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土と脂 デイビッド・モントゴメリー(著/文) - 築地書館
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土と脂 (ツチトアブラ) 微生物が回すフードシステム (ビセイブツガマワスフードシステム)

自然科学
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発行:築地書館
四六判
縦195mm 横136mm 厚さ29mm
重さ 515g
416ページ
定価 3,200円+税
ISBN
978-4-8067-1669-3   COPY
ISBN 13
9784806716693   COPY
ISBN 10h
4-8067-1669-3   COPY
ISBN 10
4806716693   COPY
出版者記号
8067   COPY
Cコード
C0045  
0:一般 0:単行本 45:生物学
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2024年5月24日
最終更新日
2024年8月28日
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書評掲載情報

2024-10-05 毎日新聞  朝刊
評者: 中村桂子(JT生命誌研究館名誉館長)
2024-10-05 日本経済新聞  朝刊
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紹介

今も売れているベストセラー『土と内臓』の著者による最新作!!

内臓にある味覚細胞、健康な土、
身体に良い脂肪・悪い脂肪から、コンビニ食の下に隠された飢餓まで、
土にいのちを、作物に栄養を取り戻し、食べものと身体の見方が変わる本。

前著に続き、目からうろこが落ちる記述が満載!
◎相乗的に作用しあうファイトケミカル、ミネラル、脂肪。
◎植物は、体外に胃袋を持つ。
外部の胃袋としての根圏マイクロバイオームによって、体外で消化を行うのだ。
◎非菌根型菌類は有機物を分解し、植物が吸収できる形で栄養を放出する。
◎育種のベクトルを、収量から菌根菌、細菌との協力関係にシフトさせる。
◎農業政策は、公衆衛生と医療の重要な一分野。

目次

序章 「土壌の健康が食物の質に影響する」は本当か?
土壌生物がもたらす作物の健康
健康な土と良い食べものをつなぐ科学的な根拠
ジャンクフードの下に隠された飢餓

第1章 健康というパズルの重要なピース
食べものの役割に関心が薄い医学
「正しい食べもの」がかつて含んでいた栄養
収量という罠
隠れた飢餓─親より寿命が短くなるアメリカ人
食べものの栄養素密度を予防医学として考える
土壌の健康を通して農法を考える

土 SOIL

第2章 人は岩でできている
店頭のニンジンとホウレンソウの栄養価
岩を食べた植物を食べる人間
植物の生長と健康を支える極小のパートナー
土壌微生物の植物学的重要性に気づく
微生物は日和見主義の政治的同盟者
品種改良によるミネラル低下
単純な実験─ミネラルを土から作物へ運ぶ微生物の育て方

第3章 生きている土
食べものを疑ったイギリス人
農業慣行がつくる作物の健康と食品の栄養価
非現実的な神秘主義と合理的思考
緑の女王バルフォア
自分の農場を一大実験場に
有機農地のウシとニワトリ
微生物生態学の進歩が明かしたバルフォアの洞察の正しさ

第4章 慣行農業の行きづまり
土壌の健康は世代を超えた信託物
耕起による土壌生態系の破壊
耕起がもたらす菌根菌・細菌へのインパクト
土壌のジャンクフード─窒素肥料
植物の防御システムを解除する化学肥料
はびこる問題15年で広がった除草剤耐性雑草
グリホサート─鉱物元素を奪い植物を枯らす
もう一つの道─土づくりから始める

第5章 農民の医師
植物の根と菌根菌
作物の健康は菌類と腐植で成り立つ
ビタミンBを含まない化学肥料施肥の種
全粉粒パンには鉄が3倍、ビタミンBが7倍
白米の普及と脚気、2型糖尿病
手がかりを追って
戦時中に英国人の食事を変えた科学者
野菜や飲料水を汚染する硝酸塩
大量の窒素施肥がもたらすもの

植物 PLANT

第6章 植物の身体
土がなくても作れる有機作物?
植物の錬金術師─ファイトケミカル
作物の生長・収量と健康を混同する研究者
議論が終わらない理由
ファイトケミカルが有意に多い有機作物
農法による収量差と収益性

第7章 偉大なる園芸家
私たちの手作り野菜の栄養組成
タバコ・ロード農場の不耕起集約的野菜栽培
裸地を作らず、常に何かを栽培する
キノコが生える畑─森から土を入れる
歌うカエル(シンギング・フロッグズ)農場─アグロフォレストリーの野外実験
固定資産税を支払うため、不耕起栽培で年3回収穫
不耕起─土壌からの窒素流亡が起こらないわけ
慣行ブドウ園との土壌比較
土づくり─畑の生命の躍動を見守る
成功事例を小規模農場で再現する

第8章 堆肥が育てる地下社会
農業コンサルタントへの疑問
土壌比較調査
堆肥の力
ジョンソン=スー・バイオリアクターの発明
生産性をつかさどる菌類・細菌比
多様な菌類群集の速い推移
高まる関心

第9章 多様な植物由来の見過ごされた宝石
ワシントン大学薬草園
ファイトケミカルの種類は5万種
フラボノイド、カロテノイド、フェノール
ヒト細胞を浄化する抗酸化物質
抗酸化物質含有食品を健康のために食べる
食べる薬
薬理効果とトマト、チョコレート

