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認知や行動に性差はあるのか P.J.カプラン(著) - 北大路書房
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認知や行動に性差はあるのか (ニンチヤコウドウニセイサハアルノカ) 科学的研究を批判的に読み解く (カガクテキケンキュウヲヒハンテキニヨミトク)
原書: THINKING CRITICALLY ABOUT RESEARCH ON SEX AND GENDER, 3rd Edition

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発行:北大路書房
四六判
320ページ
並製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-7628-2732-7   COPY
ISBN 13
9784762827327   COPY
ISBN 10h
4-7628-2732-0   COPY
ISBN 10
4762827320   COPY
出版者記号
7628   COPY
Cコード
C1011  
1:教養 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年11月
書店発売日
登録日
2010年11月25日
最終更新日
2019年4月18日
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書評掲載情報

2019-03-28 荻上チキ・Session-22    2019年3月28日(木)のオープニングトーク
評者: 荻上チキ 氏(評論家)
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重版情報

2刷 出来予定日: 2019-05-13
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2019年3月28日(金曜日22:00―23:55)放送のTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」のオープニングトークで紹介されました。また,2刷りの帯に,荻上チキさんから,改めて「推薦のことば」を頂戴しました。「男脳だから論理的で,女脳だから感情的? はびこる脳科学神話の数々――メディアが流す『分りやすさの罠』に陥らないための科学者からの誠実な応答!」

紹介

性差についてのクリティカル・シンキングを培うために!
英語圏で版を重ねた定評ある一冊。

メディアや教育を通じて喧伝される性差に関する科学的研究は,
誰が,何のために,どのような手続きで行っているのだろうか?
数学能力,空間能力,言語能力,脳,セクシュアリティ,対人関係能力など,
これまで性差の存在が強調されてきたテーマごとに,
その研究の方法論や結果の解釈にさかのぼって批判的に考察する。


◆荻上チキさん(評論家)推薦!!

男脳だから論理的で、女脳だから感情的?
はびこる脳科学神話の数々――
メディアが流す「分りやすさの罠」に陥らないための
科学者からの誠実な応答!

目次

第1版まえがき
第2版まえがき
第3版まえがき

第1章 序論
 循環するバイアス
 2つの危険な仮定
 まったく新しい考え方
 みなさんが学ぶこと
 本書における性別とジェンダーの意味
 本書の概略
 性差を視点に入れておく

第2章 性差研究の歴史を簡単に展望する
 ところで、だれの歴史なのだろうか
 女性の劣等性の証拠を求めて
 社会生物学と進化心理学――現代版社会進化論
 問題あるパターンのいくつかを要約する

第3章 性別とジェンダーの研究に科学的方法を用いる
 何を研究するかを選ぶ
 自分が何を探しているのかを正確に決める
 研究を計画する
 研究を実施する
 結果を解釈する
 メタ分析――研究をまとめる
 なぜ性差/ジェンダー差を研究するのか

第4章 男の子は女の子より数学ができるのか
 「数学推論能力」を測定する
 均質のサンプルをとるという問題
 暗示の力
 特殊から一般へ
 男性は生まれつき優れているという正当化されない主張
 最近の展開

第5章 空間能力の性差
 空間能力とは何か
 性差の程度
 動く砂の上で理論をつくる

第6章 女性は男性より高い言語能力をもっているのか
 言語能力とは何か
 言語能力における性差はあるのか
 テスト構造の問題
 なぜ人々は女性が言語的に優れていると信じているのか

第7章 脳の性差に関する最近の研究
 脳を研究する――性差研究に関するこの現代的アプローチからわかることとわからないこと
 脳の構造と機能をどのように測定するのか
 性差に関する脳研究の基礎にある仮定をあばく
 1つの例――脳半球間のつながり

第8章 ホルモンが女性をつくるのか――あるいは男性も
 「PMS」とはいったい何だろうか
 産後うつ病とは何だろう
 更年期は問題なのか
 ホルモンが引き起こす問題を研究するのはなぜ難しいのか
 「男性の更年期」はあるのか
 リサーチ・クエスチョンの選択

