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北朝鮮問題のジレンマを「戦略的虚構」で乗り越える
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年2月15日
- 書店発売日
- 2019年2月15日
- 登録日
- 2019年1月6日
- 最終更新日
- 2019年12月13日
紹介
いまの北朝鮮は、戦前の日本に似ている。ならば、戦後の日本を世界が受け入れた「虚構」(フィクション)のなかに、北朝鮮問題のジレンマを乗り越える鍵があるはずだ。本書はその「虚構」とは何か、それをどうすれば北朝鮮問題に活かせるのかを説く。日本が果たせる役割は大きく、それによって得られる果実も大きい。
無数の北朝鮮本が出版されているので、読者はまたかと思うかもしれません。北朝鮮を批判するにせよ、擁護するにせよ(これはほとんどないと思いますが)、論点は出つくしたと思われているかもしれません。しかし、この本は違います。
第1章で、過去2回の米朝合意が破綻した背景を掘り下げ、第2章で、北朝鮮問題によって日本を含む関係主要国すべてが複雑骨折のような状態にあることを分析し、第3章で、世襲制独裁の異常国家・北朝鮮で行われている悲惨な人権蹂躙の模様を詳述します。
まるで解決不能であることを論じるためのような材料をこれでもかと提示したあと、最後の第4章で、著者は「戦略的虚構」を活用して問題を乗り越えよ、と提案します。解決不能の度が深いからこそ、この「虚構」が成立する可能性があるという、意表を衝く提案が新鮮です。
内田樹氏(思想家)すいせん
「北朝鮮における人権侵害を抑制しながら、体制保証によって非核化を達成することは可能か? このきわめて困難な(ほとんど不可能な)課題に本書は驚くべき解を提示します。松竹さんのリアリスティックでかつロマンティックなアイディアに僕は同意の一票を投じます」
第1章 また同じ挫折を繰り返すのか――ジレンマの歴史
1 北朝鮮の核開発はこうして始まった
2 第一次核危機と「米朝枠組み合意」
3 第二次核危機と六カ国協議
4 米朝両国の努力にもかかわらず
第2章 「非核化」と「体制保証」は両立できるのか――ジレンマの連鎖
1 北朝鮮の非核化に潜むジレンマ
2 「体制保証」それ自体のジレンマ
3 非核化と体制保証のジレンマ
4 主要関係国それぞれのジレンマ
第3章 北朝鮮の人権問題をどう考えるべきか――ジレンマの底流
1 「ヒトラーの体制でも保証するのか」という問い
2 「ナチスよりまし」とはいえない北朝鮮の実態
3 ポリティサイド国家はこうして生まれた
4 「体制を保証してはならない」という勧告
第4章 日本は「戦略的虚構」による解決をめざせ――ジレンマの克服
1 体制の保証と改革を両立させた日本の先例
2 日本は核問題で本当の橋渡しができる
3 北朝鮮への経済援助は日本の利益になる
4 拉致問題でマイナスをプラスに変える戦略
わが体験的北朝鮮論――あとがきに代えて
目次
第1章 また同じ挫折を繰り返すのか――ジレンマの歴史
1 北朝鮮の核開発はこうして始まった
2 第一次核危機と「米朝枠組み合意」
3 第二次核危機と六カ国協議
4 米朝両国の努力にもかかわらず
第2章 「非核化」と「体制保証」は両立できるのか――ジレンマの連鎖
1 北朝鮮の非核化に潜むジレンマ
2 「体制保証」それ自体のジレンマ
3 非核化と体制保証のジレンマ
4 主要関係国それぞれのジレンマ
第3章 北朝鮮の人権問題をどう考えるべきか――ジレンマの底流
1 「ヒトラーの体制でも保証するのか」という問い
2 「ナチスよりまし」とはいえない北朝鮮の実態
3 ポリティサイド国家はこうして生まれた
4 「体制を保証してはならない」という勧告
第4章 日本は「戦略的虚構」による解決をめざせ――ジレンマの克服
1 体制の保証と改革を両立させた日本の先例
2 日本は核問題で本当の橋渡しができる
3 北朝鮮への経済援助は日本の利益になる
4 拉致問題でマイナスをプラスに変える戦略
わが体験的北朝鮮論――あとがきに代えて
前書きなど
現在の北朝鮮非核化をめぐる論議を見ていると、大きく分けて二つの見方が対立しているように思える。
一つは、北朝鮮が悪辣な国であることに変わりはなく、いまも悪行をやり遂げるために時間稼ぎをしているだけで、どうせ非核化なんて実現しないという見方である。
もう一つは、前者と比べて人数はかなり少ないだろうが、護憲派に多い見方で、北朝鮮は今回、真剣に非核化を念願しており、周辺国がちゃんと見返りを与えれば、必ず非核化は実現するだろうというものである。問題は周辺国の見返りの少なさ、遅さにあるという考え方だ。
私の考えは、すでに本書を読まれた方にはおわかりの通り、北朝鮮が悪辣な国であるという点で前者と共通するものがあるが、同時に、北朝鮮も非核化を願っている(悪辣な国のままで)という点では後者と共通するものがある。いわば国際政治の見方について、リアリズムとロマンティシズムが共存したような見方といえようか。
ある意味、「折衷的」と批判されることになるかもしれないが、真理というのは両極端なところにではなく、どちらとも言いがたいところに存在するというのが、私がささやかな体験から導いた結論でもある。
版元から一言
無数の北朝鮮本が出版されているので、読者は飽き飽きしているかもしれません。北朝鮮を批判するにせよ、擁護するにせよ(これはほとんどないと思いますが)、論点は出つくしたと思われているかもしれません。しかし、この本は違います。
第1章で、過去2回の米朝合意が破綻した背景を説き、第2章で、北朝鮮問題が日本を含む関係主要国すべてにとって複雑骨折状態にあることを説き、第3章で、世襲制独裁の異常国家・北朝鮮で行われている悲惨な人権蹂躙の模様を詳述します。まるで解決不能であることを論じるためのような材料をこれでもかと提示したあと、最後の第4章で、著者は「戦略的虚構」を活用して問題を乗り越えよと提案します。解決不能の度が深いからこそ、この「虚構」が成立する可能性があるという意表を衝く提案が新鮮です。
追記
本刊行を記念して2019年2月11日、八重洲ブックセンター(東京)でイベントを開催します。
柳澤協二さん×松竹伸幸さん対談&サイン会「北朝鮮の非核化に日本は何ができるのか」
上記内容は本書刊行時のものです。