版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
東南アジアのポピュラーカルチャー 福岡 まどか(編著) - スタイルノート
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文電話番号:
注文FAX番号:
注文メール:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

取引取次:
ト・日     書店
直接取引:なし
返品の考え方: フリー入帳(または「薄井了解済み」でご返品ください)

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

東南アジアのポピュラーカルチャー アイデンティティ・国家・グローバル化 (アイデンティティコッカグローバルカ)

社会科学
このエントリーをはてなブックマークに追加
A5判
480ページ
並製
価格 4,000円+税
ISBN
978-4-7998-0167-3   COPY
ISBN 13
9784799801673   COPY
ISBN 10h
4-7998-0167-8   COPY
ISBN 10
4799801678   COPY
出版者記号
7998   COPY
Cコード
C1039  
1:教養 0:単行本 39:民族・風習
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年3月
書店発売日
登録日
2018年2月21日
最終更新日
2020年1月9日
このエントリーをはてなブックマークに追加

書評掲載情報

2020-02-21 東南アジア研究  57巻2号
評者: 白石さや(東京大学名誉教授)
2019-05-30 東南アジア 歴史と文化  第48号
評者: 関本照夫
2018-11-30 Clasism(クラシズム)  2018年冬号
評者: 新谷慶子
2018-07-14 図書新聞  3359号
評者: 櫻田涼子
2018-04-14 日本経済新聞  朝刊
MORE
LESS

紹介

本書は、東南アジアの人々が文化に関わる多様な価値観とどのように向き合っているのか、そうした文化の中で自らをどのように位置づけていくのか、という問題を人類学・地域研究の立場から考察した論文集。17名の執筆者はそれぞれの専門分野の立場からフィールドへ長年にわたって通い続けてきた。その経験を通じて知り得た東南アジアのポピュラーカルチャーを取り巻く現状について書かれている。東南アジア各国はこの数十年で大きく変貌している。インターネットの普及やSNSの広がり、新たな社会で生まれ育った新世代アーティストの活躍など、文化の消費と文化の価値の変化も著しい。こうした現状を把握するために、現在の状況についてのみではなく、その発展の系譜など歴史的変遷についても考察されている。論文集だが、写真やコラムも多く、誰にでも読みやすいように書かれている。東南アジアに関心がある人ならば気軽に興味深く読める。現地を訪れてみたいと考えている人や東南アジアの言語や文化について学んでみたいと考えている人にとっても、貴重な情報源ともなるはずだ。

目次

はじめに(福岡まどか)

 序章:東南アジアのポピュラーカルチャー ~アイデンティティ・国家・グローバル化~(福岡まどか)

■第1部 せめぎあう価値観の中で
 第1章:タイ映画・テレビドラマ・CM・MVにみる報恩の規範 ~美徳か抑圧か、「親孝行」という名のもとに~(平松秀樹)
 第2章:シンガポールにおける政府対映画製作者間の「現実主義的相互依存/対立関係」(盛田茂)
 第3章:農村のポピュラー文化 ~グローバル化と伝統文化保存・復興運動のはざま~(馬場雄司)
 第4章:国民映画から遠く離れて ~越僑監督ヴィクター・ヴーのフィルムにおけるベトナム映画の脱却と継承~(坂川直也)
 〔コラム1〕コスプレとイスラームの結びつき(ウィンダ・スチ・プラティウィ)
 〔コラム2〕テレビと悪行(井上さゆり)
 〔コラム3〕インドネシア映画にみられる「未開な地方」の商品化(小池誠)
 〔コラム4〕タイ映画にみるお化けの描き方(津村文彦)
 〔コラム5〕ポップカルチャーとしてのイレズミ(津村文彦)
 〔コラム6〕イスラーム・ファッション・デザイナー(福岡正太)
 〔コラム7〕タイ映画にみられる日本のイメージ(平松秀樹)

