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太平天国
皇帝なき中国の挫折
- 初版年月日
- 2020年12月18日
- 書店発売日
- 2020年12月21日
- 登録日
- 2020年11月10日
- 最終更新日
- 2024年4月12日
書評掲載情報
2021-02-27 |
朝日新聞
朝刊 評者: 藤原辰史(京都大学准教授・食農思想史) |
2021-02-07 |
読売新聞
朝刊 評者: 国分良成(防衛大学校長、国際政治学者) |
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紹介
「滅満興漢」を掲げて清朝打倒をめざし、皇帝制度を否定した太平天国。その鎮圧のために組織され、台頭する地方勢力の筆頭となった曽国藩の湘軍。血塗られた歴史をもたらした両者の戦いの詳細を丹念にたどり、中国近代化へと続く道に光をあてるとともに、皇帝支配という権威主義的統治のあり方を問い直す。
目次
はじめに
一 神は上帝ただ一つ
「選ばれし者」洪秀全と客家人
科挙の失敗と幻夢
特異なキリスト教受容
布教の旅と大同思想
拒絶された洗礼
上帝会の成立
『天条書』と民衆文化
信者たちの証言
偶像破壊運動の衝撃
シャーマン・楊秀清の登場
救世主と政治結社化
偶像崇拝者としての皇帝
「太平の日」を求めて
二 約束の地に向かって
その名は太平天国
清軍の無力
洪秀全と五人の王
「官」への上昇志向
矛盾する儒教的倫理の評価
聖庫制度
反主流派に対する粛清
北上と勢力の拡大
長沙攻撃と長江進出
「賊に恩を感じる」
滅満興漢の主張
「中国人」の発見
大都市の「富」との出会い
南京占領と旗人虐殺
近代ヨーロッパから何を学んだのか
近代文明と排除の論理
三 「地上の天国」の実像
洪秀全らの南京入城
住民の組織化と「百工衙」
宣教師の見た南京
特徴的な宗教儀礼
習俗の改変
めざされた公有制
深刻な不平等
諸王の庇護のもとで
分権的な五王制
南京人の反応
不寛容への反発
北伐軍の出発
天津郊外への到達
華北社会の反応
雪解けの泥に敗北
救援軍の壊滅
苛酷な籠城戦
北伐軍の最後
四 曽国藩と湘軍の登場
西征の開始
地域支配の始まり
清朝の漢人官僚不信
太平天国の科挙
対儒教政策の転換
読書人対策の失敗
曽国藩の登場
湘軍の創設
湘軍の出撃と勝利
長江を攻めくだる湘軍
形勢の逆転
太平軍と湘軍の違い
地域支配をめぐる争い
西征の終焉
五 天京事変への道
イギリス公使の南京訪問
フランス・アメリカ使節の交渉
救世主としての洪秀全
多妻制をめぐる論争
聖書の出版停止
天父の洪秀全叱責
恣意的な天父下凡
諸王の処罰と不和
くり返される専制
楊秀清「万歳をせまる」
ヨーロッパ人の見た天京事変
「上帝の大家族」の挫折
六 「救世主の王国」の滅亡
殲滅戦の始まり
報復の応酬
洪仁玕の南京到着
『資政新篇』と上帝教改革
洪仁玕の内政改革
李秀成の蘇州進出
ヨーロッパ諸国との交渉
夢に頼る洪秀全
自立し始めた諸王
安慶の陥落
李秀成らの浙江進出
諸王による地域支配
決裂した外交交渉
上海、寧波の戦い
雨花台の南京攻防戦
蘇州の陥落
拒絶された首都脱出策
マナを食え
太平天国の滅亡
結 論
否定的な評価
他者への不寛容さ
分権か、権力の独占か
そして「党国体制へ」
あり得たかもしれない可能性
あとがき
参考文献
図版出典一覧
関連年表
上記内容は本書刊行時のものです。