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在野研究ビギナーズ
勝手にはじめる研究生活
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月1日
- 書店発売日
- 2019年9月1日
- 登録日
- 2019年9月4日
- 最終更新日
- 2019年9月17日
書評掲載情報
2020-05-02 |
朝日新聞
朝刊 評者: 阿部嘉昭(北海道大学教授、評論家) |
2019-12-28 | 朝日新聞 朝刊 |
2019-12-01 |
読売新聞
朝刊 評者: 三中信宏(進化生物学者) |
2019-11-22 |
週刊読書人
3316号 評者: 長瀬 海 |
2019-09-28 | 日本経済新聞 朝刊 |
2019-09-07 | 朝日新聞 朝刊 |
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紹介
「在野研究者」とは、大学に属さない、民間の研究者のことだ。だれでもいつでも、学問はできる。現役で活躍するさまざまな在野研究者たちによる研究方法・生活を紹介する、実践的実例集。
目次
序 あさっての方へ
第一部 働きながら論文を書く
第一章[政治学] 職業としない学問[酒井大輔]
第二章[法学] 趣味の研究[工藤郁子]
第三章[批評理論] 四〇歳から「週末学者」になる[伊藤未明]
インタビュー1 図書館の不真面目な使い方 小林昌樹に聞く
第四章[生物学] エメラルド色のハエを追って[熊澤辰徳]
第五章[活字研究] 点をつなごうとする話[内田明]
第二部 学問的なものの周辺
第六章[専門なし] 新たな方法序説へ向けて[山本貴光+吉川浩満]
第七章[民俗学] 好きなものに取り憑かれて[朝里樹]
第八章[文学研究] 市井の人物の聞き取り調査[内田真木]
第九章[宗教学] センセーは、独りでガクモンする[星野健一]
第一〇章[文学研究] 貧しい出版私史[荒木優太]
インタビュー2 学校化批判の過去と現在 山本哲士に聞く
第三部 新しいコミュニティと大学の再利用
第一一章[専門なし] 〈思想の管理〉の部分課題としての研究支援[酒井泰斗]
第一二章[共生論] 彷徨うコレクティヴ[逆卷しとね]
第一三章[哲学] 地域おこしと人文学研究[石井雅巳]
インタビュー3 ゼロから始める翻訳術 大久保ゆうに聞く
第一四章[哲学] アカデミアと地続きにあるビジネス[朱喜哲]
在野のための推薦本
前書きなど
序 あさっての方へ
(…前略…)
本書は三部で構成されている。
第一部は「働きながら論文を書く」と題し、日々の労働のなかでなんとかやりくりしながら学術論文を発表している書き手を集めた。
政治学では珍しい調査を計量的手法で試みる酒井大輔(p.16)。学者をアイドルに見立て楽しみながら法学研究に向かう工藤郁子(p.31)。矢印という表象文化への関心とともに四〇歳から研究者を志した伊藤未明(p.47)。ハエへの関心が海外の学者とのつながりを生んだ昆虫研究の熊澤辰徳(p.76)。日本語活字の歴史研究というマイナーな分野に憑かれた内田明(p.91)。
第二部は「学問的なものの周辺」だ。制度的に認められるかどうかとは別に、広い意味での研究から非学問にみえるものまで、なだらかなグラデーションのなかで知の世界を自由に謳歌し我が道を行く書き手を集めた。
研究者を自認しないながらも専門分野を超えて著作業に励む山本貴光&吉川浩満コンビ(p.110)。古くからアマチュア研究者が優れた活躍をみせた妖怪・怪異研究の新鋭である朝里樹(p.124)。聞き取り調査によって忘れられた市井の人生を発掘する内田真木(p.139)。家庭教師をしながら低コストな宗教/研究に向き合う星野健一(p.153)。電子書籍として論文を出版し、それを紙の本にまとめ直す荒木(p.168)。
第三部は、知のインフラに注目する「新しいコミュニティと大学の再利用」。部屋に閉じこもってコツコツ論文を書く独学者だけが研究のあるべき姿ではない。様々な人々との協働のなかで見えてくるものがあるし、ときに大学を再利用するのも一つの手かもしれない。
研究者としてではなく支援者として無数の研究会を組織する酒井泰斗(p.202)。地方という逆境にもかかわらず地元でシンポジウムを企画する逆卷しとね(p.218)。地方と大学と出版社のあいだの媒介者になることで大学改革の波と闘う石井雅巳(p.232)。働きながら博士後期課程に進学しネオプラグマティズムの哲学研究を続行する朱喜哲(p.264)。
それぞれの部には、文脈にそった仕方で三つのインタビューを挟み込んだ。一人目は国会図書館の司書である小林昌樹に無所属でも使える図書館や古本屋の利用法を尋ねた(p.61)。二人目はイバン・イリイチのもとで学び、学校に馴致されない独自の思考と実践を現在も重ねる山本哲士(p.181)。三人目は、一六歳のころからネット上に訳文を発表していた翻訳研究者の大久保ゆうに、翻訳的な作業のイロハを教わった(p.247)。インタビュアーはいずれも荒木が担当した。各論をより広め深める追加コンテンツとしてぜひ活用してほしい。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。