新年明けましておめでとうございます
2019年末は例年に比べ幾分暖かかったような気もするが、その分、消費税増税や先行きの景気に陰りも見え隠れし、かえって寒さを感じたりもした。それでも、街往く人の足取りがせわしさを増し、いつもながらの風情が漂っていた。
わが家の年末は、大晦日に実家に集合して12月31日から1月2日までを一緒に過ごす。今年4月には下の息子が新社会人になる。わが家の子育ても終了するので来年からは年末年始の過ごし方に変化が出てくる気がする。大晦日の夜は、近所のスーパー銭湯に車2台で行き、私は大好きな岩盤浴で30分ほど爆睡。帰宅後、皆で手巻き寿司を食べ、その後紅白を見るという、今年もおきまりのパターンだった。
毎年紅白の魅力がなくなっているのと、私の紅白への期待も落ちているのが重なってか、2019年大晦日の紅白は今までで一番面白くなかった。今年は演出力より歌唱力に主軸を置いていたように感じたのだが、それにしては歌唱力がお粗末すぎた。演出力ならミュージシャンによらず結果もある程度見えるが、歌唱力はミュージシャンが本気力を出さないと伝わらない。でも、年末のお祭り番組で1曲だけで本気力を出すのはたいへんな事だと思う。
かつて(2011年6月)東京、渋谷のC.C.Lemonホールで東日本大震災の被災地支援チャリティーコンサートに行ったときのことを思い出した。ちょうど、そこに参加していたおよそ20名(組)のミュージシャンの中で、スターダスト・レビューが木蘭の涙を歌う番になった。グループがステージに立ち、一声を聞こうと観衆が静まりかえったのだが、ボーカルの根本要氏がなかなか歌いださない。マイクを持ってステージをウロウロした状態がしばらく続いた。その間、数十秒だったかわずか1分足らずだったと思うがとても長く感じた。そして出てきた言葉が、こういう1曲のみのステージ経験があまりないので、1曲ですべてを出しきるにはどうしたら良いか戸惑っていた。
また別の視点から見たら平成時代の曲は同じようなパターンが昭和時代に比べて多いからなのかなとも思った。
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ここからは旧人類と言われていた世代である私の独断と偏見に満ちた私論ですのでお許しください。(万一事実関係に誤りがあったらそれは私の理解不足です)
昭和時代の音楽はもっと楽しかった。そして音楽はダイナミズムに変化していた。60年代70年代はビートルズを中心としたバンド全盛期、世の中は高度成長期でミュージシャンもビートルズを筆頭にバンド演奏で一人のスーパースターというよりワンチームで活躍していた。
それが、70年代80年代になってアップルコンピューターが出てきてバンド演奏が衰退していった。ビートルズが70年代後半に衰退していって、それに代わってマイケルジャクソンのようなスーパースターが急上昇してきた。アップルコンピューターが出てきて、そこから打ち込みが流行ってきたということだ。あのクイーンも同様にして衰退していった。バンド演奏する人がいなくなってきて、代わって踊って歌えるソロイストが注目され始めてきた。
90年代になってバブルが崩壊、1991年に湾岸戦争が勃発、世の中が混乱し始めてきた。するとマイケルジャクソンとかスーパースターより、また再びワンチーム、ビートルズとかが注目されてくる。60年代70年代の高度成長期は、先日来日していたKISSもしかり。鳴り物、メロが聞こえなくてもいい位の大音量でみんなイケイケの時代だったのが、90年代になって、死に直面したり世の中が悲惨な状態になってくると、みんな子孫を残したいと言う気持ちが起こったり、また、癒しを求めたりで例えばノラジョーンズもフォークソングを歌っていた。
音楽だけではなくて、色では体に優しいアースカラー、食では有機野菜を求め始めたのが90年代からだった。90年代は癒しを求めていた時代。環境の変化によって人間の心理状況も変わる。だから音楽も変わる。90年代までは、わりとよく名前が知れ渡っている人たちを中心に音楽も発展してきていた。それが2000年以降のインターネットの目覚ましい普及によって、音楽の世界も急変した。音楽の世界でもダウンロードが主軸の一つになった。今ではYouTubeで検索すると、たいていの楽曲にはたどり着く。いきなり過去にタイムスリップすることができる時代になった。
そんな中で人々の音楽のオリジナリティに対する意識も変わってきた。
あるYouTubeでマイケルジャクソンの真似をして、人気急上昇したミュージシャンがいた。歌も上手で、踊りも上手。がしかし、ある時そのYouTubeが炎上した。そのことをスティーヴィーワンダーが雑誌のインタビューで尋ねられた。そのとき彼は別にいいんじゃないかと答えたそうだ。
彼は「僕だっていろんな国に行って、例えばラテンが素晴らしかったらラテンの真似をするし、東洋の音楽が素晴らしかったら東洋の音楽の真似をしてきた。レイチャールズの真似をしたこともある。人間ってそもそも真似から始まるんじゃないか。どんな赤ちゃんだってお母さんの喋り方を真似して言葉を覚えるでしょ」と答えたそうだ。そうしたら炎上がストップした、と言う話を聞いた。
だから平成時代の音楽は画一的なのかなぁ、と思いつつ過ごした正月でした。
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ご挨拶が最後になりましたが、皆様、新年明けましておめでとうございます。
今年も、言葉では言い尽くせないほどの変化が起こると思います。新しい服や靴に着替えることも必要だし、脳の奥で大切にしてきた古い観念も、思い切った断捨離が必要になるかもしれません。それでも「着る服が違っても、昨日と違うアルゴリズムで思考しても、自分という土台はしっかり持ち続ける」と希望を抱きつつ、2020年の海に漕ぎ出していこうと思っています。