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チャイナ・イノベーション
- 書店発売日
- 2018年9月29日
- 登録日
- 2018年9月6日
- 最終更新日
- 2018年9月12日
書評掲載情報
2019-04-13 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 坂井豊貴(慶應大学教授、経済学者) |
2018-12-08 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
中国フィンテック研究の第一人者である中国人研究者が、コピー大国からイノベーション大国に突き進む「チャイナ・イノベーション」の実像を日本語で書き下ろした。
世界経済の波乱要因となっているトランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争でクローズアップされたのが、「中国製造2025」。中国が建国100周年を迎える2049年までに世界の製造大国になることを目標に掲げた国家プロジェクトだが、人工知能(AI)などハイテク分野も含めたこのイノベーション大国路線が米国を刺激した。
なぜ米国がそこまで警戒するのかといえば、「チャイナ・イノベーション」が予想以上に進展しているからだ。近年、中国では支付宝(アリペイ)と微信支付(ウィーチャットペイ)が牽引してモバイル決済サービスが急速に発展した。このモバイル決済サービスがデータ蓄積の起点となって、さらなる生活のデジタル化を押し進めている。そのスピードは、米シリコンバレーを上回るほどだ。
人工知能、ブロックチェーン等の新技術が融合し、スマホによるAI活用の与信・貸付、無人スーパー、シェアリングエコノミーなど新サービスが次から次に誕生している。顔認証技術などで世界レベルのスタートアップ企業も続々生まれている。まさにイノベーションの連鎖である。
2018年7月末現在、世界の株価時価総額ランキングは、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグル)がトップ3を占める。GAFAの一角、フェイスブックは5位と順位を落とし、4位マイクロソフト、6位バークシャー・ハサウェイ。台頭著しい中国のプラットフォーマーのアリババ、騰訊控股(テンセント)が7、8位に食い込んでいる。
本書は、アリババ、テンセントを中心に、最新の中国イノベーション事情を紹介する一方で、中国でアリババなどを活用して業績を伸ばしているユニクロ、中国イノベーションを研究・消化しているメルカリの事例も紹介している。
目次
■序 章 米中貿易戦争とチャイナ・イノベーション
イノベーションをめぐる米中覇権争い
第1章 習近平国家主席とデジタル強国路線
モノマネ大国からイノベーション大国へ
大衆創業・万衆創新
ビッグデータ活用は国家戦略
グーグル、フェイスブックの対中布石
AI大国への戦略
■第2章 なぜ中国でイノベーションが爆発的に生まれているのか?
モバイル決済がイノベーションの起点
プラットフォーマーの土壌から生まれたシェアリングサービス
データ蓄積によって個人の信用を点数化
■第3章 阿里巴巴(アリババ)集団と騰訊控股(テンセント)――中国版巨大プラットフォーマーの誕生
2大プラットフォーム企業の戦略
なぜアリババが成功したのか?
決済手段から生活サービスのプラットフォームへ
騰訊控股(テンセント)の三大転換点
微信(ウィーチャット)発展史
アリババとテンセントの未来
■第4章 2強を追う先端技術企業
滴滴出行(DiDi)――本家も飲み込む生命力
世界最先端のフィンテック企業
衆安保険-―従来の発想に捉われない商品開発で急成長
微衆銀行(WeBank、ウィーバンク)――中国初の民営銀行
京東金融(JDファイナンス)――アント・フィナンシャルの後を追う
急成長するAIスタートアップ企業
商湯科技(センスタイム)
●視科技(Face++) ●は日編に廣
科大訊飛(iFlytek、アイフライテック)
出門問問(Mobvoi 、モブボイ)
■第5章 急速に進むデジタル化の負の側面
頻発する悪質ネット詐欺
羊毛党vsネット企業――テクノロジーを悪用した詐欺集団
■第6章 中国型イノベーションの本質と先端企業との付き合い方――ユニクロ、メルカリの事例
中国型イノベーションのメカニズム
柔軟で大胆な人材戦略
オープン化戦略
ユニクロの中国戦略
未来型企業への道
メルカリの戦略――中国モデルの日本への応用
■終章 データを制する者は世界を制する
関連年表
参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。