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ポピュラーカルチャーからはじめるフィールドワーク
レポート・論文を書く人のために
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年11月30日
- 書店発売日
- 2022年12月2日
- 登録日
- 2022年10月28日
- 最終更新日
- 2022年12月9日
紹介
マンガやゲーム、アイドル、鉄オタ、お祭りなどのフィールドワークはどうやるの? ふだんからなじみのある対象を研究テーマにしたい――どうしたらよいのかわからない方々に、“フィールドワーク”を提案、推奨。著者自身のリアルな体験にもとづいて赤裸々に語る7話。
目次
序文[池田太臣]
第1話 「祭り」のフィールドワーク――博多どんたく港まつり[野中亮]
1 はじめに
2 フィールド調査の準備
3 フィールドワークの実施
4 おわりに
第2話 「海外の日本アニメファン」のフィールドワーク――フィンランドの銀牙伝説ファン[秦美香子]
1 はじめに
2 どうしてこのフィールドに注目したのか
3 具体的にどのような調査をしたのか
4 調査で得たデータはどのようにまとめたのか
5 どのようなことがわかったのか
6 どんな発見があったのか
7 おわりに
第3話 「スマホゲーム」のフィールドワーク――拡張現実(AR)がもたらす可能性[圓田浩二]
1 はじめに
2 ポケモンGOとは
3 ポケモンGOのフィールドワーク
4 「現実」を変える
5 多元的な現実論で考える
6 おわりに
第4話 「アイドルファン」のフィールドワーク――台湾のジャニーズファン[陳怡禎]
1 はじめに
2 調査に入る前の作業
3 フィールドワークの実施
4 データ整理・分析
5 おわりに
第5話 「鉄道愛好家」のフィールドワーク――インタビュー調査と「ズレ」の意味[塩見翔]
1 はじめに
2 鉄道趣味の成り立ちと担い手
3 インタビュー調査
4 インタビューを読み解く
5 おわりに
第6話 「京町家」のフィールドワーク――京町家カフェに行ってみた[丹羽結花]
1 はじめに
2 フィールドに入る前に
3 調べる方法
4 活動に参加してみる
5 社会学のレポートとして
6 おわりに
第7話 「伝統文化」のフィールドワーク――近代の発明としての盆踊り[足立重和]
1 はじめに
2 郡上おどりとの出会い
3 郡上おどりがたどった近代史
4 おわりに
あとがき[圓田浩二]
前書きなど
序文
本書のねらい
現在、自分にとてもなじみのある文化や現象を卒業論文のテーマにしたい学生は多いと思われる。たとえば、アニメやマンガ、ゲームであったり、音楽ないしアイドルであったり、テーマパークであったり、SNSであったりと、普段からなじみのある対象をとりあげたいという欲求は、それほど特殊なものではない。とくに社会学のような対象の広い学問を専攻している学生であれば、当然の発想といえる。しかし、いざ“研究”となると、いったいどこから手をつけていいのか、どう調べていったらいいのかわからないという学生も多いのではないだろうか。
本書『ポピュラーカルチャーからはじめるフィールドワーク』は、ポピュラーカルチャーを研究のテーマにしたいのだけれども、どうしていいのかわからない学生たちに、その領域のフィールドワークを提案するものである。もちろん、いきなりフィールドワークと言われても、それもまた困惑しか生まない。
そこで本書では、各執筆者が自分の調査体験に即しながら、フィールドワークの具体的な方法を語るという内容になっている。つまり、ポピュラーカルチャーの調査を実践的な形で紹介するというものである。実例を紹介することで、フィールドワークの具体的なイメージをもってもらい、より容易に実行に移せるようになってもらうことが、本書のねらいである。したがって、通常の調査の教科書のように、模範的な手続きを説明したものではない。紹介されている調査のすべてが、理想的な調査の段取りにしたがって行われているわけでもない。ときには、苦い失敗が語られている場合もある。けれども、それを「失敗」とだけ受け取る必要もない。結局、ある程度の模範はあるけれども、臨機応変さと“図太さ”も必要だということがわかるだろう。
そのため、各章の内容は、3つの側面を持つ。ひとつは、社会調査の方法を具体的な調査のなかで、どのようなタイミングで、どのように使ったかを伝える調査手法の実例紹介の側面である。教育的な側面といってもいいだろう。2つ目は、各書き手たちがどのように問題を設定し、どのように問題を解いていったかという“体験談”の側面である。各書き手がその時々でどのように感じ、考え、次を展開していったのか。そして、どのような結論にたどり着いたのか。一種の“謎解き”の物語を読むような感じで楽しんでもらえればと思う。これは、読み物的な側面といっていいだろう。と同時に、調査すること・社会学的に考えていくこと自体の“楽しさ”“おもしろさ”も伝わると思う。だから、最後の側面は、“調査の楽しさ”や“社会学的に考えることのおもしろさ”を伝える側面である。これは、本書を手に取ってくれたみなさんの“背中を押す”という効果を期待してのことである。“動機づけ”の側面といえる。
上記内容は本書刊行時のものです。