■第2部 メディアに描かれる自画像
 第5章:フィリピン・インディペンデント映画の黄金時代 ~映画を通した自画像の再構築~(鈴木勉)
 第6章:インドネシア映画に描かれた宗教と結婚をめぐる葛藤(小池誠)
 第7章:フィリピンのゲイ・コメディ映画に投影された家族のかたち ~ウェン・デラマス監督の『美女と親友』を中心に~(山本博之)
 第8章:スンダ音楽の「モダン」の始まり ~ラジオと伝統音楽~(福岡正太)
 〔コラム8〕愛国歌と西洋音楽 ~インドネシアの国民的作曲家イスマイル・マルズキ~(福岡まどか)
 〔コラム9〕ミャンマーの国立芸術学校と国立芸術文化大学(井上さゆり)
 〔コラム10〕さまざまな制約と検閲がつくる物語の余白(山本博之)
 〔コラム11〕インドネシア映画におけるジェンダー表現と検閲システム(福岡まどか)
 〔コラム12〕映画を通して広まった音楽 ~マレーシア音楽・映画の父P・ラムリー~(福岡まどか)
 〔コラム13〕シンガポールにおける「ナショナル」なインド舞踊の発展(竹村嘉晃)

■第3部 近代化・グローバル化社会における文化実践
 第9章:メディアから生まれるポピュラー音楽 ~ミャンマーの流行歌謡とレコード産業~(井上さゆり)
 第10章:インドネシア・インディーズ音楽の夜明けと成熟(金悠進)
 第11章:人形は航空券を買うことができるか? ~タイのルークテープ人形にみるブームの生成と収束~(津村文彦)
 第12章:越境するモーラム歌謡の現状 ~魅せる、聴かせる、繋がる~(平田晶子)
 第13章:「ラヤール・タンチャップ」の現在 ~変容するインドネシア野外映画上映の「場」~(竹下愛)
 〔コラム14〕東南アジア映画で増す、韓国CJグループの影響(坂川直也)
 〔コラム15〕ステージからモスクへ?(金悠進)
 〔コラム16〕アセアンのラーマヤナ・フェスティバル(平松秀樹)
 〔コラム17〕変化する各地のカプ・ルー(馬場雄司)
 〔コラム18〕スマホは複数持ち(井上さゆり)
 〔コラム19〕IT化が進む農村社会(馬場雄司)
 〔コラム20〕「ラテ風味」のイワン・ファルス ~インドネシアのカリスマプロテストソングシンガーの現在~(竹下愛)
 〔現地レポート〕東南アジアのトコ・カセット(カセット店toko.kaset)訪問記(丸橋基)

