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フランク史I クローヴィス以前 佐藤 彰一(著) - 名古屋大学出版会
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フランク史I クローヴィス以前 (フランクシ イチ クローヴィスイゼン)

歴史・地理
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A5判
重さ 688g
400ページ
上製
価格 7,200円+税
ISBN
978-4-8158-1030-6   COPY
ISBN 13
9784815810306   COPY
ISBN 10h
4-8158-1030-3   COPY
ISBN 10
4815810303   COPY
出版者記号
8158   COPY
Cコード
C3022  
3:専門 0:単行本 22:外国歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年7月15日
書店発売日
登録日
2021年5月26日
最終更新日
2021年7月7日
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書評掲載情報

2022-02-19 毎日新聞  朝刊
評者: 鹿島茂(仏文学者)
2021-09-11 朝日新聞  朝刊
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紹介

ヨーロッパのもう一つの起源――。欧州はギリシア・ローマからまっすぐに生まれたのではない。世界システムの大変動後、遠隔地交易、ローマ帝国との対抗、民族移動などを経て誕生した、500年にわたるフランク国家。「自由なる民」の淵源から王朝断絶までをたどる初めての通史。本巻では、初代王にいたる波乱の歴史を描く。

目次

はじめに

第I部 起源の地を求めて

第1章 大西洋世界の展開と青銅器時代後期システムの崩壊
1 東地中海からのアウトリーチ
2 大西洋世界の展開
3 青銅器社会の崩壊と世界システムの「成長局面」

第2章 北海・バルト海地方と東地中海文化の接触
1 ピュティアスの北方探索
2 ギリシア人とバルト海・北海地方
3 ヘルゴラントと琥珀交易

第3章 ローマ人のエルベ川流域への進出計画
1 二つの世界の境界としてのライン川
2 ゲルマニア属州化構想へ
3 ウァルスの大敗北
4 ゲルマニクスの挫折とゲルマン軍隊王権の確執

第4章 ゲルマン諸部族の再編へ
1 世界システム論における西暦一世紀
2 バルト海地方へのローマからのアプローチ
3 マルコマンニ戦争の勃発
4 ゲルマン諸部族の再編成

第II部 フランク同盟の盛衰

第5章 侵略と土地占取の時代
1 初期の様相
2 ローマ軍との協力関係
3 土地占取

第6章 帝国に奉仕するフランク人
1 コンスタンティヌス大帝とフランク同盟
2 ポスト・コンスタンティヌス大帝の帝国
3 ユリアヌス帝の旗のもとで

第7章 フランク首長層の台頭と転落
1 ウァレンティニアヌス一世とフランク同盟
2 フランク人のローマ政界進出
3 フランク人の政治的没落とフン族の到来

第III部 フン族の影のもとで

第8章 五世紀初頭の政治動向とガリア
1 スティリコとアラリックの角逐
2 スティリコ以後の西ローマ帝国とガリア
3 ゲルマン民族大侵入後のフランク同盟

第9章 西ローマ帝国・ヴァンダル族・フン族
1 権力闘争の激化とフン族の独自性
2 アッティラの攻勢
3 カタラウヌムへの道

第10章 メロヴィング朝の起源とキルデリクス一世
1 西帝国の終焉とゲルマン諸部族
2 起源伝承からの照射
3 キルデリクス墓陵からの照射

おわりに

あとがき

引用文献
図版一覧
索引

前書きなど

本書はおそらく、「フランク史」を標題に掲げた日本語で書かれる最初の通史であろう。そもそもフランク史とは何か。それは簡単に言えば、西ローマ帝国の崩壊の後に、その領土にフランク「族」と称されるゲルマン人の一派が組織した、いわゆるフランク王国の歴史のことである。それはほぼ西暦六世紀から一〇世紀まで存続し、メロヴィング朝、カロリング朝の二つの王朝の交替を経ながら、五世紀の歴史を閲した。

欧米各国でこの時代の歴史を研究したり、通史を叙述したりすることは、決してマイナーな学術活動ではない。それどころか、むしろ最も主要な学問潮流であると言っても言い過ぎではないであろう。一九九三年に欧州共同体から欧州連合へと展開して、イギリスが加盟国になってからは、英国の中世史家たちが、この時代の歴史研究に優れた貢献を果たし、一段と活性化することで、グローバルな観点から見ても、歴史学における主要な分野になったと言えるであろう。それは「ブレグジット」以後も変わる気配が見られないのは同慶のいたりである。

そうした学問的なトレンドにあるにもかかわらず、フランク王権が歴史的展開を見せたヨーロッパの国々でも、「フランク史」を標榜する通史が生まれないのはなぜであろうか。一二、一三世紀においてもなお、十字軍に参加したヨーロッパ人を、おしなべて近東の人々は「フランク人」と呼んだが、それほど人口に膾炙し、人々の脳裏に刻印された概念であるにもかかわらずである。

思うにその原因は、互いに関連する二つの事実が複合しての結果であろう。ひとつは、近代歴史学と歴史叙述の誕生の時期に、ヨーロッパでは国民国家の視点から過去の歴史を考察する見方が定着し、フランク時代の歴史に後……

[「はじめに」冒頭より]

著者プロフィール

佐藤 彰一  (サトウ ショウイチ)  (

1945年生まれ。1978年、早稲田大学文学研究科博士課程退学。名古屋大学文学研究科教授などを経て、現在、名古屋大学名誉教授、日本学士院会員、フランス学士院会員、博士(文学)。著書、『修道院と農民』(名古屋大学出版会、1997年、日本学士院賞)、『ポスト・ローマ期フランク史の研究』(岩波書店、2000年)、『中世初期フランス地域史の研究』(岩波書店、2004年)、『中世世界とは何か』(岩波書店、2008年)、『歴史書を読む』(山川出版社、2004年)、『カール大帝』(山川出版社、2013年)、『禁欲のヨーロッパ』(中公新書、2014年)、『贖罪のヨーロッパ』(中公新書、2016年)、『剣と清貧のヨーロッパ』(中公新書、2017年)、『宣教のヨーロッパ』(中公新書、2018年)、『歴史探究のヨーロッパ』(中公新書、2019年)ほか

上記内容は本書刊行時のものです。