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植物メタボロミクス
ゲノムから解読する植物化学成分
- 初版年月日
- 2019年12月20日
- 書店発売日
- 2019年12月24日
- 登録日
- 2019年11月8日
- 最終更新日
- 2020年1月28日
紹介
ポリフェノール、カテキン、フラボノイド、カフェイン、モルヒネ、ニコチン、……。植物はなぜ多くの代謝産物(化学成分)を作るのでしょうか? これらの代謝産物はどのような仕組みで作られるのでしょうか? 近年、植物のゲノム配列が決まることにより、この根源的な問いに対する、基本的な解答の道筋が示されました。
植物メタボロミクス研究の黎明期からこの分野を開拓してきた著者が、植物の進化の歴史に刻まれた、代謝産物を作る能力の秘密に迫ります。
目次
1.植物メタボローム(代謝産物、化学成分)の多様性
1.1 メタボロームを構成する全代謝産物数を推定する二つの方法
1.2 メタボロームを構成する全代謝産物に関するデータベース
1.3 物質代謝における植物とヒトの違い
1.4 植物メタボロームを構成する代謝産物数の推定
1.5 ヒトのメタボロームを構成する代謝産物数
2.なぜ植物メタボロームは多様なのか? そこに秘められた植物の生存戦略
2.1 植物がとった“動かない”という選択とそのための生存戦略
2.2 生命がもつべき属性
2.3 一次代謝と二次代謝(特異的代謝)
2.4 最低限生きるための一次代謝:同化代謝と異化代謝
2.5 よりよく生きるための二次(特異的)代謝
2.6 化学防御戦略:化学成分による外敵に対する防御
2.7 捕食者から身を守る毒性成分
2.8 タバコに含まれる猛毒のニコチン
2.9 病原菌に対抗する植物成分
2.10 他の植物の成長を抑えるアレロケミカル
2.11 非生物学的ストレスに対抗する植物成分
2.12 化学成分で環境ストレスも緩和
2.13 栄養飢餓ストレスにも植物代謝産物が役立つ
2.14 化学成分によらないストレス防御
2.15 多様な二次代謝産物を作る植物が繁栄した進化的説明
3.ゲノム解読がもたらした新しい地平
3.1 オミクス研究とは?
3.2 ゲノム配列決定がもたらしたもの
3.3 シロイヌナズナのゲノム研究
3.4 メタボロームの化学的多様性の根源としてのゲノム
3.5 オミクス(オーム科学)の要素
3.6 オミクスの統合によるゲノム機能科学の方法論
4.植物メタボロームを解読する
4.1 メタボロミクスを構成する三要素
4.2 他のオミクスとは異なるメタボロミクス研究の困難さ
4.3 メタボロミクスにおける機器分析技術
4.4 各種の質量分析計がカバーする代謝物群
4.5 非ターゲット分析(メタボロミクス)とターゲット分析
4.6 メタボロームデータの実際的な取得と取扱方法
5.統合オミクスと遺伝子機能の同定:モデル植物シロイヌナズナを用いて
5.1 硫黄代謝とグルコシノレート
5.2 フラボノイド生合成経路の網羅的な遺伝子機能同定
5.3 リン欠乏ストレスに応答した新規脂質分子と遺伝子の同定
5.4 シロイヌナズナの高温耐性に寄与するリパーゼ遺伝子
5.5 シロイヌナズナ研究の利点と限界
6.作物や薬用植物でのメタボロミクス
6.1 イネ玄米のメタボロームQTLとメタボロームGWAS解析
6.2 メタボロミクスによる遺伝子組換え作物の評価
6.3 ジャガイモの毒性ステロイドアルカロイド
6.4 インドの伝統医薬アシュワガンダの活性ステロイド成分
6.5 甘草におけるグリチルリチン生合成:甘い豆の話
6.6 マメ科植物におけるキノリチジンアルカロイド生合成:苦い豆の話
6.7 抗癌成分カンプトテシンの生産植物における自己耐性
7.これからの課題と挑戦
7.1 植物バイオテクノロジーの進展
7.2 ゲノム編集の実用化
7.3 合成生物学へ
7.4 植物は地球の「精密化学工場」
7.5 プラネタリー・バウンダリーとSDGsへの挑戦
上記内容は本書刊行時のものです。