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増補版 熊野・新宮の「大逆事件」前後 辻本雄一(著/文) - 論創社
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増補版 熊野・新宮の「大逆事件」前後 (ゾウホバン クマノ ニイミヤノ タイギャクジケン ゼンゴ) 大石誠之助の言論とその周辺 (オオイシセイノスケノゲンロントソノシュウヘン)

社会一般
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発行:論創社
四六判
縦194mm 横135mm 厚さ41mm
712ページ
上製
価格 5,000円+税
ISBN
978-4-8460-2331-7   COPY
ISBN 13
9784846023317   COPY
ISBN 10h
4-8460-2331-1   COPY
ISBN 10
4846023311   COPY
出版者記号
8460   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年1月10日
書店発売日
登録日
2023年12月15日
最終更新日
2024年1月15日
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紹介

本書を推す!辻原登[作家]
大逆事件の「前夜」と「事件以後」が、豊富な資料と証言、犀利な分析によって正確・精細に描かれる。当時の新宮を中心とする時空間が生々と甦って来る。

すると、「事件」そのものではなく、「事件」の真実が姿を現わしはじめるのだ。事実ではなく、真実が。

目次

序   辻原 登 

    山泉 進 

第Ⅰ部

 第一章 「大逆事件」と紀州新宮 

 1 「大逆事件前夜」 

 2 或る地元知識人の日記から 

 3 種々の「後遺症」 

 第二章 禄亭と寒村――廃娼論議をめぐっての絆 

  【資料】「紀伊の人びと」(1)~(5)東京 荒畑寒村 

 第三章 大石誠之助の言論にみる「半島的視座」と現代――「大逆事件前夜」の紀州新宮 

第Ⅱ部

 第四章 「毒取る」大石誠之助と被差別部落のひとびと 

 1 ドクトル大石、その人柄 

 2 無請求主義と医療制度批判 

 3 貧者へのまなざし 

 4 中上健次のドクトル評 

 第五章 禄亭大石誠之助の視た日露戦中・戦後の熊野新宮の諸相 

       ――『牟婁新報』紙への係わりと、書かれざりし「熊野放棄論」の行方

 前説――幻の「熊野放棄論」 

 1 誠之助年譜の欠落事項――建物寄付願いの却下と被差別部落論 

 2 日露戦中・戦後の熊野における「公共事業」 

 3 廃娼論議――実業派、改革派を超えて 

 

終説――沖野・高木との連携に向けて 

 第六章 一九〇八、〇九年における、大石誠之助と沖野岩三郎との接点 

       ――「新宮はソシアリズムと耶蘇教と新思想との牢ひとや獄なるかも」考

 はしがき――明治末新宮の〈文化状況〉に向けて 

 1 沖野の着任と、禄亭・顕明との紐帯 

 2 〈国体論〉をめぐって 

 3 幸徳秋水の来訪とその後 

 4 〈新思想〉と若者たち 

 5 一九〇九年の軌跡 

 おわりに――『サンセット』の挫折 

  【付 載】 『大石誠之助全集』逸文とテキスト問題 

  【資料1】 大内青巒論(下)  (『日出新聞』明治四十一年八月二日付)  

  【資料2】 寄書 法律的社会主義を読みて (『熊野実業新聞』明治四十一年九月二十四日付)  

  【資料3】 翻訳 露西亜より (『熊野実業新聞』明治四十二年五月二十二日付 二千号記念号)