第9章 セクシュアリティ
 基準としての男性
 プロトタイプとステレオタイプ
 見いだされた差異は普遍的なのだろうか―― 文化比較
 性差は生物学的なものが基礎にあるのだろうか――比較動物研究
 性的指向に関するいくつかの覚え書き
 障害と呼ばれた同性愛
 同性愛の「原因」
 「性同一性障害」

第10章 女性のマゾヒズムについての神話
 メイの研究
 女性とマゾヒズムについての新しい見方

第11章 対人関係能力は「依存性」と呼ぶほうがよいのだろうか
 依存性と情緒
 女性は男性よりも道徳的に劣っているのだろうか
 主張性
 啓発的な2つの研究

第12章 攻撃性の性差
 男性の高い攻撃性は生得的なものなのか
 攻撃性の性差に関する研究
 女性は違う形で攻撃的なのだろうか
 攻撃性についての仮定がもたらす社会的・政治的ないくつかの帰結
 開かれた未来をめざして

第13章 母親非難
 母親非難は正当化されるのか、もしくは役に立つのか
 父親役割のゆがみ
 なぜ母親非難が生じるのか

第14章 バイアスの循環を破る――研究について判断できる知識をもった人になる

訳者あとがき

引用文献
索引

前書きなど

◆「訳者あとがき」(一部抜粋)

 「なぜ男女はわかりあえないのか」「すれ違う彼と彼女」「性差のなぞ」のようなタイトルであれば、書店で手にとる人も多いかもしれない。しかし、本書は、そうした本を「本当にそうなのだろうか」「どこからそんなことが言えるのか」のように、批判的に読むことをすすめ、その批判的思考のスキルを学んでほしいという意図で執筆されたものである。日本でもしばらく前に 『話を聞かない男、地図を読めない女』(アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ/藤井留美(訳) 婦人の友社 2000年)という本が翻訳出版され話題を呼んだ。その本の中では、空間能力や言語能力などの能力や行動における性差の例がさまざまにあげられ、そうした男女の差異はホルモンや脳の機能などに基づくものであると説明されていた。男女の差異が生じる原因について、一見科学的な説明がわかりやすく書いてあるので、読んで納得した人も多いのではないだろうか。この本に代表されるように、男女はさまざまな面で異なり、それは生物学的なものが原因だという話は単純なだけにわかりやすい。同じような内容の本は、『だから男と女はすれ違う』(奥村康一、水野重理、高間大介 ダイヤモンド社 2009年)、『共感する女脳、システム化する男脳』(サイモン・バロン=コーエン/三宅真砂子(訳)NHK社 2005年)などたくさん出版されている。
 これに対して本書は、正直なところ、かなりくどい。うんざりする人もいるかもしれない。「数学に関連する能力には『性差がある』と言われているが、それは本当だろうか?」という1文を読むだけでも、そのために必要な時間は、「性差がある」というくだりで終わるよりも長くなる。つまり、「性差がある」ことを批判的に考えるには、「性差がある」ことに納得するよりも、かなりの時間が必要なのである。たとえば、本書の5章で扱っている空間能力を例にとると、「空間能力とは何か」という定義の問題から始まり、「空間能力はどのように調べるのか」という測定方法の問題などがさまざまに紹介され、そして何より、そこまで時間をかけたにもかかわらず、明確な結論はない。
 ……受験勉強のように、たった1つの正解だけを求める人にとっては、たいへん中途半端な状態だろう。しかし、頭を鍛えたい人にとって批判的思考はとてもよい訓練であるし、何より、氾濫するさまざまな情報に惑わされないためにも、身につけたいスキルの1つだ。その材料として「性差」は身近なテーマだけに最適ではないだろうか。初対面の人でも女か男かはすぐわかる(と思っている)くらい、男女の差異は歴然としている(と思っている)。しかし、常識とされているものにあえて疑問をもち、それについていろいろな角度から考えてみることで見えてくるものがあるだろうし、これを積み重ねていけば、あふれる情報に惑わされることなく、自分なりの考えをもつことができるのではないだろうか。

著者プロフィール

P.J.カプラン  (カプラン ピージェー)  (

ポーラ・J. カプラン (Paula J. Caplan)

J.B.カプラン  (カプラン ジェービー)  (

ジェレミー・B. カプラン(Jeremy B. Caplan )

上記内容は本書刊行時のものです。