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RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる
- 書店発売日
- 2020年3月27日
- 登録日
- 2020年3月17日
- 最終更新日
- 2020年3月17日
書評掲載情報
2020-04-25 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
「超専門化」よりも、知識の「幅(レンジ)」のある人が成功する。
■世の中は、ますます複雑さを増している。それを反映するように、ビジネスでも、研究開発でも、大学教育でも、スポーツでも、さらには幼児教育でも、分野を狭い範囲に絞って深掘りする「超専門化」がもてはやされるようになっている。ところが、こうした「超専門化」が成功しやすい分野は、実は非常に限定されている(ゴルフやチェスなど、ルールが明確で、迅速かつ正確なフィードバックが得られる「学習環境が親切」な領域だけだ)。世の中の大半の領域は、状況が刻一刻と変わり予測不能な出来事が起きる「不親切な学習環境」にある。そこでは、「超専門化」した人よりも、多くの分野に精通し知識と経験の「幅<レンジ>」のある人のほうが成功しやすいことが、さまざまな調査や学術研究で裏付けられている。
幼い頃から英才教育を受け、若くしてプロゴルファーになり世界を席巻したタイガー・ウッズのようなサクセスストーリーにあこがれ、学ぼうとする人は多い。ところが、大半の人にとって、それは誤ったロールモデルであることを、本書は明解に示す。
■自分のキャリア形成を考えるとき、「1万時間の法則」「グリット」「早期教育」「ストレングス・ファインダー」などに目を奪われやすい。これらがもてはやされるのは、「効率が高い」「時間のムダがない」「近道」とされているからだが、実はこれらの手法がそぎ落とそうとしている「非効率な学習」「ムダな時間」「まわり道」にこそ、長期的に「真の価値」があることを、本書はさまざまな事例と科学的根拠をもとに解き明かす。
■今後のキャリア形成について考えているビジネスパーソン(研究者、スポーツ選手、音楽家etc)、進路について迷っている学生、子どもの教育方針について悩んでいる親や教育者など、幅広い分野の方々に参考になる内容になっています。
目次
はじめに タイガー・ウッズ vs ロジャー・フェデラー
Roger vs. Tiger
第1章 早期教育に意味はあるか
The Cult of the Head Start
第2章 「意地悪な世界」で不足する思考力
How the Wicked World Was Made
第3章 少なく、幅広く練習する効果
When Less of the Same Is More
第4章 速く学ぶか、ゆっくり学ぶか
Learning, Fast and Slow
第5章 未経験のことについて考える方法
Thinking Outside Experience
第6章 グリットが強すぎると起こる問題
The Trouble with Too Much Grit
第7章 「いろいろな自分」を試してみる
Flirting with Your Possible Selves
第8章 アウトサイダーの強み
The Outsider Advantage
第9章 時代遅れの技術を水平思考で生かす
Lateral Thinking with Withered Technology
第10章 スペシャリストがはまる罠
Fooled by Exper tise
第11章 慣れ親しんだ「ツール」を捨てる
Learning to Drop Your Familiar Tools
第12章 意識してアマチュアになる
Deliberate Amateurs
おわりに あなたのレンジを広げよう
Expanding Your Range
解説 中室 牧子(慶應義塾大学総合政策学部教授)
上記内容は本書刊行時のものです。