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プロレスの味わい
世界から地方に来て幸せになった男
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2025年3月12日
- 書店発売日
- 2025年3月14日
- 登録日
- 2025年1月16日
- 最終更新日
- 2025年3月13日
紹介
世界最大の団体、アメリカ「WWE」のスターにして、今は福岡の「九州プロレス」に所属。数々著作があり「文豪レスラー」の異名を持つプロレスラー・TAJIRIによる珠玉のエッセー集。
プロレスラーを目指した大学生の頃、メキシコでの貧乏修業時代からアメリカでの成功、そして帰国後の福岡への移住-。博多の街を自転車で駆け回るレスラーが、かつてのこと、日々の考え、未来の展望までを軽妙なタッチでつづる。
夜な夜な繰り出す街の酒場。九州プロレス所属レスラーとしての日々。今も海外を飛び回り、世界各地でプロレスをして、文章も書く。場所も関係ない。自分なりの一歩を踏み出すことで、人生は動き出していくのだ。
西日本新聞への連載を加筆・修正し、多くの書き下ろしも収録した全78編。
目次
2P まえがき
第1章 いま九州プロレスに
10P かけめぐる自由のママチャリ
13P 中洲の飲み屋 その1
15P 中洲の飲み屋 その2
18P 中洲の飲み屋 その3
20P ちゃんこ
22P 韓国のうまい店
24P カンジャンケジャン
26P ユッケ通り
29P 部隊鍋
31P 健康診断
33P 人前で緊張しない方法
35P やせる方法
37P 会場設営
39P プロレスラーの移動事情
第2章 プロレスラーを目指して
44P 学生時代のアルバイト…引っ越し屋 その1
46P 学生時代のアルバイト…引っ越し屋 その2
49P 学生時代のアルバイト…引っ越し屋 その3
51P 学生時代のアルバイト…西鉄二日市駅前ひさや
53P 学生時代のアルバイト…電話金融 その1
55P 学生時代のアルバイト…電話金融 その2
58P オレがプロレスラーになる前
60P サラリーマン時代
62P 仕事観
64P 入門志願者のさまざまなる履歴書
第3章 舞台は海外へ
68P 異国に来たことを実感した原体験
70P メキシコ その1
73P メキシコ その2
75P メキシコの仙人
77P ロッキーの低周波治療器
79P 海外の日本食 メキシコ
81P 国際電話
83P プロレス界お金事情
85P 北へ、北へ
87P アメリカの豊かさ
89P 車はご主人様から離れたくなかった…その1
91P 車はご主人様から離れたくなかった…その2
93P 世界最大のプロレス団体
96P 9・11
98P 海外の日本食 アメリカ・フィラデルフィア
101P 海外の日本食 アメリカ・ロサンゼルス
103P ワッフルハウス
第4章 プロレス深夜特急2023
106P 海外渡航
108P 旅のはじまり イタリア篇
110P イカつい男のお迎え デンマーク篇 その1
113P ここでも毒霧 デンマーク篇 その2
115P チャオ イタリア篇 その1
117P ほしくない イタリア篇 その2
119P 車でゴザル イタリアからフランス篇
121P 美食の国へ フランス篇 その1
123P ワインは水より安い? フランス篇 その2
125P 気楽に生きる島 マルタ篇 その1
128P 茶色の犬 マルタ篇 その2
130P 名物料理? イギリス篇 その1
132P プロレス会場にて イギリス篇 その2
134P 物価高 アメリカ篇 その1
136P 問題の核心 アメリカ篇 その2
138P プロレスの最終目的 アメリカ篇 その3
140P そして、帰国篇
142P 年末の風景 韓国篇
第5章 日々のこと、これからのこと
146P 夜の道場
148P 超平民感覚
151P カツラ
153P トーヨコの若者たち
155P 神業の鍼灸
157P カラスミの味
159P エコノミービジネスクラス
161P 年賀状
163P ありがとうございます
165P 手洗いとコインランドリー
167P 憧れの超人
170P ネット民
172P 今の世の中、梶原一騎が足りない
174P 人生の終着駅
176P 最果てのアジアンプロレス
178P 幸せに生きていくために必要なこととは
180P 故郷、その1
183P 故郷、その2
185P 故郷、その3
188P 「プロレスの味わい」刊行に寄せて
NPO法人九州プロレス理事長 筑前りょう太
前書きなど
2023年の秋。プロレスラーでありながら、新聞に随筆を連載するという重大任務を仰せつかってしまった。
どうしてそういうことになったのかというと、オレはプロレスと同時並行にあちこちへ文章を書いたり本を出したり、一応それをもなりわいとしている二足のわらじレスラーだからである。
そういう人は子供のころから文章を書くことが大好きで、なおかつ相当うまかったんだろうと皆さんは思われるだろうか。実は全然そうではなかった。それこそ小学生のときは、どんな名作を読んでも感想文に「ボクは」以降の一文字も書けないまま卒業式を迎えてしまったし、中学生のとき真冬の体育館で全校生徒が体育座りで見させられた映画「あゝ野麦峠」の感想文には「寒かった」とだけ書いて担任に呼び出された苦い思い出だってある。
ではそんなオレに、いつ何が起きて文章とお友達になったのか。2001年、一本の原稿依頼がきっかけだった。当時のオレはプロレスキャリア7年目。アメリカに住みWWEという団体に籍を置いていた時期。日本のプロレス雑誌から「アメリカでのプロレス生活レポートを」という依頼を受け、大学卒論以来に文章を書くことと相成ったのだ。身の回りに起きていることを淡々と書いてみた。だが、書き上がったものは少しも面白くない。なんでだろ? わかった。まず文章のリズムが悪い。さらには慣用句ばかりで独自性がない。そしてなにより、人間の心が描かれていない読み物は面白くもなんともないのであった。
そのとき思った。文章とプロレスは似ているな、と。書くだけ、闘うだけなら簡単だ。しかし良いものに仕上げるには表現の技術と工夫が必要となってくる。さらにはどちらもプロであれば「人様に見ていただく」ために存在しているという共通点まで発見した。最後は表現の巧拙がモノをいう世界。なのでそれ以来オレは常々公言しまくっている。「プロレスラーは表現者である」と。
本書は、プロレスという特殊な世界に身を置くこのオレが、そこで起きる日常の経験、それにより感じたこと、考えたことを表現した、78の物語である。50回続いた西日本新聞連載に加え、かなり多くのページを書き下ろしてもいる。手に取ってくださったあなたの、晩酌のお供にでもしていただけたら幸いである。
上記内容は本書刊行時のものです。