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デジタル権威主義 大澤 傑(編著) - 芙蓉書房出版
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デジタル権威主義 (デジタルケンイシュギ) 技術が変える独裁の“かたち” (ギジュツガカエルドクサイノカタチ)

社会科学
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A5判
272ページ
並製
定価 3,000円+税
ISBN
978-4-8295-0885-5   COPY
ISBN 13
9784829508855   COPY
ISBN 10h
4-8295-0885-X   COPY
ISBN 10
482950885X   COPY
出版者記号
8295   COPY
Cコード
C3031  
3:専門 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年9月11日
書店発売日
登録日
2024年7月18日
最終更新日
2024年10月18日
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紹介

跳梁跋扈する独裁国家
民主主義崩壊の危機に喘ぐ西側世界
デジタル技術は政治の未来をどう変える?
気鋭の研究者14名による最新論考を一挙収録!
デジタル技術を利用し世界に拡散する権威主義の猛威。
民主主義の未来は果たして……?

●目次●
序 章 デジタル権威主義の分析枠組み             
第1章 中国の「デジタル権威主義」              
第2章 ロシアにおけるデジタル権威主義
コラム 日本のサイバーセキュリティ政策
第3章 中東におけるデジタル権威主義
第4章 東南アジアにおけるデジタル抑圧および影響力工作と市民社会
コラム 台湾のサイバー空間における脅威と対策
第5章 ラテンアメリカの権威主義体制とデジタル技術
第6章 ウガンダにおけるデジタル権威主義
コラム 情報通信技術と権威主義の相性
第7章 サイバー国際規範をめぐる交錯
第8章 SNSは権威主義に対する支持を高めるのか
第9章 ソーシャルメディアを活用した反政府運動が権威主義に対抗する方法
終 章 デジタル権威主義論再考

●編著者プロフィール
・大澤 傑(おおさわ すぐる)愛知学院大学文学部英語英米文化学科准教授

●執筆者・翻訳者プロフィール(掲載順)
・五十嵐 隆幸(いがらし たかゆき)防衛研究所地域研究部中国研究室専門研究員
・岡田 美保(おかだ みほ)防衛大学校総合教育学群教授
・野呂瀨 葉子(のろせ ようこ)防衛大学校防衛学教育学群戦略教育室准教授
・溝渕 正季(みぞぶち まさき)明治学院大学法学部准教授
・木場 紗綾(きば さや)神戸市外国語大学国際関係学科准教授
・荊 元宙(Jin Yuan-Chou)台湾国防大学政治作戦学院中共軍事事務研究所副教授兼所長
・大場 樹精(おおば こだま)獨協大学国際教養学部言語文化学科専任講師
・ムバンギジ・オドマロ(Odomaro Mubangizi)プロポーズド・ヘキマ大学副学長兼教務部長(ケニア)
・サリ・ヴィック・ルクワゴ(Ssali Vick Lukwago)愛知学院大学文学部英語英米文化学科外国人教師
・持永 大(もちなが だい)芝浦工業大学システム理工学部准教授
・原田 有(はらだ ゆう)防衛研究所 政策シミュレーション室・サイバー安全保障研究室 主任研究官
・寺田 孝史(てらだ たかし)防衛大学校防衛学教育学群統率・戦史教育室准教授
・横尾 俊成(よこお としなり)慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

目次

序 章 デジタル権威主義の分析枠組み
―デジタル技術が権威主義体制の安定化/不安定化にもたらす効果―
1.はじめに
2.本書の意義
3.デジタル技術と政治体制
4.権威主義の体制維持に対する国際関係の影響
5.分析枠組みの構築
6.本書の構成
7.おわりに

第1章 中国の「デジタル権威主義」
―「中国式の統治システム」は、なぜ民主主義に対する脅威と言われるのか―
1.はじめに
2.中国政府によるインターネット環境の構築過程
3.中国のデジタル技術を利用した統治の強化
4.世界へと広まる「中国式の統治システム」
5.中国の「デジタル権威主義」とは何か
6.おわりに

第2章 ロシアにおけるデジタル権威主義
―なぜ反戦は反プーチンにならないのか?―
1.はじめに
2.開戦前
3.開戦後
4.おわりに

コラム1 日本のサイバーセキュリティ政策

第3章 中東におけるデジタル権威主義
―デジタル抑圧、地政学、「監視資本主義」―
1.はじめに
2.中東の権威主義体制はなぜかくも頑健なのか?―抑圧・懐柔・正統化
3.地政学・グローバル資本主義・情報生態系
4.中東におけるデジタル権威主義―サウジアラビアを中心に
5.おわりに

第4章 東南アジアにおけるデジタル抑圧および影響力工作と市民社会
1.目的
2.東南アジアのデジタル権威主義に関する先行研究
3.デジタル抑圧と社会運動、市民の反応:タイの事例
4.中国からの影響力工作:フィリピンの事例から
5.結論

