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新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす 水野 玲子(著) - 七つ森書館
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新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす (シンノウヤクネオニコチノイドガニホンヲオビヤカス) もうひとつの安全神話 (モウヒトツノアンゼンシンワ)

自然科学
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発行:七つ森書館
四六判
208ページ
並製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-8228-1256-0   COPY
ISBN 13
9784822812560   COPY
ISBN 10h
4-8228-1256-1   COPY
ISBN 10
4822812561   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2012年9月
書店発売日
登録日
2012年8月23日
最終更新日
2013年2月22日
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書評掲載情報

2012-11-25 朝日新聞
評者: 福岡伸一(青山学院大学教授)
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紹介

日本全国の2億匹のミツバチが1年で死んだ(2009年)。
その原因と推測されるのが、新農薬ネオニコチノイドだ。
この10年で3倍以上と、急速に日本で普及してきている。
人間への神経毒性があり、子どもたちの未来まで脅かされる恐れがある。
フランスではすでに禁止された、この新農薬の危険性を追及する。

目次

まえがき もうひとつの安全神話 

1 ミツバチの被害は人間まで
(1)ミツバチの被害はつづく  
    北海道上川郡和寒町──くり返されるミツバチ大量死 
    岩手県奥州市──2005年からつづくミツバチの大量死 
    長崎県県北3地域──ダントツの使用自粛を申し合わせる 
    長崎県壱岐島──自分の安全を守るためにも 
    神奈川県三浦市──260群のミツバチがほぼ全滅 
(2)日本のミツバチ被害の現状 
    2億匹のミツバチが1年で死んだ 
    各地のミツバチ被害 
     ◇2003年 熊本県
     ◇2005年 岩手県
     ◇2008年 北海道 
     ◇2010年 兵庫県 
(3)ネオニコチノイドによる被害は人間まで
    保育園児の頭上から空中散布──長野県上田市 
    農薬中毒で入院した娘──茨城県龍ヶ崎市 
    農薬中毒の患者が急増──群馬県前橋市 

2 新農薬ネオニコチノイドが日本を襲う  
(1)有機リンからネオニコチノイドへ 
    急速に広まった新しい農業 
    拡大するネオニコチノイドの使用 
     ◇家庭菜園・ガーデニング
     ◇ペット
     ◇米・果物・野菜
     ◇ゴキブリ・シロアリ
     ◇住宅建材
     ◇松枯れ防除 
(2)ニコチン──植物の化学兵器 
    ニコチンという毒素を用いた農薬 
    ネオニコチノイド開発の陰には多くの日本人が
(3)ネオニコチノイドの特徴  
    予想もできなかった影響が出る 
    神経を狂わすネオニコチノイド 
    弱毒性といわれた根拠──選択毒性
    ネオニコチノイドの代謝産物の毒性は高い 
    浸透性農薬の恐ろしさ──洗っても落ちない!
    イタリア科学者の挑戦 ネオニコチノイド農薬で種子処理された作物 
    日本の専門家も指摘する浸透性農薬の危険性 
    フィプロニル製品の販売停止─フランス 
    フランス食品衛生安全庁(AFSSA)はフィプロニルに係るEU評価意見書を公表 
    ザリガニ業者がバイエル社を提訴──米国ルイジアナ州で水系汚染 
    混ぜたら危険──複合毒性 
    土壌残留性と水系汚染 

3 進む海外の対応 
(1)世界のミツバチ被害の広がり 
    ミツバチ大量死の報告は後を絶たない  
    CCDから6年目を迎えた米国 
(2)米国の対応 
    農薬企業を守るのも、そろそろ限界か 
    米国の農薬登録の抜け穴 
    カリフォルニア州がネオニコチノイド禁止の旗振り 
    農薬企業の暗躍──イミダクロプリドの毒性試験が免除される 
    シエラ・クラブはEPA(米国環境保護庁)にニコチン系殺虫剤の禁止を要望する 
    EPAのOPP(農薬プログラム室)への要望書 
(3)諸外国の対応 
    フランス──ミツバチ問題を契機に農業の大転換  
    フィプロニルは南米でも 
    ドイツ──即座にネオニコ種処理剤の登録を一時中止 
    イタリア──種子処理禁止でミツバチが復活! 
    EUの対応
    イギリス─市民団体がEU農薬指令を批判して 
    中国・台湾 

