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形容詞・形容動詞の短歌 コレクション1000
- 初版年月日
- 2024年8月20日
- 発売予定日
- 2024年8月22日
- 登録日
- 2024年7月2日
- 最終更新日
- 2024年7月2日
前書きなど
はじめに
スタンダードとアドベンチャー――形容詞・形容動詞の魅力
わが国には実に多くの形容詞・形容動詞があります。その割には、これらの品詞は、文法書以外ではこれまで正面切って取り上げられておりません。形容詞・形容動詞というと硬い感じがしますが、じつのところ、歌人がいちばん言いたいところに具体的にフォーカスするときに頼るのがこの二つの品詞だということは明らかな事実です。しばしば一首中の「花」というべき役割を担っています。本著に太字で表した部分が、それぞれの歌の中核となっていることは、明快に読み取れるところです。
一方で、歌人が歌を作る時に心がける方向を思い切りよく摘出すれば「スタンダード」と「アドベンチャー」の両方向になります。本著ではこのふたつの品詞を活かした、古今の秀歌(スタンダード)と意欲作(アドベンチャー)の双方を紹介しています。
ときに、風光の精緻をとらえ、人の世の機微を掘り下げるさまに、まさに「なるほどね」とうなずく、所を得た表現の確認と同時に、「そんな言い回しができるのか」という新発見の確認とをふたつながら提示しました。「正」と「奇」の競演です。
形容動詞については専門家の間でも説が分かれ、極端なものとして、独立の品詞と見做さない説さえあります。ですから、当然の現象として国語辞典の扱いも辞書によって許容にばらつきがあります。本書は歌人のアドベンチャーを支持する立場から、外国語も含めて許容範囲を広く捉えています。伝統のみやび、外国語の斬新、今日現在の話しことば、俗語や方言にひそむ絶妙のニュアンスはこの両品詞の自在さを語ってくれます。
なお、本著ではかなり幅広く斬新な表現を取り込んでいますが、辞書の裏付けのない語は一語たりとも収めておりません。
また、形容詞・形容動詞の語幹には助詞をともなう特殊用法や名詞・副詞に隣接するケースもありますので、鑑賞や実作に資する範囲で「コラム」として紹介しています。
一首一首をよくよく味わってみれば、先人がなぜ形容詞 形容動詞という品詞を尊重してきたかがあらためて明確にわかると思います。これらの品詞の存在意義とは何か、本領は何か、機能効果はどのようなものか、百聞は一見に如かず、早速ご覧いただきたい。
どうか、座右に置かれまして、折々形容詞・形容動詞の魅力・底力をご堪能ください。
上記内容は本書刊行時のものです。