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日本の繊維と人 Ⅱ 眞田 岳彦(著) - スタイルノート
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日本の繊維と人 Ⅱ (ニホンノセンイトヒトニ) 衣服造形家が訪ねた、棉、木綿、楮、竹、蜀黍、稲… (イフクゾウケイカガタズネタメンワタユウコウゾタケモロコシイネ)

歴史・地理
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A5判
208ページ
並製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-7998-0210-6   COPY
ISBN 13
9784799802106   COPY
ISBN 10h
4-7998-0210-0   COPY
ISBN 10
4799802100   COPY
出版者記号
7998   COPY
Cコード
C1072  
1:教養 0:単行本 72:写真・工芸
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年4月23日
書店発売日
登録日
2024年3月18日
最終更新日
2024年4月15日
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紹介

土地に生きた人たちの姿が浮かぶ「日本の繊維」。骨董でも過去を懐かしむノスタルジーのための物品でもなく、そこには、コンテンポラリー・アート(同時代芸術)のように、大きな感動が潜む出来事や物語、生きるための問いがある。日本の気候風土の元、繊維と懸命に生きた人々の「生命の美」の姿であり、「今を生きる意味」や、「明日を生きるための希望」を私たちに与えてくれる。本書では「日本の繊維」そして「人」とは、どのような物であり、この国に生きた人たちは、どのように繊維と関わり、どのような生き方をし、どのような「美」を紡ぎだしてきたのか、これまで著者が、各地を訪ね出会った「日本の繊維と人」による造形活動を通して、繊維を見つめてゆく。

第2巻では、「木綿」「綿」「禾」「稲」をとりあげ、それぞれの材と人との関わりを、実際にそれぞれの材に携わる人々の生き方を通して見つめる。衣服造形研究者が、日本をめぐり繊維を採り、生きた人々の歴史を紐解き、日本各地で繊維文化に関わる人々を訪ね得た「今を豊かに生きる意味」と感動を綴る。待望の第2巻。

目次

五章  木綿 ゆう
1 〝ゆう〟の繊維
 白い樹皮   昔の白色は、植物の「素」の色「生成り」
 茨城県結城市へ   『古語拾遺』に書かれた、結城郡の名
2 四国 木頭の楮繊維
 四国の地殻   中央構造線周辺で採取される、朱の辰砂
 土地が生む信仰と辰砂   土地に育つ植物とその繊維
 徳島県木頭へ   阿波太布製造技法保存伝承会により継がれる技
 太布2千反   その時代は夜なべして太布を織るしかなかった
 思い出の繊維・布   おばあさんやお母さんから太布を教えてもらった
 12ヒボリで1反   ヒボリという単位で、糸を作り布を織る
3 阿波 繊維を生む山が織りなす幽玄
 雲早山を越える   霧と雲が織りなす幽玄な世界
 阿波忌部と楮   穴吹の「しらたえ織り」
 木屋平村史の繊維   太布は榖の皮もて織れるものにて麻布にはあらず
 阿波の楮   繊維から紙が漉かれてきた
4 楮の繊維を漉き、和紙に
 紙の始まり   植物の繊維から作られる
 紙の伝来   繊維を水中で漉いて作る
 柔軟性ある和紙  織らないで作る布「不織布」
 パピルス草   英語の「paper」の語源
5 白石 和紙の衣服繊維
 清浄な紙子   僧侶の衣服にも使われた
 宮城県白石市へ   白石の楮繊維
 幸福の和紙   五節を通して、五穀豊穣、豊かな心を願う
 美しい紙布   縦に繊維が並ぶように薄く漉く
 白石和紙 拓本染   版木の彫刻文様が、和紙の凹凸に浮かぶ
6 元結、水引、紙の紐
 元結   髷を結うための紙の紐
 長野県飯田市へ  多くの古墳が残る要衝地、繊維の伝統
 水引   遣隋使が伝えた紅白の紐
 飯田の水引   紙が撚糸機で1本の紙紐になる
7 熊本と渡来人、和紙の繊維
 熊本県和水町へ   渡来人が日本に伝えた繊維の力
 山鹿の灯籠   1㎜にも満たない紙端同士を糊で留める
 紙作りの主流   木材を細片にしたパルプで紙を作る
 間伐材の衣服   木から和紙を作り、糸にして織り上げる
コラム5:縫うための道具 針

