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世界の大学図書館 立田 慶裕(著) - 明石書店
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世界の大学図書館 (セカイノダイガクトショカン) 知の宝庫を訪ねて (チノホウコヲタズネテ)

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発行:明石書店
A5判
224ページ
上製
価格 3,200円+税
ISBN
978-4-7503-5784-3   COPY
ISBN 13
9784750357843   COPY
ISBN 10h
4-7503-5784-7   COPY
ISBN 10
4750357847   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0000  
0:一般 0:単行本 00:総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年6月10日
書店発売日
登録日
2024年5月31日
最終更新日
2024年6月25日
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紹介

大学図書館は知の宝庫であり、各時代の貴重な知的資産が眠っている。一方、近年のICT技術の発展や新たな社会的課題は、図書館の利用形態や存在意義を大きく変えつつある。組織や研究教育のビジョンという視点から、特色ある世界の大学図書館を紹介する。

目次

 はじめに

第1章 変貌する世界の大学図書館ネットワーク
 1.世界の大学図書館の考察に向けて
 2.主要な国際大学図書館協会
 (1)国際図書館コンソーシアム連合
 (2)国際大学図書館協会
 (3)国際研究図書館協会連合
 3.国際的な図書館協会の戦略
 (1)IFLAの戦略
 (2)英国研究図書館コンソーシアム
 (3)LIBER欧州研究図書館協会

第2章 オックスフォード大学の図書館――チュートリアル制度
 1.イノベーションの事例分析の枠組み
 (1)大学図書館の学習環境
 (2)デジタル化する図書館の学習環境
 2.オックスフォード大学図書館
 (1)オックスフォード大学
 (2)大学図書館

第3章 ケンブリッジ大学の図書館――情報リテラシーと研究スキル
 1.ケンブリッジ大学
 (1)大学の概要
 (2)スーパービジョン
 (3)デジタル教育未来センター
 2.大学図書館
 (1)大学図書館の特徴
 (2)脱植民地主義の方針
 (3)デジタルライブラリー
 3.学習と研究のための図書館利用
 (1)ケンブリッジ情報リテラシーネットワーク(CILN)
 (2)カムガイド
 (3)研究スキルガイド

第4章 マンチェスター大学の図書館――大学生のウェルビーイング
 1.マンチェスター大学
 (1)大学の概要
 (2)大学の社会的貢献
 (3)持続可能な発展に向けて
 2.大学図書館
 (1)大学図書館の特徴
 (2)ジョン・ライランズ研究所・図書館
 (3)学生のウェルビーイングに向けて
 (4)学問と研究の支援

第5章 ソルボンヌ大学の図書館――オープンサイエンスへの挑戦
 1.ソルボンヌ大学
 (1)大学の概要
 (2)大学の戦略
 (3)ソルボンヌ大学のアライアンス事業
 2.ソルボンヌ大学の図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)ソルボナム
 (3)オープンサイエンスに向けて
 (4)図書館の利用教育

第6章 MITの図書館――学士課程の研究を支える専門司書
 1.マサチューセッツ工科大学
 (1)大学の概要
 (2)大学の戦略
 (3)学士課程学生の研究支援プログラム
 2.MITの図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)MIT図書館のビジョン
 (3)エキスパート・ライブラリアン
 (4)学士課程学生の研究支援プログラムのサポート

第7章 ブリティッシュ・コロンビア大学の図書館――変容的学習の実践
 1.ブリティッシュ・コロンビア大学
 (1)大学の概要
 (2)大学の戦略
 (3)変容的学習の戦略
 2.大学の図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)図書館の戦略的枠組み
 (3)変容的学習の実現に向けて

第8章 ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの図書館――図書館のデジタルシフト
 1.ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン
 (1)大学の概要
 (2)大学の戦略
 (3)コネクテッド・カリキュラムとデジタル学習
 2.大学の図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)図書館の使命と戦略
 3.英国研究図書館コンソーシアムのデジタルシフト

第9章 スタンフォード大学の図書館――図書館の物語
 1.スタンフォード大学
 (1)大学の概要
 (2)7つのスクール
 (3)大学のビジョン
 2.大学の図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)図書館の物語
 (3)図書館利用者の物語

第10章 シェフィールド大学の図書館――総合的なコンテンツ戦略
 1.シェフィールド大学
 (1)大学の概要
 (2)大学のビジョン、価値と4つの戦略の柱
 2.大学の図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)図書館の使命とビジョン
 (3)図書館の総合的なコンテンツの戦略

第11章 ハーバード大学の図書館――知のコミュニティ
 1.ハーバード大学
 (1)大学の概要
 2.大学の図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)図書館の価値観とビジョン
 (3)デジタル資料の活用サービス
 (4)デジタル図書館の国際化

第12章 ワシントン大学の図書館――図書館とキャリアサービス
 1.大学におけるキャリアサービスの充実のために
 2.ワシントン大学
 (1)大学の概要
 (2)大学の使命、ビジョンと価値観
 3.大学の図書館
 (1)大学図書館の概要
 (2)キャリアガイド
 (3)キャリアサービスのニーズの上昇と多様な提供主体

第13章 大学図書館の多様な戦略――知識の保存から創造と普及へ
 1.図書館戦略の方向
 (1)国際的課題とネットワーク
 (2)世界規模の伝統的研究・学術図書館
 (3)学習と研究、図書館利用スキルの提供
 (4)学生のウェルビーイング
 (5)学生へのキャリアサービス
 (6)変容的学習
 (7)図書館の歴史と物語
 (8)学士課程研究を支える専門司書
 (9)デジタルシフト
 (10)オープンサイエンスへの挑戦
 (11)総合的コンテンツ戦略
 (12)知のコミュニティ
 2.大学図書館のコレクション
 3.大学図書館の動力

