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出版者情報
論文から学ぶ地域調査
地域について卒論・レポートを書く人のためのガイドブック
- 初版年月日
- 2022年3月31日
- 書店発売日
- 2022年3月31日
- 登録日
- 2022年3月10日
- 最終更新日
- 2022年3月18日
紹介
地域調査で卒論・レポートを書きたい人のために
卒論・レポートのテーマ選びにテーマ設定、執筆に必要な作業や手続きを網羅した地理学で地域調査を行う学生のための必携テキスト
本書は,主に地理学や関連する分野において地域調査を行うことで報告書や卒業論文を執筆しようとしている学生を対象として,地理学的な研究テーマとしてどのようなものがあり,それをどのようにして設定したのかという点や,実際に論文を執筆する際に必要な作業や手続き等を説明した参考書である。具体的には,人文地理学,自然地理学,地理教育,GISなど地理学の幅広い分野を専門とする23人の研究者が執筆者となり,自身が執筆した論文・著書・報告書等の原稿を持ち寄り,その内容に基づいて上記の点を解説している。(「まえがき」より抜粋)
執筆者紹介(執筆順)*は編者,**は監修
阿部康久*(アベ ヤスヒサ)
九州大学准教授
廣内大助(ヒロウチ ダイスケ)
信州大学教授
富田啓介(トミタ ケイスケ)
愛知学院大学准教授
阿部亮吾(アベ リョウゴ)
愛知教育大学准教授
石川菜央(イシカワ ナヲ)
東洋大学准教授
服部亜由未(ハットリ アユミ)
愛知県立大学准教授
山元貴継*(ヤマモト タカツグ)
中部大学准教授
稲垣 稜(イナガキ リョウ)
奈良大学教授
前田洋介(マエダ ヨウスケ)
新潟大学准教授
立見淳哉(タテミ ジュンヤ)
大阪市立大学教授
土屋 純*(ツチヤ ジュン)
関西大学教授
杉江あい(スギエ アイ)
名古屋大学特任助教
齊藤由香(サイトウ ユカ)
金城学院大学教授
伊賀聖屋(イガ マサヤ)
名古屋大学准教授
大平明夫(オオヒラ アキオ)
宮崎大学教授
森田匡俊(モリタ マサトシ)
岐阜聖徳学園大学准教授
?井寿文(タカイ トシブミ)
早稲田大学本庄高等学院教諭
片岡博美(カタオカ ヒロミ)
近畿大学教授
杉山和明(スギヤマ カズアキ)
流通経済大学教授
伊藤健司(イトウ ケンジ)
名城大学教授
谷 謙二(タニ ケンジ)
埼玉大学教授
鈴木 允(スズキ マコト)
横浜国立大学准教授
岡本耕平**(オカモト コウヘイ)
愛知大学教授
目次
まえがき
第1部 【国内調査】
01 身近な地域の成り立ちを考える
発達史地形学へのアプローチ 廣内大助(信州大学)
1 はじめに:地形学の魅力とは
2 地形学と地質学
3 日本の平野の多くは海面変動と地殻変動の影響を受ける
4 まずは地形を調べてみる
5 フィールドワークで何を明らかにできるのか
6 地殻変動と地形発達の関わりを考察する
7 おわりに
02 地理学の視点で動植物を調べる
富田啓介(愛知学院大学)
1 地理学から生物を扱う際の切り口
2 仮説を立て調査地を探す
3 方法を選び調査する
4 調査現場での注意
5 結果を考察する
03 「景観」から社会を読む
阿部亮吾(愛知教育大学)
1 はじめに
2 「被爆建造物」群との出会い
3 資料を収集する・聞き取り調査をする
4 調査から結論にたどりつくまでに
5 おわりに
04 伝統行事を地理学で読み解く
聞き取り調査を中心に 石川菜央(東洋大学)
1 研究のテーマ設定
2 伝統行事をとらえる地理学的な視点のヒント
3 調査の手順
4 聞き取り調査の段取り
5 「なぜ?」と聞かない質問術
6 調査結果のまとめ
05 産業の歴史を調査する
服部亜由未(愛知県立大学)
1 産業の担い手はどこから?
2 記録から担い手の行動を読みとく
3 記録の背景を探る
4 語りを生かす
06 地理学の視点で「アニメ聖地巡礼」をみる
山元貴継(中部大学)
1 「アニメ聖地巡礼」への注目
2 統計類での把握の難しさ
3 アンケートや聞き取り調査
4 調査の結果
07 都心居住者の職住関係を明らかにする
稲垣 稜(奈良大学)
1 問題意識:都心居住者は職住近接化しているのか?
2 文献を読む
3 国勢調査とアンケート調査からみる都心居住者の従業地
4 論文を完成させる
5 おわりに:当然視されていることを疑って検証してみよう
08 ボランタリー組織をとらえる
前田洋介(新潟大学)
1 ボランタリー組織を位置づける:先行研究の整理
2 NPO法人を数える
3 ローカルに活動するNPO法人の調査
4 ローカルに活動するNPO法人の空間的特徴
5 分析結果から何がいえるのか
6 今後のボランタリー組織研究に向けて
09 SNSを用いた外国人へのインタビュー調査
阿部康久(九州大学)
1 研究したいテーマはあるけど調査方法がわからない!