動物 ANIMAL

第10章 沈黙の畑
農薬への曝露
農家以外の農薬曝露は食事から
害虫への対抗手段としてのファイトケミカル
抵抗の根─多様性で病害虫防除
農務省を辞めて自分で研究農場を始めた昆虫学者
昆虫群衆の相互関係
農学の研究制度の壊滅を思い知る
そろそろ変わるときだ
生き物の賑わいが戻った研究農場

第11章 地の脂
マイクロバイオームの大部分を収めた生態系
脂肪が人体を支配する
地の脂が乳となり人間になる
トウモロコシを食べるウシ
食餌で変わる牛乳の中身
オメガ6と共役リノール酸
バターとチーズとファイトケミカル
乳牛の健康問題

第12章 肉の中身
脂肪悪玉説のはじまり
食事─心臓仮説がもたらした混乱
肉について考える
イヌイット食の謎の脂肪
アザラシ肉に匹敵するDPAの摂取源
草を食わせろ
肥育場病─食餌と生活環境が引き起こすもの

第13章 身体の知恵
多種を少量ずつ食べる草食動物
草と牛─マルチパドック輪換放牧を生んだ着想
土壌中のミネラルバランスに注目する
野生動物が知っている薬効植物
身体の知恵の3本の柱
味のフィードバック、もしくは植物と踊るダイナミックなダンス
平均という問題─費用対効果の真実
正常な満腹信号を歪める食味増強剤
永続する多様性─適応と回復力を生む群れの中の変わり者

人間 PEOPLE

第14章 健康の味
脳のそばの隠された細胞
味は単色タイル、風味は複雑なモザイク
腸内の神経細胞にもある味覚受容体
喉にある苦味受容体の役割
壊れた羅針盤─身体の知恵を狂わせる甘味、塩味、うま味
食の相乗効果
栄養研究の難しさ
健康のための食事指針は、食べものが何を食べてきたのかを考えない

第15章 バランスの問題
『美味礼讃』が伝えたかったこと
低脂肪食品の効能は薄い─ボーイング社員で徹底研究
よい脂肪、共役リノール酸
太古の脂肪
炎症のバランスを取る脂肪
オメガ3とオメガ6のバランスのよい蓄え
オメガ3サプリの効果
脂肪と心の健康
日本食の評価

第16章 作物に栄養を取り戻す
本場フランスのバゲットがおいしくなかった理由
パン研究所で学ぶコムギ製粉の歴史
コムギの育種─貯蔵寿命と収量の最大化
世界から集めた1000種類のコムギ
必要な多様性がすべて揃った畑
化学肥料を与えない畑に合うコムギの育種
穀物に足りないもの─栄養より収量でいいのか
近代の品種と古代の品種
食べものに栄養を取り戻す
主要作物の復活─SRIによるコメ栽培

第17章 畑の薬
超加工食品を食べない人々の歯はなぜ健康か
伝統食と栄養
健康のための農業
栄養素欠乏が引き起こすもの
菌類からの化合物の活躍
新しい栄養学のススメ
食の多様性

第18章 健康を収穫する
土地をどう扱うかで人間の健康が決まる
新たな方向性─土壌に必要な生物も育てる農業
選択肢は慣行農法か有機か、ではない
不耕起、被覆作物、多様な作物の輪作で1セット
未来の農業
未来の選択─農業のやり方が人間のありようを形作る

謝辞
訳者あとがき
参考文献
索引

著者プロフィール

デイビッド・モントゴメリー  (デイビッドモントゴメリー)  (著/文

デイビッド・モントゴメリー
ワシントン大学地形学教授。
地形の発達、および地質学的プロセスが生態系と人間社会に及ぼす影響の研究で、
国際的に認められた地質学者である。
天才賞と呼ばれるマッカーサーフェローに2008 年に選ばれる。
邦訳された著書には、『土の文明史』、『土と内臓』(アン・ビクレーとの共著)、『土・牛・微生物』(以上、築地書館)の3部作のほか、
『岩は嘘をつかない』(白揚社)がある。
また、ダム撤去を追った『ダムネーション』(2014 年)などのドキュメンタリー映画ほか、
テレビ、ラジオ番組にも出演している。
執筆と研究以外の時間は、バンド「ビッグ・ダート」でギターを担当する。

アン・ビクレー  (アンビクレー)  (著/文

アン・ビクレー
流域再生、環境計画、公衆衛生などに幅広く関心を持つ生物学者。
公衆衛生と都市環境および自然環境について魅力的に語る一方、
環境スチュワードシップや都市の住環境向上事業に取り組むさまざまな住民団体、非営利団体と共同している。
余暇は庭で土と植物をいじって過ごす。
モントゴメリーとビクレー夫妻は、盲導犬になれなかった黒いラブラドールレトリーバー、ロキと共に
ワシントン州シアトル在住。

片岡夏実  (カタオカナツミ)  (翻訳

片岡夏実
1964 年神奈川県生まれ。
主な訳書に、土3作を成すデイビッド・モントゴメリー『土の文明史』、『土と内臓』(アン・ビクレーと共著)、『土・牛・微生物』
トーマス・D・シーリー『ミツバチの会議』、デイビッド・ウォルトナー= テーブズ『排泄物と文明』、
スティーブン・R・パルンビ+アンソニー・R・パルンビ『海の極限生物』(以上、築地書館)、
ジュリアン・クリブ『90 億人の食糧問題』、セス・フレッチャー『瓶詰めのエネルギー』(以上、シーエムシー出版)など。

上記内容は本書刊行時のものです。