第14章 大学図書館の役割再考――生涯学習の場としての大学図書館
 1.専門的知識の提供
 (1)サブジェクト・ライブラリアンの必要性
 (2)知識と情報のマネジメント
 2.電子図書館サービス
 (1)デジタル情報サービスの提供
 (2)電子図書館の課題
 3.コミュニティの交流と参加の場
 (1)ラーニング・コモンズ
 (2)学習者の社会参加と知的創造支援

 あとがき

 初出一覧
 索引

前書きなど

はじめに

 大学は、時代に応じてその理念と使命をビジョンや計画として変容し具体化していく一方で、独自の理念、使命、目標やビジョンを持つことがある。そして、このような大学の使命や目標、ビジョンとともに、大学図書館もまた、大学図書館なりの使命や目標、ビジョン、計画を持つ場合がある。
 この2つ、社会的課題に応じた大学の変容と、大学と大学図書館独自の使命やビジョン、計画の2つの視点から、大学図書館を考えることによって、それぞれの大学図書館の特性が浮かびあがるのではないかと考えた。各大学は、大学の開設からほぼ時間を経ることなく、学者や研究者が多くの専門的書籍やコレクションを集め、それぞれの大学図書館の活動が始まっていく。また、大学によっては、各国の納本図書館として指定されているものもあり、そこには大学だけではなく、国全体で刊行された書物もすべて収集される。その収集と活用の過程で、大学の理念やミッション、そして計画が大学図書館にどのような影響を与えるのだろうか。そこでは直接的な因果関係を実証できるわけではないが、図書館の目標や使命そのものが大学の理念、目標を反映している例も多くある。
 大学図書館は、上記のような社会的変化のなかで、とりわけ、21世紀に入ってからの知識創造社会において、大学生の学習活動や研究活動とともに、大学の研究者がどれだけ優れた教育や研究ができるか、新たな知識の創造活動や研究の開発という点で、さらに重要な役割を担っていく。
 平成22(2010)年の科学技術・学術審議会の審議のまとめ「大学図書館の整備について―変革する大学にあって求められる大学図書館像―」では、大学図書館の基本的機能が次のように述べられている。

  大学図書館は、大学における学生の学習や大学が行う高等教育及び学術研究活動全般を支える重要な学術情報基盤の役割を有しており、大学の教育研究にとって不可欠な中核を成し、総合的な機能を担う機関の一つである(科学技術・学術審議会、2010)。

 しかし、この大学図書館の働きは、学生や研究者にしか利用できないものではなく、世界の大学は、20世紀以降の大学開放の流れのなかで、その利用を社会に開放する動きが高まっている。日本もまたその例外ではなく、私たちの身近な大学でも市民に開放される動きが現れてきている。学外者による大学図書館の利用は、単に学習の場として座席を借りるというだけではなく、市民の研究者や地域のリーダーによる専門的探究の場としての利用が促され、公共図書館を通じて、あるいはインターネットの発展のなかで地域への開放は進んできている。
 これまで専門図書館としてその門戸を閉じる傾向にあった大学図書館が、生涯にわたる市民の学習活動において、地域の市民図書館と連携しながら市民の専門的学習を支援する方向に動けば、地域の持続的な発展における大学図書館の重要性はいっそう増していくのではないだろうか。
 大学図書館の地域や社会への開放が、欧米の大学においてどのように進められてきたかという問題は、欧米の大学開放の歴史とも深く関わっている。その歴史的研究に入る以前に、まずは世界の大学図書館の現状そのものの把握と考察から始めることにしたい。
 本書では、まず第1章で、各国の大学図書館のつながりをみるために、国際的ネットワークを取り上げる。続く第2章から、オックスフォード大学図書館を皮切りに第12章のワシントン大学図書館まで、欧米のおもな大学図書館についてその特色を論じる。さらに第13章では、各大学図書館の特色を整理し、第14章で各大学に共通するおもなトピックとその課題についての考察を加えてまとめとする。
 筆者が訪問できたのは、オックスフォード大学図書館だけだが、ネットの活用によって各大学図書館を訪問し、そこに眠る宝を探っていくことにしたい。第2章から第12章までの各大学と各大学図書館については、読者のみなさんにも行ってみたいと思う大学から訪ねていただき、その大学図書館の魅力に触れていただければ幸いである。
 かつては象牙の塔とみなされてきた大学の壁を越えて、学生や大学の教職員、研究者だけではなく、市民による大学図書館利用、世界の大学図書館利用がもっと進むための一助に本書がなれば幸いである。

 (…後略…)

著者プロフィール

立田 慶裕  (タツタ ヨシヒロ)  (

国立教育政策研究所名誉所員。大阪大学人間科学部助手、東海大学助教授、国立教育政策研究所を経て、神戸学院大学教授を2024年に退職。専門は生涯学習論、教育社会学、社会教育学。おもな著訳書に、『学習の環境――イノベーティブな実践に向けて』(監訳、明石書店、2023)、『読書教育のすすめ――学校図書館と人間形成』(編著、学文社、2023)、『生涯学習の新たな動向と課題』(放送大学教育振興会、2018)、『キー・コンピテンシーの実践――学び続ける教師のために』(明石書店、2014)、『学習の本質――研究の活用から実践へ』(監訳、明石書店、2013)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。