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保育者のための専門職倫理ハンドブック
事例から学ぶ実践への活用法
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2024年12月10日
- 書店発売日
- 2024年12月19日
- 登録日
- 2024年11月15日
- 最終更新日
- 2024年12月13日
紹介
保育者は実践の中で「子どもに対する責任」と「保護者に対する責任」の間で生じる板挟み、「園の方針」や「同僚の意見」と「子どもに対する責任」との対立などといった倫理的問題に直面する。ではどのように「子どもの最善の利益」は保障すればよいのだろうか? 問題の性質を見極め、専門職倫理を活用して問題解決に向かうための一冊。
目次
はじめに[亀﨑美沙子]
1.本書の趣旨
(1)本書の趣旨
(2)本書刊行の背景
(3)アメリカのNAEYC倫理綱領から学ぶ
2.本書の構成と活用方法
3.本書における用語および活用する文書等について
(1)本書で活用する倫理綱領等について
(2)子どもの権利条約の訳文について
(3)本書で用いる用語について
(4)NAEYC倫理綱領の訳文について
理論編
第1章 保育者の実践をめぐる課題と専門職倫理の必要性[鶴宏史]
第1節 「不適切な保育」をめぐる議論
第2節 実践における専門職倫理の必要性
1.専門職倫理とは
2.倫理綱領とは
第3節 日本における保育者の専門職倫理をめぐる現状
1.倫理綱領の有効性の範囲
2.保育者の専門職としての価値や具体的な行為基準の明確化
3.保育者や学生への倫理教育のあり方
4.倫理的問題に対する取り組み
おわりに
第2章 NAEYC倫理綱領に学ぶ[鶴宏史]
第1節 NAEYCによる倫理的問題への取り組み
1.NAEYC倫理綱領の概要
(1)NAEYC倫理綱領の対象
(2)NAEYC倫理綱領の構成と内容
(3)NAEYC倫理綱領のガイドブック
2.倫理的問題とその対応
(1)第1部:問題の性質を決定する
(2)第2部:ジレンマの分析
第2節 NAEYC倫理綱領の実践への活用法
1.事例の概要
2.事例に基づく倫理的ジレンマの対応プロセス
(1)問題の性質を決定する
(2)倫理的ジレンマの解消のためのプロセス
おわりに
第3章 わが国における保育者の倫理的問題[鶴宏史]
第1節 本研究プロジェクトの概要
1.研究の目的
2.研究の方法
(1)文献研究
(2)インタビュー調査
第2節 事例の分析枠組み
実践編
第4章 保育における倫理的問題 ①法的責任の問題[亀﨑美沙子]
第1節 虐待の疑いのある子どもへの対応
〈事例1〉子ども虐待の疑い
第2節 問題の性質を特定する
第3節 保育者の倫理的責任を理解する
1.法令から考える
2.倫理綱領から考える
(1)「全国保育士会倫理綱領」から考える
(2)NAEYC倫理綱領から考える
3.子どもの権利条約から考える
第4節 よりよい実践にむけて
コラム 児童虐待とは
第5章 保育における倫理的問題 ②倫理的責任の問題[中谷奈津子]
第1節 肌の弱い子どもへの与薬行為とその対応
〈事例2〉肌の弱い子どもへの与薬行為とその対応
第2節 問題の性質を特定する
第3節 保育者の倫理的責任を理解する
1.保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領およびその解説から考える
2.倫理綱領から考える
(1)「全国保育士会倫理綱領」から考える
(2)NAEYC倫理綱領から考える
第4節 よりよい実践にむけて
コラム 与薬について
第6章 保育における倫理的問題 ③倫理的ジレンマ[中谷奈津子]
第1節 午睡をやめさせたい保護者とその対応
〈事例3〉午睡をやめさせたい保護者とその対応
第2節 問題の性質を特定する
第3節 保育者の倫理的責任を理解する
1.保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領およびその解説から考える
2.倫理綱領から考える
(1)「全国保育士会倫理綱領」から考える
(2)NAEYC倫理綱領から考える
3.子どもの権利条約から考える
第4節 よりよい実践にむけて
コラム 午睡について
第7章 保育における「困り感」[亀﨑美沙子]
第1節 保育の難しさ
〈事例4〉危険を伴う行動への対応
第2節 問題の性質を特定する
第3節 保育者の倫理的責任を理解する
1.「全国保育士会倫理綱領」から考える
2.NAEYC倫理綱領から考える
(1)子どもに対する倫理的責任
(2)家族に対する倫理的責任
第4節 よりよい実践にむけて
1.保育の視点から
2.子育て支援の視点から
3.職員の資質向上および保育の質の向上の視点から
おわりに[鶴宏史]
巻末資料
保育者の倫理綱領および責任声明――全米乳幼児教育協会(NAEYC)の公式声明
乳児院 倫理綱領
全国児童養護施設協議会 倫理綱領
社会福祉士の倫理綱領
社会福祉士の行動規範
前書きなど
はじめに
(……)
2.本書の構成と活用方法
本書は〈理論編〉〈実践編〉という2つのパートで構成されています。〈理論編〉では、保育者の実践における専門職倫理の必要性や保育者の専門職倫理をめぐる現状について述べています。また、本書が基礎におくアメリカのNAEYC倫理綱領と、これを活用した倫理的問題の解決の手順等について詳述しています。最後に、本書の基盤となる研究プロジェクトの概要を紹介しています。
続く〈実践編〉では、わが国の保育者が遭遇しうる倫理的問題として、①法的責任の問題、②倫理的責任の問題、③倫理的ジレンマ、④「困り感」の4つのカテゴリー別に、その解決の道筋を示しています。ここで取り上げるのは、国内調査をもとに作成した架空の事例です。これらの事例について、どのように問題の性質を特定し、専門職倫理に基づいてどのように解決すべきかを、『NAEYC倫理綱領ガイドブック』等をもとに詳述しています。
本書の活用方法として、〈理論編〉で専門職倫理や本書の趣旨を踏まえたうえで、〈実践編〉を読んでいただくだけでなく、〈実践編〉から読み始め、問題解決のプロセスを把握したうえで、〈理論編〉でこれらの基礎となる専門職倫理の内容の理解を深めていただくことも可能です。あるいは、ご自身の直面している課題に応じて、〈実践編〉の事例を部分的に参照することも可能です。それぞれの必要性や関心に応じて、本書をご活用いただければ幸いです。
最後に、巻末資料として、研究会で取り組んできたNAEYC倫理綱領の和訳を掲載しています。あわせて、関係する複数の倫理綱領を参考資料として掲載しています。
上記内容は本書刊行時のものです。