あとがき(福岡正太)
執筆者紹介

前書きなど

 本書は、東南アジアの人々が文化に関わる多様な価値観とどのように向き合っているのか、文化実践を通して自分をどのような存在として位置づけていくのか、という問題を人類学・地域研究の立場から考察した論文集である。対象として東南アジアのポピュラーカルチャーを取り上げた。16名の執筆者はそれぞれの専門分野の立場からフィールドへ長年にわたって通い続けてきた。その経験を通じて知り得た東南アジア文化を取り巻く現状について多くの人々に伝えたいと考え、一冊の本にまとめることにした。
 論文集ではあるが、東南アジアに関心があり実際に現地を訪れてみたいと考えている人や東南アジアの言語や文化についてこれから学んでみたいと考えている人にも読んでもらえるような記述を心がけたつもりである。
 東南アジアという地域名は現在アセアン10カ国と2002年に独立した東ティモールを合わせた地域を指して用いられる。この地域はアジアの東南部に位置し太平洋、インド洋とオーストラリアにはさまれた広大な領域を持っている。生態系や言語などの面では中国南部、インド、オセアニアなどとの連続性が見られ、また歴史的には中華文明、インド文明、イスラーム文明をはじめとする世界各地の文化的影響を受けてきた地域である。このように多様な要素がさまざまな形で混ざり合っていることは、東南アジア文化の顕著な特徴とされてきた。多くの地域が16-17世紀以降に欧米列強国による植民地支配を経験し、20世紀中頃以降の独立と国民国家の模索を経て民主化を遂げてきた。こうした経緯の中では、欧米諸国の文化的影響を長期にわたって強く受けた地域も見られる。また植民地支配や国家建設のプロセスの中では、多くの地域で近代化が推進されてきた。そして世界的に見られるメディアの発展や情報のグローバル化の影響により、東南アジアにおいても文化に関わる人々の考え方は変化しつつある。
 このような変遷の中で文化をめぐる価値観は、国家統合の言説に方向づけられていた時を経て、人々の多様なアイデンティティが模索されていく方向へと向かいつつある。特に経済発展にともない1980年代以降に中間層の人々が増加したこと、メディアの発達によって情報の急速な行き来が見られること、東南アジアの各地に多様なアートスペースが作られてきたこと、そして1970年代に生まれた新たな世代のアーティストの活躍がめざましいことなどは、文化の消費と文化の価値について考える上で顕著な要因となっている。
 こうした背景の中でポピュラーカルチャーについて考えることは、東南アジア文化の現状を知る上できわめて重要であると言えるだろう。本書では、ポピュラーカルチャーに注目して、今日のグローバルな資本主義を生きる人々が日常的に経験する文化についてさまざまな角度から検討を行う。
 人々が日常的に経験する文化は、メディアを通して「商品化」されるものからインディーズの文化実践などにいたるまで多様なケースがあり、また必ずしも実体としてとらえきれない人々の語りや価値体系として広まっていくこともある。したがって本書の中ではポピュラーカルチャーを特定のジャンルとして設定するのではなく、文化の生産・流通・消費のあり方としてとらえることに主眼を置く。論考の中ではダンスや音楽などの上演芸術、映画やテレビなどの各種メディアにおける表現、ファッションなどの身体表象、また人形などのモノを含めた多様なトピックが取り上げられるが、それらの文化表現や身体表象をめぐる人々の語りや社会における論争なども視野に入れている。多様な事象を通して見られる人々の文化実践の現状を考察することによって、東南アジアのポピュラーカルチャーとは何かという課題についても各執筆者がそれぞれの専門分野の立場から考察している。
 時代設定としては、いわゆる現代文化のみではなく、「伝統的」とされる文化も含めて人々が実際に経験する文化の現状について考えた。また、現代文化を対象とする際にもその発展の系譜や歴史的変遷について考慮するよう心がけた。さらにポピュラーカルチャーの発展に影響を及ぼした要因のひとつとして19世紀から20世紀初頭にかけて発明された録音技術に始まるメディアの変遷プロセスも取り扱った。したがって本書は20世紀初頭以降現在までという比較的長い時代設定を視野に入れている。構成は、序論に続いて「せめぎ合う価値観の中で」、「メディアに描かれる自画像」、「近代化・グローバル化社会における文化実践」という3つの部分からなっている。序論では東南アジアのポピュラーカルチャーに関する諸課題をインドネシアの事例を通して検討し、同時に総合的な考察のための視点を提示した。
 各論考は上記の3つの部分のいずれかに位置づけられているが、他の部分とも関連を持っており、またそれぞれが独立したトピックを扱っている。かならずしも順番に沿って読む必要はなく、関心のあるものからランダムに読んでいただけたらと思う。
 なおこの論文集の中では東南アジアのさまざまな地域の事例を扱うが、メンバー構成や専門とする研究分野などの関係でそのすべての地域は取り上げられなかった。現在の国名に沿って言えばカンボジア、ブルネイ、東ティモールなどの地域については、本書の中で触れていないことをご了承いただきたい。
 本書を通して、多くの人々に東南アジア文化を取り巻く現状を伝えたいと願うとともに、日本を含む世界各地の文化を取り巻く現状について考えるきっかけやヒントも提示することができるならば、執筆者一同大変嬉しく思う。

版元から一言

 この本は書名のとおり、東南アジアの国々のポピュラーカルチャーを研究した論文集です。論文といっても、一般の方が読む前提で作られており、できるだけ読みやすく、論文風にならないように書かれています。また、写真やコラムも多く、それだけでも楽しめる1冊です。
 東南アジアの国々は、日本からも比較的近く身近な国々でありながら、一方で我々の知らない面も多く持っています。本書に出てくる13の論考は、そうした我々の知らない文化の多面性を教えてくれます。それも伝統芸能ばかりでなく、現代のポピュラーカルチャーについての研究は貴重です。思いもよらないカルチャーが読み手を惹きつけます。目次を見るだけでも一目瞭然ですが、フィリピン、インドネシア、タイなどの映画や音楽をテーマにしたもの、さらに、東南アジアの国々がどのようにして現在の映画や音楽の文化を持つに至ったか、さらには急速に普及するインターネットやスマホによる影響なども取り上げられています。
 さらに音楽や映画に限らず、SNSで拡がったタイでの人形ブーム。社会問題にまでなった現象の研究や、ミャンマーではスマホを複数台持つ人が多いこと、インドネシアで人気の映画の野外上映会など、ポピュラーカルチャーを取り巻く現況にも言及されています。
 本書を読むことで、東南アジアの人々が文化とどのように向かい合い、また文化とどのような関わりをもって過ごしているのか、精神的、政治的、宗教的、商業的、歴史的にどのような関わりがあるのか、さらに、そこから見える家族観やLGBTに関する点にまで踏み込んだ、意欲的な東南アジアのポピュラーカルチャー書となりました。巻末には2017年に実施されたインドネシアのカセットテープ販売店へのインタビューも収載しています。研究書としてはもちろん、ガイドブック的に、現地の雰囲気を感じるために気軽に読んでいただける本です。濃いめのシルバーに黄色の蛍光色を使ったカバーが印象的な一冊です。
英文書名:Popular Culture in Southeast Asia: Identity, Nation-state, Globalization

