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自閉症とその他の神経発達症のESSENCE(エッセンス) クリストファー・ギルバーグ(著) - 明石書店
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自閉症とその他の神経発達症のESSENCE(エッセンス) (ジヘイショウトソノタノシンケイハッタツショウノエッセンス) 併存症、評価、および介入について再考する (ヘイゾンショウヒョウカオヨビカイニュウニツイテサイコウスル)

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発行:明石書店
A5判
164ページ
並製
価格 2,200円+税
ISBN
978-4-7503-5790-4   COPY
ISBN 13
9784750357904   COPY
ISBN 10h
4-7503-5790-1   COPY
ISBN 10
4750357901   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0011  
0:一般 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年7月31日
発売予定日
登録日
2024年7月2日
最終更新日
2024年7月12日
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紹介

児童精神医学の泰斗、クリストファー・ギルバーグ教授が提唱した、神経発達障害のある子どもの早期の状態、またその見極め方であるESSENCE(神経発達的診察が必要になる早期徴候症候群)。
本書では、ESSENCEの概念をはじめ、各症候群の状態像を概説した上で、具体的な事例を症例説明の形で示し、さらに、それぞれのライフステージにおけるESSENCEの影響までを解説。
従来のカテゴリー診断の限界を踏まえ、症状の共有や診断の併存が「ルール」であるという視点を提供し、包括的なアセスメントとそれに基づく早期の支援/介入/治療の必要性を説いた一冊。

目次

第1章 ESSENCE(エッセンス)って何?
第2章 注意欠如・多動症(ADHD)、不注意、衝動性と落ち着きのなさ
第3章 自閉症
第4章 発達性協調運動症(DCD)
第5章 話し言葉と言語の障害
第6章 知的発達症(ID)および学習上の問題
第7章 限局性学習症(学習困難)
第8章 トゥレット症およびその他のチック症群
第9章 選択性緘黙(場面緘黙)
第10章 回避・制限性食物摂取症(ARFID)
第11章 反応性アタッチメント障害(RAD)および脱抑制型対人交流障害(DSED)
第12章 小児急性発症神経精神症候群(PANS)および溶連菌感染症関連小児自己免疫性神経精神疾患(PANDAS)
第13章 行動表現型症候群(BPS)
第14章 神経疾患および神経障害
第15章 ESSENCE:3件の症例報告
第16章 ESSENCEとともに歩む人生:小児期以降
第17章 ESSENCEセンター
終わりに

 参考文献
 索引
 監修者あとがき
 著者・監修者・訳者紹介

前書きなど

監修者 あとがき(1)

 ESSENCE(Early Symptomatic Syndromes Eliciting Neurodevelopmental Clinical Examinations〔神経発達的診察が必要になる早期徴候症候群〕)は、ギルバーグ先生が2010年にResearch in Developmental Disabilities誌に発表した論文、The ESSENCE in child psychiatry:Early Symptomatic Syndromes Eliciting Neurodevelopmental Clinical Examinationsで提唱した概念です。ESSENCEは、従来の疾病や障害の診断名ではなく、児童精神医学や発達臨床の対象となる神経発達症に代表される診断や障害においては、症状の共有や診断の併存することが“例外ではなく「ルール」”であり複数の専門家による包括的なアセスメントとそれに基づいた支援/介入/治療が早期からなされることが必要である、という“考え方”です。ギルバーグ先生は、1983年のDAMP(Deficits in Attention, Motor and Perception, ADHDとDCDが併存している状態)についての論文(Gillberg, C. (1983)Perceptual, motor and attentional deficits in Swedish primary school children. Some child psychiatric aspects. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 24, 377-403.)でこの問題に言及しており、その後も新たなアプローチの必要性を指摘して、ESSENCEという包括的なコンセプトを提唱しました。
 ESSENCEの論文が発表された当時、早期発見・早期介入の重要性に関するエビデンスが蓄積され始め、特定の神経発達症に特化した早期介入が有効であるということが言われ始めましたが、私自身は、特定の診断名だけではその子の発達の特性や個性を十分に説明できないと感じ、カテゴリカルな診断分類に基づく早期徴候の研究や特化した支援に戸惑いを覚えていました。そんな中で、ギルバーグ先生の論文に出会い、(僭越な言い方かもしれませんが)まさに「我が意を得たり」と感じ、それが私の臨床活動や研究活動のその後の基盤となりました。また、児童の領域に限らず、精神医学的・臨床心理学的な援助や治療の対象となる人々の背景に潜むESSENCEの問題に意識を向けることで、新たな視点が得られるようになりました。
 本書のスウェーデン語版は2018年にNatur & Kultur社から、今回の翻訳の底本となった英語版は2021年にJessica Kingsley Publishers社からそれぞれ発刊されています。この本では、ESSENCEについての総論、ESSENCEの傘の下に入るさまざまな状態像、児童期・青年期・成人期のESSENCEの問題の表現形を具体的に示す3つの症例、それぞれのライフステージにおけるESSENCEの影響、そして、包括的な支援のためのESSENCEセンターの重要性について述べられています。監修者のひとりとして、ESSENCEの問題を有する人たちの支援や広く子どもの問題に関わっている専門家や成人の精神医学領域で仕事をされる方たちに読んでいただき、社会の中でESSENCEのある人が、その人らしくいきいきと生きていくことが“例外ではなく「ルール」”となることを心から願っています。