2 インターネットやSNSを利用して調査対象者を確保
3 インタビュー項目の選定・修正と実際の調査の進め方
4 調査結果のまとめ方
5 調査結果のまとめ
6 実際に卒論を書いてもらう際に重要なこと
10 地場/地域産業で卒論を書く
どう調査し,どう結果を学術的に解釈するか? 立見淳哉(大阪市立大学)
1 卒論執筆の進め方:地場/地域産業編
2 地場産業産地をどうやって調査するか
3 調査結果をどうやって解釈するか:理論的な概念を使う
第2部 【海外調査】
11 卒論では海外の地域をどのように研究したらよいだろうか?
阿部康久(九州大学)
1 卒論で外国の地域を扱うには?
2 日本企業の市場指向型の海外進出と販売店の展開・分布について調べたい
3 トヨタ自動車の中国への進出状況をまとめる
4 地理学的視点を打ち出すことの難しさ
5 インタビュー調査と課題
12 オープンデータ・資料の活用による論文執筆
日本語コールセンターの海外移転を例に 阿部康久(九州大学)
1 あなたがコールセンターにかけた電話は中国につながっている!
2 現地調査の難しさ
3 公表されているデータ・情報を「うまく」活かすよう方向転換
4 論文完成までのプロセス
5 調査結果と考えたこと:やはり日本語のコールセンターを海外で運営するのは難しい!
6 論文執筆の際に心がけること
13 韓国の街を調べる
山元貴継(中部大学)
1 韓国でのフィールドワーク
2 日韓の街に関する地図情報
3 「地番図」などを活用した調査
4 調査結果からみた韓国の中心商業地
5 調査で実感する韓国の街の変化
14 インドにおけるショッピングモール発展に関する調査研究
土屋 純(関西大学)
1 従来の研究から状況を把握する
2 まずは観察してみる
3 デリー首都圏における分布状況を調査する
15 バングラデシュの物乞いをテーマに論文を書く
杉江あい(名古屋大学)
1 海外調査の準備
2 調査時の注意とデータの分析
3 「はじめに」はおわりに書く
16 産業から地域をみる
スペインワイン産業の研究 齊藤由香(金城学院大学)
1 土地への興味・関心を研究課題に結びつける
2 対象へのアプローチ
3 研究の目的と方法の設定
4 現地調査を実施する
5 調査結果のまとめ方
6 海外研究を成功させるために
コラム 外国語の習得:フィールドの言語(ことば)を学ぶ意義(齊藤由香)
17 カリブ海に注ぐ河を遡る
ニカラグア・モスキート平野のフィールドワーク 池口明子(横浜国立大学)
1 目からウロコの海外調査
2 生き物から身を守る
3 カヌーで川を遡上する
4 争いから身を守る
18 グローバル化と食料の生産空間
インドネシアにおけるエビ養殖のネットワーク 伊賀聖屋(名古屋大学)
1 はじめに
2 食料の生産空間を解釈するための視点
3 エビ養殖池におけるフィールドワーク
4 おわりに
第3部 【応用的調査・社会実践】
19 自然災害に関連する石碑と防災教育
大平明夫(宮崎大学)
1 研究の背景
2 自然災害伝承碑の現況調査
3 調査方法
4 宮崎県における自然災害伝承碑
5 防災教育での活用に向けて
20 海水浴客の津波避難行動
森田匡俊(岐阜聖徳学園大学)
1 海水浴客はどこへ逃げるのか?
2 電子機材を活用した調査
3 調査結果を可視化する
4 調査結果による地域貢献
21 外国人がとらえた日本の都市空間
空間認知の地理学 髙井寿文(早稲田大学本庄高等学院)
1 研究のきっかけ
2 調査のしかた
3 二つの調査からわかったこと
4 得られた知見を社会に活かす
22 外国人と地域について考えてみる
片岡博美(近畿大学)
1 外国人と地域
2 外国人の地域における日常を調査する
3 外国人と地域の「これから」を考える
23 飲酒の空間を調べてみよう
アルコールの社会・文化地理学への招待 杉山和明(流通経済大学)
1 社会・文化地理学からのアプローチ
2 地域の酒文化,店舗業態の機能分化
3 アルコールを媒介とした行為・イベント・観光
4 アルコール飲料と飲酒様式の変化
5 新たなレシピの創作に向けて
24 大型ショッピングセンターはどこにあるのかを調べる
伊藤健司(名城大学)
1 巨大な消費空間としてのモール型ショッピングセンター
2 対象とする「大型商業施設」
3 以前の土地利用を調べる
4 背景としてのもう一つのアプローチ
25 住宅地図で「コンビニ」を調べる
山元貴継(中部大学)
1 コンビニエンス・ストアの再編
2 店舗立地の記録としての住宅地図
3 コンビニエンス・ストアをめぐる空間的分析
26 GISデータをつくる・公開する
谷 謙二(埼玉大学)
1 GISの研究
2 地形図画像データの作成
3 地形図をシームレスにつなげる
4 実際の作業
5 タイルを表示するには
6 論文にするには
27 地域事象の教材化と授業開発
地理教育研究への地理学からのアプローチ 鈴木 允(横浜国立大学)
1 はじめに
2 研究の問題意識
3 地理教育研究をどう進めるか
4 おわりに
上記内容は本書刊行時のものです。