コラム2 台湾のサイバー空間における脅威と対策

第5章 ラテンアメリカの権威主義体制とデジタル技術
―権威主義化が進むエルサルバドルを事例として―
1.はじめに
2.1980年以降のラテンアメリカ政治
3.エルサルバドル・ブケレ政権の権威主義化
4.おわりに

第6章 ウガンダにおけるデジタル権威主義
―ハイブリッド独裁国家におけるソーシャルメディアを巡る駆け引き―
1.はじめに
2.デジタル権威主義の概要
3.ウガンダにおけるハイブリッドデジタル権威主義政権の形成
4.おわりに

コラム3 情報通信技術と権威主義の相性

第7章 サイバー国際規範をめぐる交錯
―権威主義陣営と民主主義陣営のすれ違い―
1.はじめに
2.「場」をめぐる争い
3.「内容」をめぐる争い
4.交錯する2つの陣営のプラグマティックな態度
5.おわりに

第8章 SNSは権威主義に対する支持を高めるのか
―権威主義的パーソナリティ研究から考える―
1.はじめに
2.権威主義的パーソナリティ概念
3.分析枠組み
4.SNSは権威主義を支持する過程にどのように影響を及ぼすのか
5.おわりに

第9章 ソーシャルメディアを活用した反政府運動が権威主義に対抗する方法
―フレーム、資源、レパートリーによる国際連帯モデル―
1.はじめに
2.先行研究の整理
3.香港における反送中運動と権威主義
4.マレーシアにおけるブルシ2.0運動と権威主義
5.SNSを活用した反政府運動は権威主義に抗いきれるのか

終 章 デジタル権威主義論再考
―デジタル技術と政治体制の関係を問い直す―
1.各章の振り返り
2.比較分析
3.デジタル技術と独裁者―「デジタル権威主義」という概念
4.今後の研究課題
5.結びに代えて

前書きなど

本書「はしがき」より
デジタル技術と権威主義が結び付けられるようになって久しい。そこでは、デジタル技術が独裁者の権力を強化し、それによって彼らが民主主義国家にハイブリッド戦を仕掛けるという「固定観念」ともいえる構図がある。「デジタル権威主義」という用語も「バズワード」化しているとさえいえる。
しかし、もともとデジタル技術は市民に開かれた討議を促し、政治行政の透明性を高め、民主主義に資すると考えられていた。また、サイバー攻撃そのものも、民主主義や権威主義といった政治体制とは無関係に、各国の安全保障戦略に基づいて展開されている。にもかかわらず、(特に国際政治の分野で)「デジタル民主主義」について語られることが多くない一方で、デジタル技術と権威主義を結び付けた「デジタル権威主義」という用語に注目が集まる理由は何か。そもそも「デジタル権威主義」とは何なのか。真にデジタル技術は、民主主義ではなく権威主義に利するのか。もしそうだとすれば、独裁者はデジタル技術をどのように使いこなし、体制を維持しているのか。そして、彼らはどのような行動原理で他国にハイブリッド戦を仕掛けるのか。本書は、これらについて事例と理論を用いて多角的に問い直す試みである。
進化し続けるがゆえに、デジタル技術と政治体制の関係を捉えることは困難な試みである。しかし、本書をきっかけとして読者の皆様が「デジタル権威主義」の輪郭を捉え、そこから現代国際政治についての議論を深めていただければ幸甚である。

版元から一言

民主主義を強化すると思われたデジタル技術が今、権威主義体制にとって有益な道具となっている。国民監視、国内情報の統制、他国への偽情報や陰謀論の拡散とハイブリッド戦…。技術の発達が権威主義体制の基盤をますます盤石にしつつあるようだ。とすれば、権威主義を振りかざす独裁者はどのようにデジタル技術を使いこなしているのか。また、その行動原理とはいかなるものか。
進化し続けるゆえに、いまだ発展途上の段階にあるデジタル技術と政治体制の関係を明らかにできないか。本書は、「デジタル権威主義」の輪郭を捉え、現代国際政治の議論を深めるための一冊である。

著者プロフィール

大澤 傑  (オオサワ スグル)  (編著

大澤 傑(おおさわ すぐる)
愛知学院大学文学部英語英米文化学科准教授
博士(安全保障学)
主著に、『「個人化」する権威主義体制―侵攻決断と体制変動の条件―』(明石書店、2023年)、「ニカラグアにおける個人化への過程―内政・国際関係/短期・長期的要因分析」『国際政治』第207号(2022年3月)=第15回「日本国際政治学会奨励賞」受賞=、『独裁が揺らぐとき―個人支配体制の比較政治―』(ミネルヴァ書房、2020年)=2021年度「ラテン・アメリカ政経学会研究奨励賞」受賞=、『米中対立と国際秩序の行方―交叉する世界と地域―』(東信堂、2024年(共編))など

上記内容は本書刊行時のものです。