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イスラーム・シンボル事典 マレク・シェベル(著) - 明石書店
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イスラーム・シンボル事典 (イスラームシンボルジテン)
原書: DICTIONNAIRE DES SYMBOLES MUSULMANS

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発行:明石書店
A5判
444ページ
上製
定価 9,200円+税
ISBN
978-4-7503-4005-0   COPY
ISBN 13
9784750340050   COPY
ISBN 10h
4-7503-4005-7   COPY
ISBN 10
4750340057   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0514  
0:一般 5:事・辞典 14:宗教
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年10月
書店発売日
登録日
2014年9月30日
最終更新日
2014年10月9日
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書評掲載情報

2014-12-14 読売新聞
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紹介

『コーラン』やムハンマドの言行録『ハディース』そしてイスラーム教徒の日常生活の中に見られる様々な象徴(シンボル)を語句ごとに解説した事典。イスラーム文化全体に張り巡らされた象徴の体系を、簡潔かつ深く読み解く、フランスのイスラーム学の知の結晶。

目次

監修者序文
序文
凡例
利用の手引き
略号一覧

イスラーム・シンボル事典本編

参考文献―補
翻訳上の参考文献
監訳者あとがき
日本語項目一覧(50音順)

前書きなど

監修者序文

 象徴は異なる世界の境を超えて人類共通の「生ける魂の遺産」として受け継がれつづけている。象徴は実在と不在の両世界を神のように自在に繋ぐことによって、未来をも受胎し人間の営みの律動、精神の跳躍、魂のゆらめき、心の豊潤を促してきた。象徴にはどこかプネウマ(聖霊)にも似た力があったのである。
 これまでの象徴事典にもイスラームの象徴を語った項はいくつもあったが、イスラーム文化の全体にまなざしを投じ、啓典『コーラン』やムハンマドの言行録『ハディース』に張り巡らされた象徴の体系をこれほどまでに簡潔に深く読み解いたものは皆無であったといえる。マレク・シェベルによって編まれた『イスラーム・シンボル事典』(アルバン・ミシェル社、1995年)の刊行はその意味では先駆的なものであると同時に先鋭的でもあり、そしていまもってこれを凌駕するものは出されていない。
 著者マレク・シェべルは1953年にアルジェリアのスキークダ、かつてローマ時代ヌミディアの古市ルシカデ(カルタゴ語で火の岬の意)に生まれ、祖国で哲学とアラブ文学を学んだのち、フランスに渡り、パリで精神分析を学んだという。宗教学・歴史・文学・人類学と精神分析という複数の視座を交叉駆使して語られるイスラーム文化を彩る象徴世界の多層性に驚きを隠せないだろう。わが国の密宗にも通じる神秘主義(スーフィズム)の深淵を改めて覗き見るときめきを覚えないではいられない。
 「魂の核」(アッタール『鳥の言葉』)とはなにか、イスラーム文化の色とりどりの比喩と象徴の網の目を通して初めて私たちはその答えを見つけることができるだろう。
 本書はまた、わが国では残念ながらいまだほとんど紹介がなされていないが、サイードによって「卓越したオリエンタリスト」と評され、神話化された天才ルイ・マスィニョン、フランス・イスラーム学の精華ともいうべきアンリ・コルバンとジャック・ベルグ、象徴論を宇宙論に結びつけてミルチャ・エリアーデに大きな影響を与えたルネ・ゲノン、精彩なイスラーム図像学を展開したリヒャルト・エッティングハウゼン、オレグ・グラバール、といったいずれもイスラームの象徴主義を深く掘り下げた学究たちが残してくれた見事に熟した知的果実を十二分に味わう機会を与えてもくれるだろう。さらにはイブン・ハルドゥーンのようなイスラームが生み出した透徹した知性が、どれほどひろやかな文化的地層によって育まれたのかも、『イスラーム・シンボル事典』を読み終えたとき初めて感得できるにちがいない。

 読者のみなさんが、イスラーム世界が抱く象徴の広大にして豊かな領域を自由に飛行し、悠然と眼下にボードレールが歌った「象徴の森」の繁みを俯瞰する喜びを存分に味わって下さることを望んでやみません。
 エドワード・サイードは生前、イスラームに対する西洋とアメリカの理解の差異とその意図的な独断・偏見の根源がどこにあるか、つねに文化の問題としてその解明に力を注いできた。そしてまたイスラーム社会の言語や美の構造、嗜好の社会学や儀式などがほとんど研究されていないことを、イスラームと非イスラームのどちらにも等しく問いかけてきた。強い生きた体験から滲み出る文化の様相を捉えることなしに彼我の橋を渡ることはできないと。象徴がイスラームを伝達可能なものにできるかどうか、読者の多様で賢明な智慧との出会いを待ちたい。

  2014年9月 前田耕作

著者プロフィール

マレク・シェベル  (シェベル,マレク)  (

1953年アルジェリアのスキクダ生まれ。祖国で哲学とアラブ文学を学んだのち、フランスに渡り、現在パリで人類学、精神分析学を研究。
著書に『割礼の歴史』(盛弘仁・盛恵子訳、明石書店、1999年)ほか。

前田 耕作  (マエダ コウサク)  (監修

アフガニスタン文化研究所所長、和光大学名誉教授。1957年、名古屋大学文学部哲学科(美学・美術史学専攻)卒業。和光大学表現学部教授を経て、2003年より現職。専門はアジア文化史。現在はアフガニスタンのバーミヤーン遺跡保存事業に従事。
著書に『巨像の風景』(中央公論社、1986年)、『宗祖ゾロアスター』(筑摩書房、1997年)、『ディアナの森』(せりか書房、1998年)、『アフガニスタンの仏教遺跡バーミヤン』(晶文社、2002年)、『アフガニスタン史』(共著、河出書房新社、2002年)、『アフガニスタンを想う』(明石書店、2010年)、『玄奘三蔵、シルクロードを行く』(岩波書店、2010年)、『パラムナード』(せりか書房、2014年)など。

甲子 雅代  (カシ マサヨ)  (監訳

元 山梨英和大学教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期修了。
共著に『印刷博物誌』(凸版印刷、2001年)、『記号学大事典』(柏書房、2002年)、『神話・象徴・イメージ』(原書房、2003年)、『象徴図像研究――動物と象徴』(言叢社、2006年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。