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貧困化する授業からの反転
デジタル化と「子ども主体」の偽装を真正の教育へ
- 初版年月日
- 2024年11月10日
- 書店発売日
- 2024年11月16日
- 登録日
- 2024年10月4日
- 最終更新日
- 2024年11月15日
紹介
デジタル化の落とし穴、ログ収集の危険、個別最適な学びと資質能力論の幻想性を検討。
日本では、教育のICT化がともすると、教育の画一化を加速させている。
「教え学ぶ世界には丹念な準備が必要だが、準備で完成するわけではなく、
教え学ぶ者たちの絶えざる即興との複合によって生み出されていくものである」という把握を根底に、
GIGAスクール化と「令和の日本型学校教育」の理念を吟味し、現在の子ども・教師のおかれた状況を考察。
教育の画一化と貧困化が一層推し進められることとなった現状を鋭く批判。
教師の教育活動から思考が奪われ、より一層の画一化が図られる世界に警鐘を鳴らす!
目次
はじめに
第1章 GIGAスクールによる画一化と教育の質的貧困化―「令和の日本型学校教育」の歪み
1 Society5.0と「GIGAスクール構想」
2 PCの配付と利用がGIGAスクール構想
3 PCの利用による画一化と貧困化の仕組み
4 「個別最適な学び」の偏重
5 借り物の「個別最適な学び」
6 デジタル化の風景と不可能性
7 「令和の日本型学校教育」に潜む画一化と貧困化
第2章 デジタル化による教育課程と教育方法の支配の仕組み
1 これまでの教育活動の統制
2 デジタル化による教育活動の新たな統制
3 PCとデジタルの利用による画一化と貧困化の様相と問題点
4 学習ログと評定と管理・監視
5 検討課題
第3章 「令和の日本型学校」の学びとログの問題
1 データ収集に向かう「令和の日本型学校」
2 データ収集の問題点と遅れる対策
3 データに基づく最適な学びという幻想
4 教材のデジタル化の問題点
5 デジタル化と教育・学習活動の画一化と孤立化
6 教師の専門職権限の復権と自律
第4章 資質・能力論批判
1 引っ込んだアクティブ・ラーニング論
2 「資質・能力」ベースの教育
3 膨張する世界の能力の概念
4 「資質・能力」論の弱点・欠陥
5 資質・能力への期待値のゆらぎ
6 教材研究ベースの再構築
7 汎用的スキルを越える子どものまなざし
第5章 ICTの不可能性と現実に出会う授業
1 ICT化の突風
2 家庭科におけるICT化の風の形
3 ICTの原理的な不可能性
4 教師用デジタル教科書の問題
5 学習ログと情報の共有の問題
6 本物とリアルを原則とした学びへ
7 社会科の事例から
8 教科ごとの違いに関するデータからの検討課題
第6章 自由進度学習と「個別最適な学び」論の課題
1 自由進度学習への再注目
2 自由進度学習の国内起源と取り組み方
3 自由進度学習の学習課題の困難
4 自由進度学習はつまずきからいつ回復するのか
5 自由進度学習の制約から
6 「個別最適な学び」論の誤解と誤認
第7章 現実を自分たちで探究する―情報空間の虚偽を越える―
1 探究へのシフト
2 探究学習への期待
3 文科省指定校の探究テーマ
4 探究のテーマの動向へのクリティカルなまなざし
5 探究の指導の困難
6 探究のコンパクト化に抗して
第8章 読みと対話・討論を巡る教育の軽薄化に対抗する―国語教育の内容と方法を取り戻す
1 流行の授業実践を探る基本
2 国語教育のトレンド
3 ジェネリック・スキルの硬直化と対話
4 対話・討論の三つの要件
第9章 新版「生徒指導提要」とデジタルによる画一化
1 標準服の改定ブームの構造
2 画一化の変化か画一化方式の変化か
3 教育のスタンダード化の盛衰と矛盾
4 デジタル化による教師管理と授業の画一化
第10章 教育におけるAI利用の課題
はじめに
1 AIの仕組みと限界
2 AIの回答は誰の回答か
3 AIに抜かれる個人情報と教育の実質
上記内容は本書刊行時のものです。