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わたしたちの中絶 石原 燃(編著) - 明石書店
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わたしたちの中絶 (ワタシタチノチュウゼツ) 38の異なる経験 (サンジュウハチノコトナルケイケン)

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発行:明石書店
四六判
408ページ
並製
価格 2,700円+税
ISBN
978-4-7503-5859-8   COPY
ISBN 13
9784750358598   COPY
ISBN 10h
4-7503-5859-2   COPY
ISBN 10
4750358592   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年12月25日
書店発売日
登録日
2024年11月14日
最終更新日
2025年1月31日
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書評掲載情報

2025-02-22 毎日新聞  朝刊
評者: 星野智幸(作家)
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紹介

産む・産まない・産めないを、国家や医療、他者が管理しようとするこの世界で、「わたしたち」は自身の経験を語る。日本における中絶の歴史を振り返り、当事者の声と、支援者や研究者、取材者などの立場で様々な中絶を見聞きした人たちの声を収録。

目次

 はじめに[石原燃]

第Ⅰ部 中絶をめぐる長いお話[大橋由香子]

第1章 妊娠したら産むしかない?――堕胎罪と優生保護法
第2章 中絶を禁止する動きと女たちの抵抗――表現と記録
第3章 わたしの身体、わたしが決める――リプロとSRHR

第Ⅱ部 わたしの経験

第1章 自由に産めないのなら、とコンドームを買った[光江]
第2章 目が覚めて、「この世に戻れた」と思った[麻鳥澄江]
第3章 手話通訳はなく、説明がわからない[柴田邦子]
第4章 中絶は自分で自分を生きていくための“点”だった[遠藤知子]
第5章 中期中絶に到った経緯とその後[白銀]
第6章 痛みはまったく感じないという不思議な経験[安藤能子]
第7章 紅茶があったかくて、甘くてほっとした[井上れいこ]
第8章 とにかくお金がまったくなかった[川上真由美]
第9章 性暴力を愛情だと偽らなければ生き延びられなかった[水野恵子]
第10章 自分の体のために中絶と不妊手術をするしかない[S・S]
第11章 もう子どもが産めないのではないかと、ずっと不安だった[ハナコ]
第12章 生理が止まって、本当にビビった[K・R]
第13章 二度の中絶、そのときはその選択しかなかった[チャップ]
第14章 後悔も罪悪感もない[田中青]
第15章 「中絶」という言葉でひとくくりにされるのが辛かった[匿名]
第16章 全身麻酔をしないで中絶手術を受けたい[横山恵]
第17章 産婦人科医のわたしが、中絶なんて[河合亜矢子]
第18章 「水子供養などしてなるものか!」と強く思った[長田真紀子]
第19章 障害がなくても、一人で育てるなど無理だった[K]
第20章 ようやくその日になっても泣かなくなった[遠藤リト]
第21章 罪悪感に押しつぶされそうだった[浦井英子]
第22章 頑張っていたから、学校生活をまっとうしたかった[須藤あゆ]
第23章 南アフリカのクリニックで中絶薬を飲んだ[伴優香子]
第24章 自分の選択が正しかったのか、思い詰めた[太田恵]
第25章 何を言っても誰かが傷つきそうで表現が難しい[春日そら]
第26章 中絶を選ぶ人が悲しむことのない社会に[匿名]
第27章 わたしは何も悪いことはしていない[M・O]
第28章 早すぎて今できることはないと言われた[井川玖美]

対談 経験を語るということ[イ・ラン×石原燃]

第Ⅲ部 様々な経験に接して

第1章 孤立出産[加地紗弥香]
第2章 若年女性と沖縄での中絶[篠原芙由]
第3章 一〇代の妊娠葛藤[中島かおり]
第4章 中絶をめぐる裁判[岩崎眞美子]
第5章 日本における移民女性の中絶[田中雅子]
第6章 優生的な理由での中絶[大橋由香子]
第7章 トランス男性、ノンバイナリー当事者の中絶[吉野靫]
第8章 国際団体による中絶支援――なぜわざわざ海外に[加藤雅枝]

 おわりに[大橋由香子]

 中絶に関する書籍・作品リスト

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 本書では、第Ⅰ部にて、戦前からこれまでの中絶をめぐる状況を概観したあと、その中で中絶を経験した当事者の声を第Ⅱ部に、支援者や研究者、取材者などの立場で、中絶の現場を見聞きしてきた人たちの声を第Ⅲ部にまとめた。直接的な当事者だけでなく、周囲にいる人たちの声もまとめることで、その複雑な実相に近づければと考えた。
 経験を語るということは、奪われた声を取り戻すということだ。
 医療制度や法律を考えるとき、いつも現実離れした紋切り型なイメージがそこにあり、当事者の声がかき消されている。それは声を奪われているということで、それを取り戻さなくては、わたしたちが自分の身体に主体的に関わることはできない。
 マジョリティに対してだけ言っているのではない。わたし自身、自分が主体なのだということを忘れて、医療者の方だけでなんとかしてくれないかと、他力本願になってしまうこともある。だからこそ、何度も何度も、この問題はわたし自身が主体なのだと、自分自身に言い聞かせてきた。
 よりよい中絶を必要としているのはわたしたちだし、わたしたちはみな、自分の身体のことを決める権利を持っている。
「わたしたちの中絶」というタイトルには、そんな想いも込めたつもりだ。
 当事者が語るということは、本人にとっていいことばかりではない。忘れようとしていたことを思い出してしまうこともあるし、周囲に知られたり、思わぬところから批判を浴びることもある。語りたくても語れないこともあるし、当然、「語らない」という自由も、当事者にはある。それでもなぜ語るのかは、人それぞれ違うだろう。
 本書にご自身の経験を寄せてくださった方たちがそれぞれどういう気持ちでご協力くださったのか、わたしが代弁するわけにはいかない。でも、どんな気持ちであるにしろ、もしかしたら痛みを伴うかもしれない個人的な、唯一無二の体験を、託してくださったことに、心から感謝申しあげたい。
 読者には、こうして声を上げることがいかに困難なものかをご理解いただき、複雑さをそのまま受け止めていただけたらと思っている。

著者プロフィール

石原 燃  (イシハラ ネン)  (編著

劇作家。小説家。2010年、『フォルモサ!』が劇団大阪創立40周年戯曲賞大賞を受賞。2011年には短編戯曲『はっさく』がNYのチャリティー企画「震災 SHINSAI:Thester for Japan」で取り上げられた。2020年に自身初の小説『赤い砂を蹴る』が第163回芥川賞候補、2023年に中絶する一夜を描いた戯曲『彼女たちの断片』が第67回岸田國士戯曲賞候補となる。その他、男性の性暴力サバイバーを描いた戯曲『蘇る魚たち』、『彼女たちの断片』の続編ともいえる小説『いくつかの輪郭とその断片』(文學界2023.7月号掲載)など。

大橋 由香子  (オオハシ ユカコ)  (編著

フリーライター・編集者。著書に『翻訳する女たち中村妙子・深町眞理子・小尾芙佐・松岡享子』(エトセトラブックス)、『満心愛の人』(インパクト出版会)、『生命科学者中村桂子』『同時通訳者鳥飼玖美子』(理論社)、『ニンプ・サンプ・ハハハの日々』(社会評論社)。共編著『福島原発事故と女たち』(梨の木舎)。『千代田区女性史(1996~2020)』(千代田区)の企画委員・編集委員。「SOSHIREN 女のからだから」や「優生手術に対する謝罪を求める会」でSRHRに関する活動もしている。

上記内容は本書刊行時のものです。