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ザッハー=マゾッホ集成Ⅰ
エロス
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年9月30日
- 書店発売日
- 2024年9月30日
- 登録日
- 2024年6月12日
- 最終更新日
- 2024年10月10日
書評掲載情報
2024-11-30 |
朝日新聞
朝刊 評者: 椹木野衣(多摩美術大学教授・美術評論家) |
2024-10-13 | 読売新聞 朝刊 |
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紹介
闘うためには武器がいる ザッハー=マゾッホの恋愛流儀
習俗を巧み取り込んだストーリーテラーとしてのマゾッホの筆がさえる。本邦初訳の完全版「毛皮のヴィーナス」ほか全4作品を収録。
◎目次
コロメアのドンジュアン
再兵役
月夜
毛皮のヴィーナス 決定版
解説 西成彦
目次
コロメアのドンジュアン
再兵役
月夜
毛皮のヴィーナス 決定版
解説 西成彦
前書きなど
レオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホの作品は、従来、日本でどのように読まれてきたのだろうか。母方の姓を受け継いだ「マゾッホ」の名が、「マゾヒズム」という呼称のもとになったように、彼は、私生活においても、その作品においても、ひとしく「マゾヒズム」を具現する作家と見做されてきた。なるほどそのこと自体は、かならずしも見当はずれとはいえない。ただし、その「マゾ」とは通俗的に理解された表象であって、その代表作と目される『毛皮のヴィーナス』にしても、まさにキワモノ小説の扱いを受けていた。その「マゾヒズム」を思想的に定位したドゥルーズの評論をもってして、はじめてマゾッホの作品もその意味が十全に明らかになったが、しかし、それを敷衍しつつ日本語で読みすすめるに足る翻訳は、まだ日の目をみていなかった。
他方で、マゾッホの多くの作品は、彼の故郷であったオーストリア領ガリツィア、現在はポーランド東南部からウクライナ西部にかけてひろがっている、この地方の自然、風土、社会を主題にしている。そうした作品は、かつてわずかながら日本語に訳されもしたが、ドイツ系、ポーランド系、ウクライナ系、ユダヤ系など、さまざまなエスニシティが葛藤をはらみつつ共生する、複数の言語、宗教を擁するこの地域の特性を紹介するには、十分とはいえなかった。そうした出自をもちながら、啓蒙主義者を自任し、かつみずから「マゾヒスト」であったという彼が、どのような思想的位相をしめていたのかは、あらためて考えなければならない問題ではあるだろう。その意味では、「エロス」、「フォークロア」、「カルト」の三巻からなる『ザッハー=マゾッホ集成』は、多岐にわたる詳細な注解も相俟って、その作品の文化史的、思想史的な理解をも可能にするものと自負している。
版元から一言
全3巻一挙刊行の第1巻目。「マゾヒズム」という人口に膾炙するこの言葉は、ザッハー=マゾッホの小説がなければ生まれなかった。
上記内容は本書刊行時のものです。