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社会関係資本
現代社会の人脈・信頼・コミュニティ
原書: Social Capital Third edition
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年11月24日
- 書店発売日
- 2022年11月16日
- 登録日
- 2022年10月12日
- 最終更新日
- 2022年12月9日
紹介
社会の格差はどこからくるのか? それを克服する展望は? 人々の関係性に着目してこの問題に接近する「社会関係資本」概念。この概念を起源から紐解き、人脈や信頼が持つ正と負の影響力、デジタル時代の新たな動向も踏まえ、この概念の全体像を描き出す入門書。
目次
はじめに
第1章 概念の起源
ピエール・ブルデュ
ブルデュの限界
ジェームズ・コールマン
コールマンの限界
ロバート・D・パットナム
パットナムの限界
社会関係資本の古典がもたらしたもの
第2章 人脈の力
社会関係資本と教育
経済領域の人脈
健康とウェルビーイングに対する効果
犯罪と逸脱
概念の洗練――互酬性と信頼
概念の細分化に向けて
第3章 隘路の散策
社会関係資本と不平等
同質性と多様性
社会関係資本の逆効果
社会関係資本の隘路
第4章 インターネットは社会関係資本を破壊するのか
パットナムの命題――コミュニティの崩壊
SNSは社会関係資本を壊しているのか
液状化する社会の社会関係資本――縛られない友人関係へ
第5章 社会関係資本の政策と実践
社会関係資本のための政策を開発する理由
社会関係資本の測定
社会関係資本のための政策実施
政府は社会関係資本を生成できるか
おわりに
訳注
解説
訳者あとがき
参考文献・資料
索引
前書きなど
はじめに
社会関係資本概念はいま、成熟期を迎えている。本著の前版までは、この考え方が新奇性という価値を持ちつつも、確立された概念的体系を得るには至っていない段階で刊行された。現在は、異なる理論的伝統を背景に持つ社会科学者たちの多くが、学問分野を超えて、この概念を利用し発展させている。少数ながらも、この概念への批判を主題とする卓越した専門書さえ存在する。
この成熟により、社会関係資本に関する研究は広範囲に普及した。もはや私には、社会関係資本に関する著作や論文のすべてを調査することが、大西洋を泳いで渡るよりも困難となった。ここで私がおこなったのは、特に重要であり、あるいは、広範囲に及ぶ傾向の好例であると判断した思考や議論の潮流を、要約し評価することである。つまり本書は、広範に及ぶ議論の一部を切り取ったものである。よって、もし先行研究をより深く掘り下げたいとの希望があれば、ぜひ他書をお読みいただきたい。本書の第1章で紹介しているように、パットナム、コールマン、ブルデュの著作を探索することからはじめるのが妥当だろう。彼らの著作は、今日もなお、この語の用い方を枠づけているからである。この第三版では、彼らの研究体系に基づきつつ、いくつかの文献について情報を更新するとともに、(民族的・宗教的な)多様性が私たちのコミュニティの結束に影響を与える方法や、オンラインのコミュニケーションが私たちの社会性に与えるインパクトについて触れる章を厚くした。
本書第三版を完成させることができたのは、私を支援してくれた多くの友人や同僚のおかげである。彼らの思考があればこそ、私は、社会的紐帯の広範に及ぶ重要性についての興味とアイディアを絶えず形づくることができた。私はまた、ケルン大学の客員教授として楽しくも刺激的な時間から恩恵を得ることができ、アクティブ・シティズンシップや成人学習に関する研究をして過ごした。とりわけ協力的で気さくな同僚たち、人々の生活スタイルや民族性における多様性など、多くの理由から、ケルンは本書の最新版を刊行するのに理想的な環境であった。
上記内容は本書刊行時のものです。