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日本人と言葉
貧困化の背景を読む
- 初版年月日
- 2024年11月22日
- 書店発売日
- 2024年11月15日
- 登録日
- 2024年10月14日
- 最終更新日
- 2024年10月23日
紹介
あなたは〈何を伝えたい〉のか――。
〈ヤングケアラー〉〈エッセンシャルワーカー〉などカタカナ語の安易な横行。責任ある言動を放棄し、心地良い〈ポエム〉ばかりを口にする政治家たち。〈ご確認ください〉〈見直し〉といった言葉の決まり文句化……。ますます貧困化が進む私たちの日本語。戦前から現代にいたる社会・教育を振り返りながら原因を探るとともに、日本人が〈理と言葉による意見展開〉ができるようになるための対応策を考える。
目次
はしがき
第1章 言葉の貧困の諸症状と対応策
1 言葉の仕組み――ティッシュは机かちり紙か
2 出発点にある問題――こちらがお答になります
3 〈する〉と〈なる〉――結婚は意志か成り行きか
4 理由を挙げる――〈なぜ〉を言わないのはなぜ
5 質問は正面から打ち返す――パンはご飯か ご飯はパンか
6 言い換えは言葉の破壊――昔転進、今反撃
7 母語の貧困と外国語能力――ヤクザは特殊か
8 カタカナ語消費と言葉の生産能力――サポートは助けにならず
9 ポエムとカタカナ語――カタカナ・英語・やまと言葉に警戒警報
10 〈丁寧に説明〉――丁寧が通って道理が引っ込む
11 〈しっかり〉――言わずもがなのこと
12 〈スピード感〉――速くなければこそのスピード感
13 〈見直し〉――要見直し!
14 婉曲的表現――〈リーズナブル〉にもやもやする気持ちをにじませるのは許されるものではない
15 誇大な表現――疾走する路面電車に感動して号泣させていただく
16 〈きびしい〉――きびしいばかりでは前途はキビシイ
17 対応策
第2章 ウォークマンからスマホへ
1 政治・社会についての関心の低下
2 モノ商品からコト商品へ
3 活字文化から音楽・映像文化へ
4 授業中の私語と万物の商品化
第3章 『なんとなく、クリスタル』
1 気分・欲求の肯定と消費主義
2 豊かさの肯定と活字離れ
3 差異化への欲求とハビトゥス・文化資本
4 「植民地的文化の匂い」
5 不安とアイデンティティーの危機
6 『なんクリ』が批判するもの (1)――形式と権威
7 『なんクリ』が批判するもの (2)――量の拡大
第4章 教養主義
1 戦前の教育制度
2 教養主義とは
3 教養主義の成立
4 教養主義の特徴と機能
5 教養主義の消滅
6 教養主義と『なんクリ』
7 江戸趣味の消滅
第5章 高校までの学校と入学歴社会
1 勉学の目的と学力・知力・垂直的序列化
2 学歴社会と受験/入学歴社会
3 選抜と能力
4 「『預金型』学習」と受験芸
5 刷り込まれる勉学/能力観
6 対話型授業への転換
第6章 大学
1 大学というところ
2 外国語学習と意見形成
3 市場原理と入学歴主義
4 低学歴国日本
5 〈教養〉について
6 参考までに
第7章 日本軍と軍学校教育
1 社会の縮図としての日本軍
2 言葉の欠如
3 組織の自閉と「負の個人主義」
4 負の言葉の過剰
5 空虚な美文と文学・人文知の欠如
6 員数主義
7 人命の員数化
8 日本軍将兵に対する評価と軍学校の概要
9 陸軍幼年学校
10 陸軍士官学校
11 陸軍大学校
12 学歴主義と組織・人事
13 堀栄三という例外
終章 言葉の「質の充実」に向けて
あとがき
参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。