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出版者情報
夜更かしの社会史
安眠と不眠の日本近現代
- 初版年月日
- 2024年2月10日
- 書店発売日
- 2024年2月2日
- 登録日
- 2023年11月8日
- 最終更新日
- 2024年6月12日
書評掲載情報
2024-03-30 |
朝日新聞
朝刊 評者: 藤野裕子(早稲田大学教授・日本近現代史) |
2024-03-17 |
読売新聞
朝刊 評者: 清水唯一朗(慶應義塾大学教授・政治学者) |
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紹介
夜間も積極的に生産・消費をするようになり、不眠化した都市の活動。人びとはいかに夜を明かし、眠りについてどんな認識や習慣を生み出してきたか。夜の活用に対する志向や動き、安眠グッズ・睡眠学習器・眠気覚ましなどの商品の変遷を取り上げ、眠る/眠らないことの両方を同時に要請する産業社会の特性を追究。私たちの生活と睡眠の関係史に迫る。
目次
序章 安眠/不眠を欲望する社会…右田裕規
Ⅰ部 眠らない工場の出現―生産領域の不眠化
第一章 規範化する睡眠とロマン化する不眠―二〇世紀初頭における睡眠言説のマッピング―…近森高明
はじめに―「この俺の不眠」と「みんなの睡眠」
一 睡眠言説のマッピング―睡眠はいかに語られたか
二 規範化される睡眠―睡眠言説の構造分析
三 ロマン化される不眠―例外者の括り出し
おわりに―現代に続く「よき睡眠」と「よき人生」のループ
第二章 「夜なべ」の近代史…右田裕規
はじめに
一 近世の夜業
二 村から都市への移行
三 照明技術の変化
四 夜業に対する社会的忌避の変化
おわりに
第三章 夜業と興奮剤の二〇世紀…―ヒロポンからコーヒーへ―…右田裕規
はじめに
一 近代興奮剤の略史
二 ヒロポンと「機械」
三 機械燃料のイメージ
四 ドリンク剤・コーヒーの「稀釈」
おわりに
Ⅱ部 眠らない街の出現―消費領域の不眠化
第一章 夜の消費文化と商業照明…右田裕規
はじめに
一 一九世紀末の夜の東京
二 夜の消費文化の成長
三 商業照明のシンボル作用
四 戦時経済下の夜の東京
おわりに
第二章 盛り場と安眠妨害―夜間レジャー施設の営業音の問題化過程―…右田裕規
はじめに
一 カフェー征伐
二 都市住人の夜間騒音被害の実態
三 戦後の営業音規則
おわりに
Ⅲ部 安眠を支えるモノたち―睡眠の商品化
第一章 寝床を電化する―「電気あんか」の技術社会史―…近森高明
はじめに―一枚の広告ポスターを読み解く
一 電気あんかの出現―大正・昭和初期
二 電気あんかの増殖―高度経済成長期
三 電気あんかの衰退―ポスト高度経済成長期
おわりに
第二章 時間の再魔術化と呪術的なモノの蘇り―「寝かしつけ」をめぐって―…竹内里欧
はじめに―「睡眠中学習」から「睡眠後学習」へ
一 「睡眠力」の時代
二 「寝かしつけ」にまつわる新聞記事の言説
三 「寝かしつけ」に役立つとうたうモノの氾濫
四 時間にかんするアンビバレントな願望と願望に応えるモノたち
おわりに―時間をめぐる「力」の奪還
Ⅳ部 眠りの人工的制御という夢―睡眠の資源化
第一章 覚醒と睡眠のあいだを生きる―坂口安吾の覚醒剤と睡眠薬―…西村大志
はじめに
一 規律・勤勉・集中
二 覚醒剤と過覚醒
三 睡眠薬と人工睡眠
四 意志
おわりに
第二章 夢の勉強法としての睡眠学習…井上義和
はじめに―一九八二年の「明け方のつぶやき」
一 睡眠学習への欲望
二 第一号機〈SLミラクル〉の誕生
三 睡眠学習器の仕組みとモデルチェンジ
四 空想科学小説と録音再生技術
五 「悪夢の洗脳法」か「夢の勉強法」か
おわりに
終章 眠りのコントロールからマネジメントへ―二〇〇〇年代以降の睡眠言説―…近森高明
一 睡眠をめぐる「問題―解決」の転換
二 「質」へのフォーカス―「最高の睡眠」へ
三 可視化・数値化―スリープテックの世界
四 ライフハック化―「超一流」の誘惑
五 脱規範化と超管理化のゆくえ
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。