   大石誠之助の新発見資料を読んで 

  【資料】疾病に現はれたる造化の目的(上)(下)  大石禄亭 

  『大石誠之助全集』全二巻未収録作品一覧 

第Ⅲ部

 第七章 高木顕明の紀州新宮時代 

 はじめに 

 1 明治末の新宮概観 

 2 虚心会のころ・間宮小五郎の影響 

 3 来訪者の系譜・主に大内青巒批判 

 4 新宮中学の同盟休校 

 おわりに 

 第八章 「大逆事件」と成石兄弟 

 1 「大逆事件」への展開と「紀州グループ」 

(1)  「大逆事件」への展開 

(2)  石川啄木の慧眼 

(3)  成石平四郎と新村忠雄 

(4)  成石兄弟、逮捕までの動向 

 2 成石平四郎のこと 

(1)  毛利柴庵の影響 

(2)  獄中での仏教思想 

 3 成石勘三郎の獄中記から 

(1)  獄中記に見る生い立ちと嘆願書 

(2)  「回顧所感」の内容 

(3)  親友庄司富八郎追悼 

 4 遺家族たちの動向 

(1)  処刑後の動き 

(2)  娘意知子のことなど 

(3)  最近までの動向 

第Ⅳ部

 第九章 堺利彦(枯川)、ふたたびの「熊野行」――遺家族慰安の旅の途中で 

 はじめに 

 1 「売文社」と奥栄一のこと 

 2 「自転車」で風を切って 

 3 堺利彦の「新宮行」 

 4 堺の遺家族慰安の旅 

 5 堺利彦の小品「まぼろし」 

 第十章 西村伊作・「冬の時代」その「思想的」断片 

 1 自筆履歴書について 

 2 社会主義系雑誌にみる若き日の貌 

 3 雑誌『科學と文藝』創刊への関与ほか 

 4 「初めての小説」 

 第十一章 熊野における「大逆事件」余聞 

       ――漱石の俳句と大石ドクトル一統、そして中上文学へ

 1 漱石の縁者が「大逆事件」関係者へ嫁ぐ 

 2 誠之助の姉睦世はしっかり者のキリスト者 

 3 玉置家の人々と中上健次の文学 

 4 「大逆事件」から「路地解体」への道すじ 

 5 誠之助の妻や一統の人々は「事件後」を毅然として生きた 

第Ⅴ部

 第十二章 大石誠之助における「信仰」の問題 

 はじめに 

 1 誠之助とキリスト教・兄余平の影響 

 2 「大逆事件」・獄中の誠之助・刑死とその後 

 第十三章 大石誠之助の獄中落書きに寄せて 

 第十四章 在米・岩佐作太郎の京都帝大学生宛の「公開状」 

 「公開状」(抄)  

 第十五章 熊野川を遡る「新思想」 

 第十六章 牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く 

       ――「大逆事件」との遭遇と熊野・新宮時代

 はじめに―「有りの儘」と「萬年筆と原稿紙の生まれた話」 

 1 「懸賞小説に当選して 応募について」の感想から 

 2 新聞連載時改稿と作品「宿命」の問題 

 3 新宮時代の初期作品から 438

 4 与謝野晶子来訪の問題 442

 5 「細部」の「事実」から読む「宿命」 

 6 「沖野神話」のひとり歩き 

 おわりに 

  第十六章付表・牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く(含・関連年譜)  

