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スパルタ 古代ギリシアの神話と実像 長谷川 岳男(著/文) - 文藝春秋
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スパルタ 古代ギリシアの神話と実像 (スパルタ コダイギリシアノシンワトジツゾウ)

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発行:文藝春秋
新書判
重さ 190g
272ページ
定価 1,250円+税
ISBN
978-4-16-661469-1   COPY
ISBN 13
9784166614691   COPY
ISBN 10h
4-16-661469-X   COPY
ISBN 10
416661469X   COPY
出版者記号
16   COPY
Cコード
C0295  
0:一般 2:新書 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2024年11月12日
最終更新日
2024年12月28日
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書評掲載情報

2025-01-18 毎日新聞  朝刊
評者: 藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)
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紹介

元祖〝スパルタ教育〟の実態に迫る
格差を感じさせない、理想的な体制だった!?

マキャベリが「最も優れた国制」、ルソーが「安定した社会」だと絶賛。
プラトンが高評価し、ナチスが賛美。

スパルタは、1000におよぶポリスが乱立する古代ギリシアにおいて軍事大国として君臨し、アテナイ(アテネ)と覇権を争っていた。なぜ長期間にわたって強国を維持することができたのか。
賛美者が絶えない「理想の社会」の実像とは――。

目次

はじめに  スパルタ教育の元祖 
 ギリシア世界におけるスパルタ/軍事強国を支えた戦士教育/後世の評判/日本における「スパルタ教育」/見直しが進む「スパルタ像」/本書のめざすもの/「トゥキュディデスの罠」

第一章  テルモピュライの戦い 
 不朽の名声を得た戦い/アケメネス朝ペルシアがギリシア侵攻/マラトンの戦い/テルモピュライへ/三〇〇名しか参戦しなかったスパルタ軍/「スパルタが滅ぶか王が死ぬか」/スパルタ兵は「集団となると世界最強」/ペルシアの大軍が退却/初日はギリシア軍の抗戦が成功/内通者エフィアルテス/戦い抜くか、撤退するか/壮絶を極めた最後の戦い/スパルタ王は死を覚悟していたのか/「ラケダイモン人の掟」/プラタイアの戦い/敵に後ろを見せず/息子に楯を渡した、スパルタの母/戦場からの生還者は「震える者」/同調圧力の激しさ

第二章  スパルタ人の創造  「元祖」スパルタ教育を中心に 
 社会全体で規律と服従を徹底的にたたき込む/現実と異なる「スパルタの幻影」/重視され統制された子作り/育てるかどうかは社会が決める/成人後も市民に鞭打ち/パイデス(少年)は丸坊主/食事の量は最低限だが、盗みは黙認/エイレンによる知的な指導/年長者との親密な関係/パイディスコイ(ティーンエイジャー)は大人への反抗を阻止された/乱闘や鞭打ちも通過儀礼/共同食事が市民の必須条件/メンバー選抜の決め手とは?/ヘボンテス(青年)から王の親衛隊を選抜/隠密部隊クリュプテイア

第三章  エウノミア(Eunomia)  秩序ある世界の成立
「リュクルゴスの改革」で国内が安定/「ヘラクレスの末裔の帰還」/ラコニアの征服/メッセニア戦争/反乱を企てたパルテニアイ/ギリシアの多くのポリスが危機的に/リュクルゴス/高く評価された国制「大レトラ」/二人の世襲の王が併存/基本方針を決める審議機関「長老会」/原則としては最終決定機関「民会」/五名の「エフォロス」は王を凌駕する権力を持つ/ポリスは国家か/「ホモノイア」で社会は安定する/理想のポリスに公教育は不可欠/経済格差を感じさせない工夫とは/徹底的に実用性を重視/市民身分の確定

第四章  ギリシアの覇者  スパルタの対外関係 
 領土併合という方針を棄てて、同盟へ/スパルタ側で唯一生き残ったオトリュアデス/クレオメネス一世/聡明だった王の娘/同僚の王を廃位に追い込み……/アテナイの台頭/大地震とヘイロータイの反乱/反スパルタ感情の高まり/第一次ペロポネソス戦争/ペロポネソス戦争の開戦/後世への教訓/スパルタ軍が降伏/戦間期の動き/デケレイア戦争/立役者はリュサンドロス

第五章  リュクルゴス体制のほころび 
 衰退期の始まり/ペロポネソス戦争後の状況/勝利の立役者リュサンドロスの策謀/「市民寡少」の現実/貧富の差があからさまに/ホモイオイ(同等者)が多数から少数へ/加速する反スパルタ/レウクトラの戦い/エパメイノンダスが用いた「斜線陣」の威力/「私たちだけが男を産むからです」/女性の恵まれた環境/性的奔放というイメージと一妻多夫制/結婚の現実/転落の軌跡/王の意義/なぜスパルタは凋落したのか

第六章  スパルタの黄昏
 マケドニアの台頭/フィリッポス二世とアレクサンドロス/スパルタの苦境/アレクサンドロス死後のギリシア世界/王アレウスの叔父がスパルタへ侵攻/栄光を取り戻そうとしたギリシア/若きアギスがめざした「国制」への回帰/レオニダスが再び権力を握る/アギスの遺志を継ぐクレオメネス三世/勢力を拡大するアカイア連邦が宣戦/王がクーデターでエフォロスを殺害/改革の大義名分はでっち上げ?/勢力を取り戻したが……/クレオメネスの最期/厄介な「最後のギリシア人」フィロポイメン/ナビスがもたらした最後の輝き/生活習慣も教育も廃止/ギリシアはローマの属州に/名声の復活/都市として存続

第七章  永遠のスパルタ  ブランド化への道程 
 スパルタ伝説の始まり/古代世界における「幻影」の展開/スパルタに好意を抱いていたローマ人/中世の「幻影」/ルネサンスでブランド化が進む/マキャベリが「最も優れた国制」と評価/絶対主義の時代における国制論/三権分立のヒントに/ルソーが熱烈に支持/アテナイとの比較/ナショナリズムの高まりとテルモピュライ/ナポレオンと『テルモピュライのレオニダス』/ドイツと民族概念/ヒトラー率いるナチスが最大限に賛美/第二次世界大戦とテルモピュライ/米ソ冷戦とペロポネソス戦争/ソ連崩壊とトゥキュディデス/大衆文化のなかのスパルタ/ブームの火付け役が米軍の推薦図書に

おわりに 
 ポリスの多様性/スパルタは特異なポリスか/スパルタから見たギリシア世界/現代を理解するためのヒント/スパルタを知るということ

スパルタ関係参考文献リスト 

あとがき 

上記内容は本書刊行時のものです。