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キェルケゴールは反ヘーゲル主義者だったのか?―彼のヘーゲルへの関わりを再吟味する―
- 初版年月日
- 2023年9月20日
- 書店発売日
- 2023年9月8日
- 登録日
- 2023年8月11日
- 最終更新日
- 2023年12月26日
紹介
キェルケゴールは反ヘーゲル主義者だったのか? この古くて新しい論争に関わる論題について,数多くの資料を渉猟しつつ,キェルケゴールによるヘーゲル批判は,実はデンマーク黄金時代におけるヘーゲル主義哲学受容(者)に向けられたものであることを論証。世界のキェルケゴール研究に大きな示唆を与えた注目の書の全訳。
目次
序 論
第一節 キェルケゴールのヘーゲルへの関係の標準的な見解
第二節 トゥルストルプによる標準的見解の基礎づけ
第三節 トゥルストルプ以降のこの問題の受容
第四節 提言と方法論的考察
第1章 キェルケゴールとデンマークのヘーゲル主義
第一節 プロイセンとドイツ諸邦におけるヘーゲル主義の右派と左派
第二節 デンマークのヘーゲル主義者
第三節 デンマークにおけるヘーゲルに対する批判者
付録―歴史と伝記の概観
第2章 『まだなお生ける者の手記より』と初期作品におけるヘーゲルの痕跡
第一節 「女性の優れた能力に対するもう一つの弁護」におけるヘーゲルの不在
第二節 ヘーゲルと、キェルケゴールの初期の段階理論
第三節 『新旧地下石鹸屋の間の争い』におけるフォン・スプレングゴーセン氏
第四節 ハイベァの『ペルセウス』と『まだなお生ける者の手記より』
第3章 アイロニカルなテーゼと『皮肉(アイロニー)の概念』におけるヘーゲルの存在
第一節 アイロニカルなテーゼ
第二節 自らのヘーゲル主義についてのキェルケゴール自身の評価
第三節 テキストの構造
第四節 ヘーゲルによるダイモーンの説明
第五節 ヘーゲルによる他の古代ギリシア学派に対立するものとしてのソクラテスの説明
第六節 ヘーゲルによる道徳の創始者としてのソクラテスの説明
第七節 ヘーゲルによる皮肉(アイロニー)と皮肉的主体(アイロニーの主体)の説明
第八節 ヘーゲルによるロマン主義的アイロニー(皮肉)の批判
第4章 ヘーゲルの止揚とキェルケゴールの『これか―あれか』
第一節 「これか―あれか」という表題とその起源
第二節 排中律の止揚(Aufhebung)の問題
第三節 芸術作品とその弁証法
第四節 『アンチゴネー』の二つの解釈
第五節 結婚の美的妥当性―「愛の弁証法」
第5章 『ヨハネス・クリマクス、別名デ・オムニブス・ドゥビタンドゥム・エスト』におけるキェルケゴールによるマーテンセンへの論争
第一節 題名におけるマーテンセンへの暗示
第二節 キェルケゴールによる絶対知の検討
第三節 個人と懐疑することによる哲学の主体的
第四節 ヘーゲルの「感覚的確信」論をキェルケゴールが自分のものとしていること
第6章 キェルケゴールの反復とヘーゲルの弁証法的媒介
第一節 『デ・オムニブス』における意識という矛盾
第二節 倫理的な概念としての反復
第三節 反復、媒介、論理学における運動
第四節 宗教的な概念としての反復
第7章 道徳的良心に関するヘーゲルの見解とキェルケゴールのアブラハム解釈
第一節 「序言」におけるデカルトとマーテンセン
第二節 問題一―殺人者ザントとキェルケゴールのアブラハム
第三節 問題二―絶対的な義務および内的なものと外的なもの
第四節 問題三―伝達と正当化の問題
第8章 マーテンセンの内在論と『哲学的断片』におけるキェルケゴールの超越
第一節 逆説と媒介
第二節 様相範疇
第三節 歴史における必然性
第四節 絶対的方法
第9章 『不安の概念』におけるアズラーとの論争
第一節 現実性と論理学および実存の領域
第二節 直接性と信仰
第三節 宥和と媒介
第四節 論理学における運動
第五節 量、質、飛躍
第六節 無垢と直接性
第10章 『序言』におけるハイベァとの論争
第一節 『序言』直前までのキェルケゴールのハイベァに対する関係
第二節 体系哲学、そして『序言』を一つの作品として把握すること
第三節 「序言Ⅰ」における体系への言及
第四節 「序言Ⅵ」における体系的傾向への言及
第五節 「序言Ⅶ」におけるヘーゲルと媒介
第六節 「序言Ⅷ」におけるヘーゲルとヘーゲル主義者たち
第11章 主体的思考と客観的思考―『後書』におけるヘーゲル…
第一節 『後書』の真のターゲット
第二節 思弁哲学と永遠の浄福
第三節 思弁哲学とキリスト教の逆説
第四節 思弁哲学によるキリスト教の概念的理解
第五節 思弁哲学と自己の忘却
第六節 無前提の始めに対する批判
第七節 世界史的パースペクティブに対する批判
第八節 思惟と存在の統一に対する批判
第九節 思弁哲学と排中律
第一〇節 体系における倫理の不在
第12章 アズラーの混乱とヘーゲル哲学の帰結
第一節 キェルケゴールのアズラーとの接触
第二節 止揚された概念としてのキリスト教
第三節 アズラーが自らの啓示を説明しようとする試み
第四節 アズラーと、ヘーゲルにおける倫理の欠如
第13章 『死に至る病』におけるキェルケゴールの絶望の現象学
第一節 思弁的思考による誤った道徳心理学
第二節 罪を理解しようとする見当違いな試み
第三節 合理的神学、あるいは牧師による信仰の合理的正当化
第四節 マーテンセンと神-人
第五節 アンチ・クリマクスの弁証法と現象学弁証法
第14章 キェルケゴールと一九世紀大陸哲学の展開―結論、反省、再評価
第一節 本研究の結論――概観の試み
第二節 一九世紀大陸哲学史のスタンダードな図式
第三節 スタンダードな図式に対する本研究の結論
第四節 キェルケゴール、ヘーゲル、一九世紀大陸哲学の性質
上記内容は本書刊行時のものです。