著者プロフィール

福岡 まどか  (フクオカ マドカ)  (編著

大阪大学大学院人間科学研究科教授
〔学位〕
修士(音楽)東京藝術大学大学院音楽研究科(1992年)
博士(文学)総合研究大学院大学文化科学研究科(1998年)
〔専門〕
民族音楽学、文化人類学、地域研究(インドネシア)
〔研究テーマ〕
インドネシアの舞踊・演劇を中心に東南アジア芸能の研究に従事。ジャワ島の仮面舞踊の研究を通して、芸の伝承、仮面の表現と舞踊との関係、演劇と物語世界などに関心を抱く。その後、ジャワ島の女形ダンサーの活動を調査し、芸術におけるジェンダー表現や身体表象に関心を広げる。近年は現代舞踊・現代演劇などの調査も行う。

福岡 正太  (フクオカ ショウタ)  (編著

国立民族学博物館人類基礎理論研究部准教授
〔学位〕
芸術学修士 東京藝術大学大学院音楽研究科(1991年)
〔専門〕
民族音楽学、地域研究(インドネシア)
〔研究テーマ〕
インドネシアを中心に東南アジアの伝統音楽と芸能の研究に従事。ラジオ、レコード、音楽カセットテープなどのマスメディアの普及による西ジャワのスンダ人の伝統音楽の展開について調査研究をおこなってきた。東南アジア各地および日本の芸能の映像記録作成にもたずさわり、無形文化遺産の伝承における映像の活用可能性についても関心をもっている。

井上 さゆり  (イノウエ サユリ)  (

大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻准教授
〔学位〕
博士(学術)東京外国語大学大学院地域文化研究科地域文化専攻(2007年)
〔専門〕
ミャンマー音楽、ミャンマー文学
〔研究テーマ〕
ミャンマーの音楽と文学の研究に従事。1999年から2001年、ヤンゴン文化大学(現ヤンゴン国立芸術文化大学)音楽科に留学し竪琴と古典歌謡の歌唱を学ぶ。2007年以降はドー・キンメイ氏に竪琴を師事。特に古典歌謡の構造や伝承方法について研究を行う。近年は近代歌謡の調査も行う。

ウィンダ・スチ・プラティウィ  (ウィンダ スチ プラティウィ)  (

〔学位〕
修士(文学)桃山学院大学大学院文学研究科比較文化学専攻(2016年)
〔専門〕
文化人類学、地域研究(インドネシア)
〔研究テーマ〕
インドネシアのリアウ大学で日本語と日本文化を学び、日本に留学後は、日本のサブカルチャーであるコスプレがインドネシアでどのように広まったかという研究に取り組んだ。

金 悠進  (キム ユジン)  (

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程
〔学位〕
修士(地域研究)京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(2016年)
〔専門〕
地域研究(インドネシア)
〔研究テーマ〕
インドネシアの音楽を中心に研究。西ジャワ州のバンドン市を拠点にインドネシアの主要都市を調査地とし、若者の文化実践の比較考察を通して、音楽と歴史、政治、社会との関わりなどを研究している。

小池 誠  (コイケ マコト)  (

桃山学院大学国際教養学部教授
〔学位〕
博士(社会人類学)東京都立大学大学院社会科学研究科(2004年)
〔専門〕
社会人類学、地域研究(インドネシア)
〔研究テーマ〕
1985~88年にインドネシア東部のスンバ島の親族と儀礼について調査し、その成果をまとめた。その後、インドネシアを中心に家族・親族・婚姻の社会人類学的研究を進めている。また、インドネシアのポピュラー文化、とくに映画と音楽にも関心をもち、メディアのグローバル化との関係で研究を進めている。