4 封印される農薬説、日本──ミツバチを殺したのは誰?  
(1)日本の専門家によるストレス説 
     “農薬ムラ”は農薬主犯説を認めない 
    おざなりの農水省の対応
(2)新しいウイルス説で生じた混乱
    ミツバチ大量死の原因をめぐって 
    米国でも新ウイルス説が続々と登場
    複合要因という言い訳 
(3)農薬とミツバチをめぐる科学の現在 
    ミツバチ減少とCCDについて 
    ネオニコチノイドの急性・亜急性毒性 
    相乗効果、複合毒性 
    感染源との相互作用 ノゼマと農薬 
    多様な曝露経路 
    構造的偏り 
    脚光をあびたサイエンス論文 

5 農薬大国の日本  
(1)世界2位の農薬使用量 
    ネオニコチノイドの普及に邁進する農水省   
    農薬の登録と失効──知らないうちに消えていく農薬
(2)有機リンの大幅規制─EU、米国、日本 
    いまだ有機リン剤を使いつづける日本 
    有機リンの総量規制に向かう米国 
    群馬県は有機リンの空中散布を自粛 
    大型扇風機によるネオニコチノイド散布 
(3)日本のブドウの残留基準はEUの500倍 
    日本の農薬の残留基準が高い理由 
    国民が知らない間に残留基準緩和 
    農薬の空中散布
(4)ここまでわかった農薬の健康への影響 
    農薬によってもたらされる病気の数々 
    「農薬との関連が疑われている病気」 
    増えつづける発達障害──重金属や農薬、化学物質も疑われている 
    こんなに増えてよいのか、日本人の神経難病
(5)ミツバチもトンボも消え、そして人間も
    新潟から赤とんぼが消えた 
    植物も人も、生殖の手伝いが必要 
    生態系すべてに及ぶ、ネオニコチノイドの影響 

6 動き始めた市民運動と専門家たち
   ネオニコチノイド問題解決のために 
   ミツバチ助け隊 
   ミツバチDVDをつくった人たち 
   反農薬東京グループの地道な活動
   いち早く危険性を察知──日本有機農業研究会 
   NPO法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議の提言 
   「ミツバチを殺す新農薬」
   動き出した専門家たち 

参考文献 
あとがき

前書きなど

原発の安全神話は脆くも崩壊したが、もうひとつ、日本人の未来を危うくしている問題がある。「ネオニコチノイド系農薬」のことだ。放射性物質のように目に見えず、臭いもない。しかし今では、この目に見えない毒物が、米や野菜などの食べ物はおろか、住宅建材や家庭菜園やペットなど、生活のすみずみまで浸透している。こうしている間にも、ミツバチやトンボなどの昆虫や、昔ならどこにでもいたスズメや野鳥たちが、刻一刻、音もなく姿を消しつつあり、その勢いはさらに加速している。(「はじめに」より)

版元から一言

子どもの脳が危ない!  
『沈黙の春』から50年、ミツバチの大量死など新しい農薬の被害が生態系、人間にも広がりつつある。毒性の解説、大量使用を許す”農薬ムラ”の実態、禁止への国際的な動きの最新情報。──黒田洋一郎(脳神経科学者)

著者プロフィール

水野 玲子  (ミズノ レイコ)  (

1953年生まれ。上智大学文学部社会学科卒、同大学院修士課程修了。NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議(JEPA)理事。NPO法人化学物質による大気汚染から健康を守る会(VOC研)理事。第1回高木仁三郎市民科学基金の研究助成を受け、その後、次世代への影響など、子どもの健康と環境化学物質の問題に社会学的視点より取り組んでいる。主論文「霞ヶ浦、利根川河口地域における男児出生比率の低下」(「科学」2000)、“Male/Female Ratio of Fetal Deaths and Births in Japan”(The Lancet, 2000)、「出生性比と死産性比の変化」、「男の子はいずこへ」など。共著書『環境ホルモン』Vol. 1-4(藤原書店)、共訳書『レイト・レッスンズ―14の事例から学ぶ予防原則』(七つ森書館)など。

上記内容は本書刊行時のものです。