著者プロフィール

クリストファー・ギルバーグ  (クリストファー ギルバーグ)  (

1950年生まれ。スウェーデンのイェーテボリ大学で児童青年精神医学分野の教授として研究・教育に従事。2010年にギルバーグ神経精神医学センターを設立。サルグレンスカ大学病院児童精神神経科医長。
臨床現場における複雑な精神医学/神経発達の問題を抱える患者と家族の治療と支援への広範な取り組みは45年を超え、神経発達障害分野に関する700本以上の科学論文と多数の本を執筆。
ロンドン大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、グラスゴー大学、エディンバラ大学、パスツール研究所、高知大学において客員教授や名誉教授を務め、その研究成果により、国内外で数々の賞を受賞。

田中 康雄  (タナカ ヤスオ)  (監修

1958年、栃木県生まれ。児童精神科医・臨床心理士。獨協医科大学医学部卒。北海道内の精神科病院での勤務後、国立精神・神経センター精神保健研究所の児童・思春期精神保健部児童期精神保健研究室長、北海道大学大学院教育学研究院教授、同附属子ども発達臨床研究センター教授を経て、現在、医療法人社団倭会こころとそだちのクリニックむすびめ院長。北海道大学名誉教授、日本児童青年精神医学会認定医。
主な著書として、『ADHDの明日に向かって 増補版』(星和書店、2004年)、『軽度発達障害――繋がりあって生きる』(金剛出版、2008年)、『生活障害として診る発達障害臨床』(中山書店、2016年)、『「発達障害」だけで子どもを見ないで――その子の「不可解」を理解する』(SB新書、2019年)、『僕の児童精神科外来の覚書――子どもと親とともに考え、悩み、実践していること』(日本評論社、2022年)。監修として、『わかってほしい!気になる子』(学習研究社、2004年)。また翻訳監修として、クリストファー・ギルバーグ『アスペルガー症候群がわかる本』(森田由美訳、2003年)、ダイアン・M.ケネディ『ADHDと自閉症の関連がわかる本』(海輪由香子訳、2004年)、エドナ・D・コープランド他編『教師のためのLD・ADHD教育支援マニュアル』(海輪由香子訳、2004年)、ジョージ・J・デュポール他『学校のなかのADHD』(森田由美訳、2005年)、ルース・シュミット・ネーブン他『ADHD医学モデルへの挑戦』(森田由美訳、2006年)、トム・ハートマン『なぜADHDのある人が成功するのか』(海輪由香子訳、2006年)、スティーブン・V・ファラオーネ『子どものメンタルヘルスがわかる本』(豊田英子訳、2007年)、アーサー・E・ヨングスマ他著『臨床現場で使える思春期心理療法の治療計画』(西川美樹訳、2010年)、ロバート・L・ヘンドレン編著『子どもと青年の破壊的行動障害――ADHDと素行障害・反抗挑戦性障害のある子どもたち』(松井由佳訳、2011年)、テレサ・ボーリック『アスペルガー症候群と思春期――実社会へ旅立つ準備を支援するために』(丸山敬子訳、2012年)、キャロル・グレイ他『いじめの罠にさようなら クラスで取り組むワークブック――安全な学校をつくるための子ども間暴力防止プログラム』(小川真弓訳、2013年)、アラン・E・カズン『子どもと青年の素行障害――診断・アセスメントから予防・治療まで』(吉田ちはる訳、2013年)、アーサー・E・ヨングスマ他『臨床現場で使える思春期心理療法の経過記録計画』(坂本律訳、2015年)、アーサー・E・ヨングスマ他著『教育現場で使えるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーのための支援計画』(東眞理子訳、2015年)、クリストファー・J・パトリック編『サイコパシー・ハンドブック』(松井由佳他訳、2015年)、スーザン・ヤング、ジェシカ・ブランハム『大人のADHDのアセスメントと治療プログラム――当事者の生活に即した心理教育的アプローチ』(石川ミカ訳、2015年)が共に明石書店より刊行。

