思うこと
数年前まで版元ドットコムの友会に参加させていただいていた。縁あって、転職し、改めて版元ドットコムのお世話になることになった。
一昨年まで、某大学の学術専門書の版元にいて、専門書の営業をしていたが、その版元が収益事業から教育付随事業に事業形態の変更をすることになり、学内の出版に限定した事業に変わった。これまで刊行した学外の著者の書籍について、大学と関連のある転職先の版元で、委託を受け、それらの書籍の処理を検討することになった。品切れ重版未定や出版契約期限の更新時期が迫っているもの、受託商品の契約解除及び在庫の除却等。学外著者の採用品や売行き商品、シリーズ物の継続刊行も検討している。しかし印税の支払い、取次の掛け率の違い、株式会社としての刊行基準を当てはめて考えると、刊行することが難しい書籍が殆どである。採算が合わなければ、刊行中止が当然だと思うが、学術的に貴重な書籍や多くの読者がついていた売行き良好書、シリーズ物等を採算ベースだけを考えて、失ってしまうのは残念で仕方がない。電子書籍への変更や作製の見直し、印税方法や率の変更、書店との直取引等も考えられるが、直ぐには見通しが立っていない。また教科書として採用された電子書籍での授業とEラーニングでの授業形態では、かなりの差があることや、学内での電子環境がまだまだということもある。
今、思うことは、今まで作り上げてきた知的財産を簡単に失くして良いのか、どうしたら残して行けるのかである。