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ノンバイナリー
30人が語るジェンダーとアイデンティティ
原書: NONBINARY: Memoirs of Gender and Identity
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年11月11日
- 書店発売日
- 2023年11月14日
- 登録日
- 2023年10月17日
- 最終更新日
- 2023年12月22日
紹介
近年、ジェンダーを論じる際には、旧来の男女二元論を超えるようになってきている。本書は現代社会に生きる「ノンバイナリー」(性自認が男女の二枠に当てはまらない人)たち30人の率直な語りを集め、ジェンダーとは何かという問いに真正面から向き合う。
目次
序文 ジェンダークィアからノンバイナリー、そして……[リキ・ウィルチンズ]
イントロダクション[マイカ・ラジャノフ、スコット・ドウェイン]
第1部 ジェンダーとは何だろうか?
第1章 煙のなかのカタルシス[アレックス・スティット]
第2章 自分自身を脱構築〔デコンストラクション〕する[リーヴァイ・S・ゴヴォーニ]
第3章 コアトリクエ[フェイ・ヘルナンデス]
第4章 マイカル[マイカル“МJ”ジョーンズ]
第5章 私のジェンダークィアバックパック[メリッサ・L・ウェルター]
第6章 スクリムショー[レイ・セオドア]
第2部 可視性――立ち上がること、そして目立つこと
第7章 それより前からジェンダークィアでいること[ジェニー・ビーミン]
第8章 トークンの一日[サンド・C・チャン]
第9章 超可視性[ヘイヴン・ウィルヴィッチ]
第10章 過酷な迷路で新風を巻き起こす[キャメロン・アッカーマン]
第11章 命の脅迫[ジェフリー・マーシュ]
第12章 ジェンダークィアなだけで脅威ではない[ジェイス・ヴァルコア]
第3部 コミュニティ――私たちの居場所を作ること
第13章 私は何者だろうか?[CK・コームス]
第14章 信仰をめぐる考察[ジェイ・ウェア]
第15章 あなたのニブリングだとカミングアウトする――知り合いみんなにジェンダークィアだと話して何が起こったか[シンクレア・セクスミス]
第16章 紫のマニキュア[ジェイミー・プライス]
第17章 地図にない道――アジェンダーの10代を育てて[アビゲイル]
第18章 名前はいつも変わらない[ケイティ・クーンス]
第4部 トランスとして十分であること――表現し、違いを明確化する
第19章 小文字のQ[キャル・スパロウ]
第20章 傍観者でいることに甘んじてはいけない[スージー・チェイス]
第21章 あなたには私が見える[ブライアン・ジェイ・イーリィ]
第22章 服がジェンダーとジェンダークィアを作る[オーブリ・ドレイク]
第23章 カササギの飛翔[アダム“ピカピカ”スティーブンソン]
第24章 私の風景のなかのよそ者[s・e・スミス]
第5部 二元性を再定義する――ジェンダーの矛盾と可能性
第25章 ふたつではない[エイブリー・エリクソン]
第26章 キッチンシンク・ジェンダー[ニノ・シプリ]
第27章 パンクで育つことがジェンダー・ノンコンフォーミングとして生きることを教えてくれた[クリストファー・ソト]
第28章 ゆりかごでおやすみ、バイナリー[ジュールス・デラクルーズ]
第29章 ジェンダーを探す旅に出て、また元の場所に戻る[コーリー・マーティン=デイモン]
第30章 ノン/バイナリーを再考する[イーライ・アーリック]
謝辞
訳者あとがき
原注
寄稿者たち
前書きなど
訳者あとがき
(…前略…)
本書は、現代社会に生きる30人のノンバイナリーたちの人生の記メモワール録です。作家、セラピスト、詩人、ジャーナリスト、ラッパー、学生、活動家など10代から50代までの多種多様なノンバイナリーたちが、ジェンダーは男と女の2種類だけだというバイナリー社会で成長するなかで、周囲の人々とは異なる自分に気づいて、もがき苦しみ、それでもしっかりと両足を地につけて生きていく様子が描かれます。
訳者がこのアンソロジーに出会ったのは、何人かの親しいトランスジェンダーたちを励ましたいという思いで、英米の作品から何か紹介できるものはないかと考えていたときでした。トランスジェンダー関連の書物を探すなかで、ひとりの子どもの成長を追った手記や、概説的な本などを見つけましたが、30人のストーリーをいちどきに集めた作品はとても珍しく思えました。当初はノンバイナリーについて何も知らず、たまたま手にしたというのが本当かもしれません。ですが、読み始めるとたちまちその世界に引き込まれていったのです。そこにはかれらの人生と当時の感情、そして現在の思いが克明に記されていました。不思議なことに、訳者自身も幼いころの出来事やこれまで出会った人たちがしきりに思い出されました。きっと本書を読んでくださるみなさんも同じような体験をなさるのではないかと思います。
本書の本文は大きく5つに分かれます。第1部「ジェンダーとは何だろうか?」では、自分のジェンダーが男女のどちらかに定まらない6人の筆者たちの視点から、現代の社会が描かれます。ノンバイナリーであるとはこんなにも彩り豊かな人生を歩いていくことなのかと驚かれるかもしれません。第2部の「可視性」に収められた6つのストーリーには、本来の自分をあるがままに表現しようとするときの困難と葛藤、そして希望が綴られ、第3部の「コミュニティ」では、孤独になりがちなノンバイナリーたちがどのようにして周囲の人々との関係を築いているかが明らかにされます。第4部「トランスとして十分であること」では、常に自分は十分にトランス/ノンバイナリーなのだろうかと強く意識しているノンバイナリーたちの手にした答えを知ることができるでしょう。そして、最後の第5部「二元性を再定義する」には、ノンバイナリーたちがバイナリー社会と真正面から向き合って生きる様子が、きわめて具体的、かつ鮮やかに描かれます。ジェンダー二元論で凝り固まった世界に新しい風を吹かせる6人の姿を知り、これまでよくわからなかった、あるいは存在を認識していなかったノンバイナリーたちが身近に感じられるようになると思います。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。