坂川 直也  (サカガワ ナオヤ)  (

〔学位〕
修士(地域研究)京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科単位取得退学(2014年)
〔専門〕
東南アジア映画史、地域研究(ベトナム)
〔研究テーマ〕
ベトナムを中心に東南アジア映画史を調査している。サイゴンを中心としたベトナムの娯楽映画の復活に関心を抱き、ヒーローアクション映画、アニメ映画、そしてお化け映画などに注目している。また、現在、ベトナム国民映画の変遷を通して、映画におけるナショナリティの表象についても研究をしている。

鈴木 勉  (スズキ ベン)  (

国際交流基金アジアセンター文化事業第2チーム長
〔専門〕
国際文化交流
〔研究テーマ〕
主要な関心テーマは国際文化交流における国際貢献、文化創造、文化協力。国際交流基金で30年間にわたり国際文化交流を実践。バンコク日本文化センター、ジャカルタ日本文化センター等の勤務を経て、2005年から2010年までマニラ日本文化センター所長。マニラ勤務時代は日本文化紹介を含め双方向の文化交流を重視し、数々の日比共同制作事業や文化協力事業、ミンダナオにおける文化を通した平和構築事業などに従事。帰国後はほぼ毎年シネマラヤの視察を行っている。一般財団法人フィリピン協会評議員。

竹下 愛  (タケシタ アイ)  (

東京外国語大学非常勤講師
〔学位〕
修士(文学)大阪外国語大学大学院外国語学研究科(1997年)
博士(学術)大阪大学大学院言語社会研究科(2011年)
〔専門〕
地域研究(インドネシア)、メディア・文学研究
〔研究テーマ〕
インドネシアの現代文化・文学研究。雑誌やポピュラー小説など印刷媒体の分析から若者層の世代意識の形成過程を辿る。近年はデジタル媒体普及がもたらすリテラシーの変容と、リアルな対面的コミュニケーション志向の高まりというパラドキシカルな現象に着目。フィールド調査を中心に研究を行っている。

竹村 嘉晃  (タケムラ ヨシアキ)  (

人間文化研究機構総合人間文化研究推進センター・推進センター研究員
南アジア地域研究国立民族学博物館拠点・特任助教
〔学位〕
修士(音楽学)沖縄県立芸術大学大学院音楽芸術研究科(2001年)
修士(人間科学)大阪大学大学院人間科学研究科(2003年)
博士(人間科学)大阪大学大学院人間科学研究科(2012年)
〔専門〕
芸能研究、文化人類学、地域研究(インド、シンガポール)
〔研究テーマ〕
インド芸能に関する人類学的研究に従事。とくに南インド・ケーララ州北部に伝わる神霊祭祀と実践者をめぐる今日的な状況に関する民族誌的研究を行う。2012年以降は、シンガポールのインド系移民におけるインド舞踊の発展に関する研究に着手し、芸術文化政策の動向や新しいメデイア環境における伝承・実践・創作過程の変容などに関心を拡げている。

津村 文彦  (ツムラ フミヒコ)  (

名城大学外国語学部教授
〔学位〕
修士(学術)東京大学大学院総合文化研究科(1999年)
博士(学術)東京大学大学院総合文化研究科(2012年)
〔専門〕
文化人類学、地域研究(タイ)
〔研究テーマ〕
タイの精霊信仰に関する宗教実践の研究を進める。特に東北タイの悪霊ピーポープと祓除専門家モータムをめぐる宗教的知識を検討する。また息を吹きかけて治療するモーパオなどの伝統医療師についても関心を拡大。現在は東南アジア大陸部に広がる呪的イレズミ、また呪術実践における感覚の役割について調査を進めている。

馬場 雄司  (ババ ユウジ)  (

京都文教大学総合社会学部総合社会学科教授
〔学位〕
修士(文学)名古屋大学大学院文学研究科(1982年)
〔専門〕
文化人類学、民族音楽学、地域研究(タイ)
〔研究テーマ〕
1980年代から90年代はじめにかけて、南アジアから東南アジアにかけての地域(ネパール、ブータン、インド、中国雲南省、タイ、ラオス)において音楽・芸能の研究に従事。1990年から91年にタイ北部チェンマイ大学に留学時、タイ北部を中心に、特にタイ系民族の一つタイ・ルー村落の調査研究を行い、現在に至るまで断続的に調査を継続している。近年における開発と社会・文化の変化に関心をもち、儀礼と芸能の変化、社会変化の中の高齢者の役割、コミュニティの再編、文化復興と歴史の再構築などのテーマに関して研究を行ってきた。