畠中 雄平  (ハタケナカ ユウヘイ)  (監修

琉球大学人文社会学部教授。前高知ギルバーグ発達神経精神医学センター所長。児童精神科医。
本書の著者であるクリストファー・ギルバーグ教授のもと、イェーテボリ大学サルグレンスカアカデミーでPhD の学位を取得。筆頭著者でギルバーグ先生との共著論文として以下のものがある。
Hatakenaka Y, Kotani H, Yasumitsu-Lovell K, Suzuki K, Fernell E, Gillberg C.(2016)Infant Motor Delay and Early Symptomatic Syndromes Eliciting Neurodevelopmental Clinical Examinations in Japan. Pediatric Neurology. 54, 55-63.
Hatakenaka Y, Fernell E, Sakaguchi M, Ninomiya H, Fukunaga I, Gillberg C.(2016).ESSENCE-Q - a first clinical validation study of a new screening questionnaire for young children with suspected neurodevelopmental problems in south Japan. Neuropsychiatric Disease and Treatment. 12, 1739-1746.
Hatakenaka Y, Ninomiya H, Billstedt E, Fernell E, Gillberg C.(2017).ESSENCE-Q - used as a screening tool for neurodevelopmental problems in public health checkups for young children in south Japan. Neuropsychiatric Disease and Treatment. 13, 1271-1280.
Hatakenaka Y, Maeda M, Ninomiya H, Hachiya K, Fernell E, Gillberg C.(2020).ESSENCE-Q obtained in routine Japanese public child health check-ups may be a valuable tool in neurodevelopmental screening. Acta Paediatrica. 109(4), 764-773.
Hatakenaka Y, Hachiya K, Ikezoe S, Åsberg Johnels J, Gillberg C.(2022).How Accurately Does the Information on Motor Development Collected During Health Checkups for Infants Predict the Diagnosis of Neurodevelopmental Disorders? - A Bayesian Network Model-Based Study. Neuropsychiatric Disease and Treatment. Oct 19;18, 2405-2420.

北添 紀子  (キタゾエ ノリコ)  (監修

現在、高知県立療育福祉センター副センター長、高知ギルバーグ発達神経精神医学センター長。児童精神科医。臨床心理士。医学博士(高知大学)。
高知県生まれ。1990年高知医科大学医学部卒業後、高知医科大学神経精神科、高知市内の精神科勤務、鳴門教育大学、高知大学保健管理センターを経て、2017年より現職。
主な論文として,
北添紀子(2012).広汎性発達障害のある大学生の心理療法過程――箱庭療法を中心に.箱庭療法研究,24巻3号,19-33.
北添紀子(2013).社交不安障害の大学生の箱庭療法過程――恥ずかしさの奥にある攻撃性とその現代的表現.箱庭療法学研究,26巻1号,43-53.
Kitazoe N, Inoue S, Izumoto Y, Kumagai N, Iwasaki Y.(2015).The Autism-Spectrum Quotient in university students: pattern of changes in its scores and associated factors. Asia-Pacific Psychiatry. 7(1), 105-12.
Kitazoe N, Fujita N, Izumoto Y, Terada SI, Hatakenaka Y.(2017).Whether the Autism Spectrum Quotient consists of two different subgroups? Cluster analysis of the Autism Spectrum Quotient in general population. Autism. 21(3),323-332.
ギルバーグ教授との共著論文として
Kitazoe N, Mimoto S, Fukunaga I, Hamaguchi M, Hatakenaka Y, Gillberg C. (2024).The ESSENCE-Q: Can specialist supervision improve scoring agreement across specialist and public health nurses/nursery teachers? Acta Paediatrica. 113(2), 267-275.

石川 ミカ  (イシカワ ミカ)  (

国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。外資系銀行勤務を経て、障害・福祉・リハビリテーション分野の翻訳に従事。
主な訳書として、マルチメディアDAISY図書『賢者の贈りもの』(オー・ヘンリー著、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会、2007年)、『玄天 第一巻 白虎』(カイリー・チャン著、バベルプレス、2012年)、『世界障害報告書』(アラナ・オフィサー、アレクサンドラ・ポサラック編、明石書店、2013年)、『大人のADHDのアセスメントと治療プログラム――当事者の生活に即した心理教育的アプローチ』(スーザン・ヤング、ジェシカ・ブランハム著、明石書店、2015年)『アスペルガー症候群の人の就労・職場定着ガイドブック――適切なニーズアセスメントによるコーチング』(バーバラ・ビソネット著、明石書店、2016年)、『ヒトラーの娘たち――ホロコーストに加担したドイツ女性』(ウェンディ・ロワー著、明石書店、2016年)など。『移住者と難民のメンタルヘルス――移動する人の文化精神医学』(ディネッシュ・ブグラ、スシャム・グプタ編、明石書店、2017年)の翻訳に協力。
公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会情報センターのウェブサイトにて、発達障害のある娘との歩みを、当事者である娘自身のコメントと共に、母親が語る『発達障害のある大学生、ユニコと歩む日々』(https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/yuniko.html)として紹介。

上記内容は本書刊行時のものです。