に会いに行ったこと。
アルファベット順の歴史、ギリシャ文字の英語読みとかのウェブスターの関係、
ギリシャ由来の英語のあれこれなどなど、十分すぎる語学蘊蓄とともに描く、
全語学好き、ギリシャ好き、英語好きに送る、一気読み必至の名エッセイ!
[「It's Greek to me.」=「(ギリシャ語みたいに)ちんぷんかんぷん」という意味の英語の慣用句]
目次
序章 祈り
第1章 アルファからオメガまで
第2章 AはアテナのA
第3章 生きていたって死んでいたって
第4章 愛しのデメテル
第5章 悲劇好き
第6章 アフロディテと泳ぐ
第7章 アクロポリス・ナウ
第8章 海!海!
謝辞/訳者あとがき
前書きなど
どこかに行きたい欲求がすべて満たされなくても、旅に出たことでギリシャにまつわるあらゆるものを求める気持ちが以前よりもいっそう研ぎ澄まされた。またここに戻って来るという決意を胸にわたしは帰国の途についた。古代ギリシャ語を学んで古典にも取り組もう。それからわたしはホメロスの原典に夢中になった。土地や海、言葉、文学に親しんでギリシャ気質を自分に染み込ませてギリシャ人になれたらいいのに。せめて、ギリシャ人とまちがえられるぐらいにはなりたい。オデュッセウスはわたしの英雄だ。そして彼のように、わたしにも女神アテナがついていてくれたらいいのに。なんといっても彼女は学習の守護神なのだから。わたしだって、魂だけならきっとギリシャ人になりきれる。(「第2章 AはアテナのA」より)
版元から一言
校正者の舞台裏を描いた『カンマの女王』(柏書房、2020年)で日本にも紹介されたメアリ・ノリスの第2作は、自身が愛してきたギリシャ語の世界をたっぷり描いたエッセイです。ギリシャ語のアルファベットが英語のものと違う経緯や、ギリシャ文字の英語読みにウェブスター辞書で知られるウェブスター氏が与えた影響、英語の語彙のなかにいかにギリシャ語由来のものが数多くあるか、などなど語学好きならではの蘊蓄とともに、情熱的にギリシャ語とギリシャの世界を愛していた人生の素晴らしさが描かれます。
幼くして亡くなった兄と、母と自分との蟠りを含んだ関係が、ギリシャ悲劇の世界にどっぷりつかり(社会人入学で入った大学で学生演劇に参加する)、ギリシャ旅行で神話の土地に実際に触れることでほぐれてゆく経験。語学への理解なんてまったく持ち合わせていない田舎の家族を離れ、都会で生きてゆくときに支えになった「女神アテナ」というロールモデル。美の女神アフロディテの土地、キプロスを旅しながら、容姿へのコンプレックスから自由になっていったこと。
外国語の世界、異なる文化の世界に好奇心ひとつで夢中になることが、いかに人生を豊かにするか、身をもって読ませてくれるエッセイです。
上記内容は本書刊行時のものです。