平田 晶子  (ヒラタ アキコ)  (

日本学術振興会特別研究員
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー(2018年4月より)
東海大学文学部非常勤講師(文化人類学)
東京経済大学経済学部非常勤講師(タイ語)
神田外語大学外国語学部非常勤講師(タイ研究)
〔学位〕
修士(学術)東京外国語大学大学院地域文化研究科(2007年)
〔専門〕
文化人類学、地域研究(タイ・ラオス)
〔研究テーマ〕
東北タイ・ラオスのモーラム、ラム歌謡を中心に東南アジア芸能の研究に従事。モーラム研究を通して、上座仏教の精神世界、芸能の師弟関係と運営の組織化、商品化と法的規制の関係などに関心を抱く。近年は、音楽的行為とジェンダーの関係、ICT導入による芸能活動の変化、また無形文化遺産に注目した現代舞踊法をめぐる著作権に関する調査も行っている。

平松 秀樹  (ヒラマツ ヒデキ)  (

京都大学東南アジア地域研究研究所連携准教授
〔学位〕
M.A.チュラーロンコーン大学大学院比較文学科(2001年)
博士(文学)大阪大学大学院文学研究科(2006年)
タイ国仏教教理3級国家試験(ナックタム・トリー)合格(1996年)
〔専門〕
比較文学・比較文化、地域研究(タイ)
〔研究テーマ〕
仏教およびジェンダーの観点から比較文学・比較文化研究(タイ・日)に従事。タイ現代文学を出発点に作品研究を行う。ラーマ6世文学作品におけるジャポニスムの影響研究を通して、『ミカド』『蝶々夫人』から現代のポピュラーカルチャーにいたるタイにおける日本文化受容の問題に関心を広げる。近年はタイ映画、テレビドラマの研究やタイのLBGT調査も行う。タイの僧院にて2年間僧籍に入りパーリ語・仏教教理・瞑想を学ぶ。

丸橋 基  (マルハシ モトイ)  (

ワールドミュージックCD・レコード専門店Plantation(プランテーション/大阪・心斎橋)代表(2000年より現在に至る)
大学卒業後の1980年代初頭より、北米、中南米、ヨーロッパ、中東、南アジア、東南アジアなど世界各地に音楽を求めて旅行・滞在を繰り返している。ロック、レゲエ、またダンドゥットなど世界各地のポピュラー音楽に魅せられ、新たなジャンルやグループを求めて自ら現地へ出かけて行く。街を歩きながら人々の文化に触れることを通して、音源資料の収集を行ってきた。ニューヨーク、キングストン、リオデジャネイロ、イスタンブール、ジャカルタなどの都市文化に関心を抱く。東南アジアでは、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナム、ラオス、北タイなどを頻繁に訪れている。

盛田 茂  (モリタ シゲル)  (

駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部非常勤講師(2018年4月より)
東洋大学アジア文化研究所客員研究員(2018年4月より)
立教大学アジア地域研究所特任研究員
〔学位〕
修士(国際政治学)青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(2006年)
博士(映像芸術学)明治学院大学大学院文学研究科芸術学専攻(2011年)
〔専門〕
地域研究(シンガポール)
〔研究テーマ〕
小学校時代からの映画好きと大学時代よりの海外旅行熱が高じ、32年間のサラリーマン人生を終え、総合芸術である映画と見聞した各国の社会問題に横串をとおすべく大学院に戻る。特に、同国の影の側面とも言える「表現の自由」、「封印された歴史」、「言語政策」等の問題について、映画監督が如何なる主張を展開しているかに関心を持ち、2006年より毎年、1~2か月シンガポールに滞在し彼らへの聞き取りを続けている。

山本 博之  (ヤマモト ヒロユキ)  (

京都大学東南アジア地域研究研究所准教授
〔学位〕
修士(学術)東京大学大学院総合文化研究科(1995年)
博士(学術)東京大学大学院総合文化研究科(2003年)
〔専門〕
マレーシア地域研究/現代史
〔研究テーマ〕
マレーシア・サバ州を中心に、民族形成における混血者・越境者の役割の研究に従事。その後、対象地域をインドネシアとフィリピンに広げ、新聞・雑誌や大衆文化を通じて人々が自分たちの置かれた社会をどのように認識し構想しようとしているかに関心を広げる。近年は映画の調査も行う。

上記内容は本書刊行時のものです。