 第十七章 与謝野寛の詩「誠之助の死」成立にみる、晶子の「大逆事件」 

 1 一九一五(大正四)年三月、晶子「熊野行」の意味 

 2 「誠之助の死」成立の背景 

 3 与謝野夫妻と沖野岩三郎の文学的出発 

  【付・参考資料】 

 第十八章 「大逆事件」の受刑者たち 

       ――いわゆる「紀州グループ」と言われた人たちをめぐって

 はじめに 

 1 「犠牲者」六名の人と為り 

 2 六名のその後 

 3 成石勘三郎の「獄中手記」と崎久保誓一の「名誉回復」への願い 

 4 再審請求と棄却の問題 

 おわりに 

 第十九章 「大逆事件」と熊野の人びとの「現代」 

 はじめに 

 1 「大逆事件」とは―石川啄木の慧眼 

 2 「大逆事件前夜」の熊野新宮 

 3 犠牲者の名誉回復から大石名誉市民の実現まで 

 第二十章 大石誠之助の名誉市民実現をめぐって 

 1 「咽のど喉に刺さったトゲ」 

 2 反骨の榾火―大石誠之助の名誉市民推挙を支える信念 

 3 大石誠之助、名誉市民実現に際して 

 4 〔年表〕 大石誠之助・新宮市名誉市民実現までの道のり 

 第二十一章 熊野反骨の系譜 

 1 十津川からの「眼差し」―文武館と「隠岐コミューン」と新宮でのキリスト教受洗 

 2 畑下(山口)熊野の自由民権運動時代 

 3 自由民権運動と熊野地方 

 4 印東玄得のこと―追悼碑建立の「気骨」の裏側で 

 5 印東熊児が古河力作に贈った「豆本聖書」 

 6 異境の地での「大逆事件」研究―仲原清のこと 

 7 「発禁・熊野誌」六号への濱畑榮造氏の書き込み 

 8 「煉瓦の雨」の下敷きになった大石余平の最期 

 9 死刑判決を報じる、幻の「熊野日報」の号外 

 10 「大逆事件」を機に追放された教師たち―八十三年前の「新聞投稿」に触発されて 

 11 西浦宇吉の歩み 597

 12 沖野岩三郎の「紀南半島夜話」―大石誠之助と津田長四郎への追悼文 

 13 崎久保誓一、名誉回復への願い 

 14 坂本清馬、「大逆事件」再審請求の執念と棄却 

 15 戦争の最中、玉置酉久の讃美歌に誘われて 

 16 佐藤春夫の父豊太郎の「懸泉堂割譲」への反発 

 17 佐藤春夫、「老父の賜物」、中国趣味と「強権」への抗いと 

 18 在野の東欧文学研究・エスペランチスト栗栖継・『真実へのひとり旅』  

 19 伊達李俊の悲劇 

 20 管野須賀子の「針文字」展示 

 21 没後20年の中上健次 

 22 抵抗の画家・石垣栄太郎は熊野人 

 23 反戦平和の信念を貫いた女性・北林トモ 

 24 「人権を取り戻す」―果敢に闘った木村亨 

 25 堺利彦の故郷、みやこ町・豊津を訪れて 

 第二十二章 書評など 

 1 新たな「大逆事件問題」を提起―田中伸尚著『大逆事件―死と生の群像』を読んで 

 2 I am only a free thinker ―黒川創著『きれいな風貌―西村伊作伝』を読む 

 3 峰尾節堂のこと―田中伸尚著『囚われた若き僧峯尾節堂 未決の大逆事件と現代』を読む 

 大石誠之助とその周辺・関連年譜 

 旧版・あとがきに代えて 

 「あとがきに代えて」の後で 

著者プロフィール

辻本雄一  (ツジモトユウイチ)  (著/文

1945 年和歌山県新宮市の生まれ。早稲田大学国文科卒。和歌山県南部の県立高校で国語科教師、特に母校の新宮高校では27 年間勤務、『新高八十年史』(県立新宮高校同窓会刊)の編纂に関与。新宮市の県立みくまの養護学校校長を最後に定年退職。

1989 年、新宮市の佐藤春夫記念館開館に伴い、展示計画から係わり、同記念会の理事を歴任、退職後の2007 年9 月から館長。館の図録『佐藤春夫・芥川龍之介展』『新編図録佐藤春夫』『佐藤春夫と西村伊作展』『許されざる者の世界と辻原登文学ワールド』などを編集。また、『熊野誌』39 号「特集中上健次」(1994 年2 月)や54 号「「大逆事件」と熊野の現代」(2008 年9 月)の編集等に関与。『新宮市史資料編』・『本宮町史』・『鵜殿村史』などの編集委員。

作家中上健次が主宰して、1990 年新宮に開講した熊野大学に、準備段階から運営委員として参画。2001 年に設立された新宮市の「「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会」顧問。

日本文学協会、日本社会文学会、初期社会主義研究会、大逆事件の真実をあきらかにする会などの会員、各機関雑誌に論文を発表。
共同執筆書に『「改造」直筆原稿の研究』(2007 年・雄松堂出版)・『伊勢志摩と近

代文学』(2009 年・和泉書院)・『大逆事件と大石誠之助』(2011 年・現代書館)・『海の熊野』(2011 年・森話社)など。

講演録として『「大逆事件」と熊野新宮の犠牲者たち―大石誠之助の名誉市民実現

まで』(2020 年、和歌山人権研究所)。

監修本に『佐藤春夫読本』(2015 年・勉誠出版)、近刊予定に『能火野人・佐藤春

夫―能火野人とは熊野人の謂いなり―』(和泉書院)。

上記内容は本書刊行時のものです。