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新しい女は瞬間である 尾竹紅吉/富本一枝著作集
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年8月18日
- 書店発売日
- 2023年8月18日
- 登録日
- 2023年6月28日
- 最終更新日
- 2023年10月11日
紹介
大正時代、フェミニズムを説き、アートを説き、女であることを諦めなかった一人の芸術家がいた。
生前に一冊の著書もなく、これまで埋もれてきた「新しい女」初の著作集。
尾竹紅吉(本名・富本一枝)は、1912年青鞜社に入社、雑誌『青鞜』へ表紙絵、詩、随筆を寄稿し、大正時代の開始とともに積極的に活動をはじめた文筆家です。また、12回巽画会展覧会に入賞するなど、その基盤には画家としての素養が深く根付いていました。しかし、女を愛し、バーや遊郭を取材するなど、その自由奔放なふるまいから「新しい女」として世間のバッシングを受け、『青鞜』をわずか9ヶ月で去らざるを得ませんでした。
彼女はその後、自らの絵で得た資金を元手に雑誌『番紅花(さふらん)』を起こしますが、結婚・育児に忙殺される中で自身の執筆より社会や女性運動の支援に回っていくようになります。
それゆえ、研究対象として光を浴びる機会が少なく、優れた文章を多く残しながらも著書は没後に刊行された童話のみでした。
尾竹生誕130周年の今年、時代を先駆け、美術と言葉の領域を力強くとびこえてみせた思考を、詩・小説・エッセイなどその多彩な作品を通して追います。
女性と男性に分けられない性の悩み、
メディアの炎上に焼かれる悔しさ、
田舎で創造的に暮らすこと、
家庭労働のために十分に自分の仕事ができない葛藤、
自分を差し置いて仲間に手を差し伸べること、
そして戦争への流れを止めることができなかったこと……。
一枝が向き合い、苦しんだものごとは、同時代の人々に比べても時代を先駆けていた。
そのことが、彼女を過去よりも現在に近い存在として引き寄せる。(解説より)
目次
はじめに
第Ⅰ部 創作(詩・小説・童話)
第Ⅱ部 随筆(自身のこと・思い出)
第Ⅲ部 評論(他者・社会のこと)
第Ⅳ部 インタビュー
解説
祖母のこと 海藤隆吉
今日の芸術家としての尾竹紅吉/富本一枝 足立 元
年譜/著作年譜
前書きなど
はじめに
尾竹紅吉の振る舞いについて書かれた文章は、数え切れないほどある。大正時代の『青鞜』に 触れた小説やドラマの類では、彼女が魅惑的な端役としてしばしば登場する。にもかかわらず、彼女が書いた詩、小説、童話、随筆、評論などをまとめて読める書は、これまで存在しなかった。彼女は、主体的な芸術家としてではなく、他者による評論や表現の対象としての役割に、没後ずっと縛り付けられてきた。 彼女を今日の芸術家としてよみがえらせたい。本書は、尾竹紅吉/富本一枝が書いた文章を、容易に手の届くかたちで提供することを目指して、編まれた。日本近代美術史・文学史における再評価をこえて、彼女の存在や声がより身近な存在として現れるように。
上記内容は本書刊行時のものです。