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ケアする声のメディア
ホスピタルラジオという希望
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年4月18日
- 書店発売日
- 2024年4月18日
- 登録日
- 2024年2月2日
- 最終更新日
- 2024年4月15日
書評掲載情報
2024-06-22 |
朝日新聞
朝刊 評者: 藤田結子(東京大学准教授・社会学) |
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紹介
病院内の小さなスタジオから放送するホスピタルラジオ。ボランティアが制作を担当し、患者がベッドサイドで耳を傾け、医療従事者やリスナー同士のコミュニケーションも促進する「ケアする声」の実践を、発祥地イギリスと日本国内の事例で詳細に紹介する。
目次
序 章 ケアするラジオ
1 閉鎖空間としての病院
2 ホスピタルラジオとの出合い
3 話題になった『病院ラジオ』――サンドウィッチマンと病棟の人たち
4 ケアの倫理
5 ケアのコミュニケーション
6 ホスピタルラジオ研究の射程
7 ケアメディアとしてのラジオと声のコンテンツ
8 本書の構成
第1章 「声のコンテンツ」を介したコミュニケーション
1 寄り添う音声――孤独の緩和、充実した一人の時間
2 想像される他者の世界
3 音でデザインする生活――社会とつながる音声のコミュニケーション
4 パーソナリティーとリスナーのパラソーシャルな関係
5 「承認」のコミュニケーション
6 ラジオとコミュニティ
7 リクエストとメッセージ
8 「声」の共生に向けて
第2章 イギリスでのホスピタルラジオの歴史――放送空間を自作する快楽
1 イギリスのラジオ放送の誕生
2 第二次世界大戦後のホスピタルラジオ
3 ケーブルラジオとホスピタルラジオ
4 ホスピタルラジオ・サウザンプトンの歴史
5 ヨーロッパの自由ラジオ
6 新たな聴取システム――Patient LineとHospedia
7 ケアされるのは誰か
第3章 イギリスのホスピタルラジオの現在
1 ホスピタルラジオの運営
2 ホスピタルラジオの効能
3 病院と地域をつなげるラジオ――ウィンチェスター・ラジオの挑戦
4 イギリスホスピタルラジオのこれから
第4章 病院ラジオを立ち上げる――藤田医科大学「フジタイム」を例に
1 院内ラジオ「フジタイム」の誕生
2 「フジタイム」の三年間
3 病院にとっての効果
4 患者とのコミュニケーション
5 日本の院内ラジオの可能性と課題
第5章 孤立を防ぐ小さなラジオ――二つの実践から
1 高齢者施設での実験ラジオ
2 「語る」というケアのかたち――生きづらさを伝えるコミュニティラジオ
3 ケアするコミュニティFM構想
第6章 声のコンテンツとケア
1 〈対話〉という根源的ケアの重要性
2 応答という「救済」――ナースコールとしてのホスピタルラジオ
3 リクエスト――見えない他者との連帯
4 メッセージ――未来に向けたセルフ・ナラティブの構築
5 新たな自己物語を構築するための〈対話〉
6 ケアしあうナラティブ
7 ケアされるボランティア
8 第三者による社会的処方――非職業・非家族としてのケア
終 章 再び、これからのラジオ
版元から一言
病院内の小さなスタジオで放送されるホスピタルラジオ。サンドウィッチマンが出演するNHK『病院ラジオ』で日本でも知られるようになったが、発祥の地イギリスではすでに大病院の多くで設置し運営している。そもそも、なぜ病院内でラジオ放送が始まったのか。声のメディアは、どのようにしてケアの役割を担っているのか。
イギリスのホスピタルラジオの歴史や事例を押さえたうえで、日本の藤田医科大学のホスピタルラジオを紹介する。ボランティアが放送し、患者がベッドサイドで耳を傾け、医療従事者や当事者リスナー同士のコミュニケーションも促進する「ケアするメディア」の実践を描き出す。
また、ホスピタルラジオにとどまらず、高齢者や依存症患者の孤立を防ぐ音声メディアの事例も取り上げ、閉じられた空間に暮らし、社会から排除される人々をゆるやかにつなぐ声がもつ可能性を検証する。
本書では、これまで研究が手薄だったラジオとケアをめぐって、患者や医療従事者だけでなく、社会の周縁に生きる人々を包摂し、コミュニケーションを促し、相互にケアをしあえる環境を作り出す可能性や、音声メディアを介したケアの倫理を展望する。
上記内容は本書刊行時のものです。