版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
大阪・関西万博 「失敗」の本質 松本 創(編著) - 筑摩書房
.
【利用不可】
ちくま新書巻次:1808

大阪・関西万博 「失敗」の本質 (オオサカカンサイバンパクシッパイノホンシツ)

新書
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:筑摩書房
新書判
256ページ
定価 900円+税
ISBN
978-4-480-07641-0   COPY
ISBN 13
9784480076410   COPY
ISBN 10h
4-480-07641-7   COPY
ISBN 10
4480076417   COPY
出版者記号
480   COPY
Cコード
C0236  
0:一般 2:新書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年8月6日
書店発売日
登録日
2024年6月22日
最終更新日
2024年12月9日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

開幕前からあえて「失敗」と断じることには反発も当然あるだろう。だが、こうしたメガイベントというのは、五輪もそうだが、事前に批判すれば「楽しみにしてる人もいるのに水を差すのか」「成功へ努力する関係者の足を引っ張るのか」と言われ、事後に検証すれば「終わったことをいつまでも」「今さら言っても遅い。なぜ事前に言わないのか」と批判されるのである。どんな形であれ、とりあえず終わってしまえば、なんとなく「やってよかった」という空気ができ、それに乗じて関係者は「大成功だった(私の手柄だ)」と言い募る。「成功」の基準がないから、いくらでも恣意的に語られてしまう。そうなる前に、「失敗」と見る立場から問題を整理し、指摘しておくべきだと考えたのである。
(「はじめに」より)

第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスク―万博と政治  木下功
第2章 都市の孤島「夢洲」という悪夢の選択―万博と建築  森山高至
第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走―万博とメディア  西岡研介
第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点―万博と経済  吉弘憲介
第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」―万博と都市  松本創

目次

第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスク―万博と政治  木下功

「歓喜の夜」から一転、次々と噴き出す課題/夢洲は本当に「負の遺産」なのか/橋下知事の「ベイエリア・カジノ構想」から始まった/「松井試案」を後押しするベンチャー経営者/支え合う維新と安倍政権、絡み合うIRと万博/万博は「府市一体の成果」とアピールする維新/予算増を予測できぬ協会、容認する維新首長/15万人が避難? 現実味を欠く防災対策/橋とトンネルは避難路に使えるか/「夢洲は液状化しない」想定の誤り/爆発事故で問われた万博協会の説明不足/巨大事業を検証する仕組みがない/大阪府HPから消えた万博議事録

第2章 都市の孤島「夢洲」という悪夢の選択―万博と建築  森山高至

日本の万博出展史に見る海外パビリオンの重要性/建設遅れは参加国ではなく開催国の責任/「夢洲」という悪条件―埋め立て安定せず、地盤沈下続く/地盤対策上の制約その1―長すぎる杭と撤去の問題/地盤対策上の制約その2―掘削制限で地下室が作れず/浚渫土からもメタンガス。爆発の危険は今後も/アクセス悪く電源もなし、「都市の孤島」の難工事/厳しい残業規制が工事進捗の足かせに/参加国をフォローせず、タイプXを勧めた万博協会/参加国の焦り―設計者や工事業者見つからず/電通の不在とゼネコンの「逃げ腰」/木造リングが覆い隠す深刻すぎる工事遅れ/本質見ず、議論もなし。暴走する「机上の空論」

第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走―万博とメディア 西岡研介

東京五輪談合事件の衝撃と余波/電通が牽引した戦後の博覧会60年史/大阪府・市と政府、維新と自民の不協和音/電通が万博に消極的になった理由/吉本興業の「地方創生」ビジネス、大阪府・市との蜜月/読売グループがカジノを批判する理由/IRにらみで万博を盛り上げる吉本の思惑/「大﨑体制見直し」と「松本スキャンダル」/吉本も万博から「完全撤退」/万博協会の失敗は「人事」と「財務」/「哲学」のない万博に成功はあるか

第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点―万博と経済  吉弘憲介

万博コスト増への反論で持ち出される「経済効果」/そもそも経済波及効果とは何か―短期と中長期の二面から/短期効果と中長期効果、それぞれの問題点/経済波及効果を計算する三つのステップ/経済波及効果と事業の「正当性」は関係ない/万博の短期経済効果はどのように変化してきたか/消費動向、2024年問題……実態と乖離した3兆円試算/「来場者2820万人」の高すぎるハードル/レガシー効果は「公益性」の有無で決まる/公共事業を長期的視点で評価するために/独自調査で判明「大阪でも低い万博評価」/万博の公益性と相容れない維新の「個人の利益追求」志向

第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」―万博と都市  松本創

博覧会の成功、湾岸開発の失敗、カジノの未来/博覧会都市の始まり「第五回内国勧業博覧会」/都市を広げ、人・物の流れ変えた70年万博/維新ブレーン・堺屋太一の提案から始まった/「万博に取りつかれた男」との空疎な質疑/排除と差別、博覧会の「負の歴史」/テクノポート計画の挫折、大阪五輪の惨敗/維新の原点「府庁移転計画」と「湾岸開発」/夢洲開催案は本当に検証されたのか/大阪IR―少数の推進派と大多数の無関心/万博を狂わせたIRの誤算―橋爪教授の見解/「過去の成功体験」が「同じ失敗」を呼ぶ懸念

著者プロフィール

松本 創  (マツモト ハジム)  (編著

松本 創(まつもと・はじむ):1970(昭和45)年、大阪府生れ。神戸新聞記者を経て、2021年3月現在はフリーランスのライター。2016(平成28)年、『誰が「橋下徹」をつくったか―大阪都構想とメディアの迷走』で日本ジャーナリスト会議賞を受賞。2019(令和元)年、『軌道―福知山線脱線事故JR西日本を変えた闘い』で講談社本田靖春ノンフィクション賞、井植文化賞を受賞する。ほかに『日本人のひたむきな生き方』『ふたつの震災―[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(西岡研介氏との共著)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。