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核燃料サイクルという迷宮 山本義隆(著/文) - みすず書房
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核燃料サイクルという迷宮 (カクネンリョウサイクルトイウメイキュウ) 核ナショナリズムがもたらしたもの (カクナショナリズムガモタラシタモノ)

社会一般
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発行:みすず書房
四六判
重さ 305g
320ページ
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-622-09697-9   COPY
ISBN 13
9784622096979   COPY
ISBN 10h
4-622-09697-8   COPY
ISBN 10
4622096978   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年5月16日
書店発売日
登録日
2024年4月4日
最終更新日
2024年5月9日
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書評掲載情報

2024-07-20 (予定) 毎日新聞  朝刊
評者: 池澤夏樹(作家)
2024-06-22 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 藤原辰史(京都大学人文科学研究所准教授)
2024-06-08 朝日新聞  朝刊
評者: 福嶋亮大(立教大学教授・批評家)
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紹介

日本のエネルギー政策の恥部とも言うべき核燃料サイクル事業は、行き場のない放射性廃棄物(核のゴミ)を無用に増やしながら、まったく「サイクル」できないまま、十数兆円以上を注いで存続されてきた。本書は核燃料サイクルの来歴を覗き穴として、エネルギーと軍事にまたがる日本の「核」問題の来し方行く末を見つめ直す。
日本では、戦前から続く「資源小国が技術によって一等国に列す」という思想や、戦間~戦中期に構造化された電力の国家管理、冷戦期の「潜在的核武装」論など複数の水脈が、原子力エネルギー開発へと流れ込んだ。なかでも核燃料サイクルは、「核ナショナリズム」(疑似軍事力としての核技術の維持があってこそ、日本は一流国として立つことができるという思想)の申し子と言える。「安全保障に資する」という名分は、最近では原子力発電をとりまく客観的情勢が悪化するなかでの拠り所として公言されている。
著者はあらゆる側面から,この国の「核エネルギー」政策の誤謬を炙り出している。地震国日本にとって最大のリスク・重荷である原発と決別するための歴史認識の土台、そして、軍事・民生を問わず広く「反核」の意識を統合する論拠が見えてくる労作。

目次

いくつかの箴言──序文にかえて

序章 本書の概略と問題の提起
0.1 核発電の根本問題
0.2 核のゴミとその後処理
0.3 高速増殖炉について
0.4 核燃料サイクルの現状
0.5 核ナショナリズム

第1章 近代日本の科学技術と軍事
1.1 日本ナショナリズムの誕生
1.2 資源小国という強迫観念
1.3 国家総動員とファシズム
1.4 革新官僚と戦時統制経済
1.5 戦時下での電力国家管理

第2章 戦後日本の原子力開発
2.1 核技術とナショナリズム
2.2 日本核開発の体制と目標
2.3 原子力ムラと原発ファシズム
2.4 岸信介の潜在的核武装論
2.5 中国の核実験をめぐって
2.6 核不拡散条約をめぐって

第3章 停滞期そして事故の後
3.1 高度成長後の原発産業
3.2 原発推進サイドの巻き返し
3.3 核発電と国家安全保障
3.4 原発輸出をめぐる問題
3.5 原発輸出がもたらすもの
3.6 世界の趨勢と岸田政権

第4章 核燃料サイクルをめぐって
4.1 再処理にまつわる問題
4.2 再処理のもつ政治的意味
4.3 高速増殖炉をめぐる神話
4.4 核燃料サイクルという虚構

終章 核のゴミ、そして日本の核武装

あとがきにかえて

参考文献
人名索引
事項索引

著者プロフィール

山本義隆  (ヤマモトヨシタカ)  (著/文

(やまもと・よしたか)
1941年、大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学大学院博士課程中退。現在 学校法人駿台予備学校勤務。科学史家。著書に『知性の叛乱』(前衛社、1969)『重力と力学的世界』(現代数学社、1981、ちくま学芸文庫、全2巻、2021)『熱学思想の史的展開』(現代数学社、1987、新版、ちくま学芸文庫、全3巻、2008-2009)『磁力と重力の発見』全3巻(みすず書房、2003、パピルス賞・毎日出版文化賞・大佛次郎賞)『一六世紀文化革命』全2巻(みすず書房、2007)『福島の原発事故をめぐって』(みすず書房、2011)『世界の見方の転換』全3巻(みすず書房、2014)『原子・原子核・原子力』(岩波書店、2015)『私の1960年代』(金曜日、2015)『近代日本一五〇年』(岩波新書、2018、科学ジャーナリスト賞、2019)『リニア中央新幹線をめぐって』(みすず書房、2021)『ボーアとアインシュタインに量子を読む』(みすず書房、2022)、ほか多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

上記内容は本書刊行時のものです。