草本/木本 そうほん/もくほん
六章  棉 めん・わた
1 棉の繊維
 棉   世界中の人々が身に着ける植物の繊維
 多様な棉の種類   繊維の太さ長さ柔らかさが違う
 日本人、棉繊維を知る   平安時代初期、崑崙人がもたらした棉
 モンメン   中国、韓国、日本の棉・綿の呼び名
2 木綿繊維の広がり
 棉の栽培始まる   糸にしやすく、着ると暖かい
 畿内の棉栽培   稲よりも商品作物の栽培を求めた農民たち
 大阪府八尾市へ   早い時期から棉栽培に取り組んだ人と土地
 布団綿   棉の栽培が広がり、暮らしも変化した
 綿打ち職人   手の違いが綿の質を変えた
3 関東の木綿繊維
 関東の棉   三浦の人が伝えた、東国の棉栽培
 三浦木綿   東国棉の栽培先進地
 神奈川県三浦市へ   地元の海から獲れる鰯が栽培を支えた
 万祝半纏   千両、万両の大漁を祝った衣服
 北関東の木綿   江戸で評判になった真岡木綿の白さ
 栃木県真岡市へ   木綿の伝統を伝える、真岡木綿工房の手仕事
4 三重、島根の木綿繊維
 松阪の棉   神御衣祭の荒妙と和妙を奉織する地で継がれる伝統
 三重県松阪市へ   江戸の人々を魅了した粋な縞木綿布
 島根県出雲市へ   神の国の雲州木綿・平田木綿
 山陰の棉作   古老の話から見えてくる棉栽培
5 沖縄の木綿繊維
 沖縄の棉   島々で織りなされる木綿の伝統
 ミンサー   八重山諸島の思いを伝える綿布
 八重山諸島の綿   受け継がれる民話の布をつくる
6 日本の繊維産業の夜明け
 近代紡績始まる   鹿児島に日本初の紡績所を設立
 木綿産業の黎明期   国産綿から外国綿へ
 臥雲式紡績機   日本人が発明した紡績機械
 愛知県豊田市へ   ガラガラと音を立てながら糸を紡ぐ
7 風土が育てる木綿繊維
 コーマ糸・カード糸   繊維の長短が、紡ぐ方法と機械を選ぶ
 東京都世田谷区へ   棉が心の豊かさを育む
8 世界のコットン繊維
 世界のコットン   棉の種子、世界へ広がる
 キャラコ、イギリスへ   木綿布から産業革命へ
 コットンと世界史   インド・パキスタン分離独立との関わり
 アメリカ南北戦争   南部コットン・プランテーション
コラム6:着衣

禾本 かほん
七章  禾 か
1 竹の繊維 たけ
 竹   幽玄が浮かび上がる竹林
 東京都東村山市へ   縄文人も笹を細くさき、繊維の弾力を利用した
 竹の用具   農具・漁具・建材はじめ、再生繊維の糸もある
2 皮白竹繊維と版画
 馬連   竹皮を細かくさいて撚った綱を巻いた芯
 浮世絵の摺り   摺師が自ら竹皮から馬連を作り摺った
 竹の綱を撚る   福岡県南西部の八女地方に生育する皮白竹
 竹綱の感触   馬連の効きを身体で感じる
3 竹繊維の弾力と文化
 竹繊維の柔軟性   白く美しい竹皮の履物
 竹筆の筆跡   竹繊維の弾力で文字を書く
4 蜀黍の繊維
 蜀黍   世界の人々の生命を育んできた
 栃木県鹿沼市へ   ハマグリ形にまとめられた縁起物の鹿沼箒
5 真菰の葉繊維と種子 まこも
 真菰   古い時代から日本に植生するイネ科植物
 真菰の神事   出雲大社の凉殿祭
 アメリカ・カナダのマコモ   ネイティブ・アメリカンの祭事や儀式への神聖な穀物
 インテリアマコモ   ワイルドライスとの出会い
コラム7:膜と生命

八章  稲 いね
1 稲の繊維
 水稲、陸稲   環境により早稲・中稲・晩稲が植えられる
 稲栽培開始   地球の寒冷化と稲作との関わり
 日本の稲   伝来は、約3千年前、縄文時代晩期
2 稲の葉鞘、葉の繊維 わら
 藁   日本人、稲の繊維を利用し造形を始める
 稲藁と生活用具   蓑、蓑帽子、藁手袋など、多様な造形物
 御蓙の登場   茣蓙は、床を持つ畳へと発展した
 畳を縫う感触   羽毛田畳店での畳の制作体験
3 稲藁繊維が心の拠り所をつくる
 赤・紫黒・緑の稲   多彩な稲種が伝えられてきた
 稲の神事や芸能   日本のさまざまな稲の行事
 注連縄   聖域と俗域を分ける稲繊維
 藁を綯う   祈りや願いを稲藁に込める
 千葉県鴨川市 大山千枚田   約20年、棚田で稲作をしてきた
 稲のアート活動   各地の人々と稲を通して豊かさを見つける
 心を包む稲の布   次代につなぐ、新技術と稲による社会支援活動
エピローグ

著者プロフィール

眞田 岳彦  (サナダ タケヒコ)  (

女子美術大学・大学院特任教授 東北芸術工科大学客員教授。桑沢デザイン研究所非常勤講師。Sanada Studio Inc. 主宰。
1962年東京都生まれ。桑沢デザイン研究所研究科卒業。2011-13年国立民族学博物館外来研究員。愛知県立芸術大学博士後期課程修了。博士(美術)。
20代にアラスカ・ポイントバローはじめ世界各国を訪ね、ロンドンで3年間生活するなど多様な文化を体験。30歳に訪れた北極圏グリーンランドでは表現コンセプト「生命の際きわ」を見出し、以降、衣服と繊維を媒体にした活動を行っている。活動は、展覧会、地域プロジェクト、企業のアート・デザインディレクション、次世代の作家・デザイナーへの支援、視覚障害者との相互学習会、執筆、講演等。著作には『考える衣服』『ひらく衣服』(スタイルノート)、『Ifuku 衣服』(六耀社)等がある。

上記内容は本書刊行時のものです。