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セレブの誕生
「著名人」の出現と近代社会
原書: Figures publiques : l'invention de la célébrité 1750-1850
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年12月1日
- 書店発売日
- 2018年12月25日
- 登録日
- 2018年11月29日
- 最終更新日
- 2018年12月26日
書評掲載情報
2019-12-28 |
朝日新聞
朝刊 評者: 間宮陽介(京都大学名誉教授) |
2019-03-23 |
朝日新聞
朝刊 評者: 間宮陽介(青山学院大学特任教授) |
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紹介
スキャンダラスな公共性――。称賛と批判につつまれた「セレブ」とは、現代のメディアが作り上げた虚像なのか、それとも新たな威光の形なのか。王族・政治家から作家・俳優・音楽家まで、近代の始まりとともに生まれた「セレブリティ」の展開をたどり、公共圏が孕むパラドックスを問う。
目次
序 章 著名性と近代性
第1章 パリのヴォルテール
「ヨーロッパで最も有名な人」
ヴォルテールとジャノ
第2章 スペクタクルの社会
スター誕生――著名性のエコノミー
オペラにおけるスキャンダル
「偶像崇拝的な熱狂」
全ヨーロッパにおよんだ著名性
ファンの創出
第3章 最初のメディア革命
著名性の視覚文化
ミニチュアの公的人物
偶像とマリオネット
「今日のヒーロー」
私生活と公的人物
第4章 栄光から著名性へ
名望のトランペット
新しさはどこにあるのか
著名性
「出る杭は打たれる」
第5章 有名人の孤独
「不幸がもたらす著名性」
友人ジャン=ジャック
特異性、模範、著名性
著名性の重圧
ルソー、ジャン=ジャックを裁く
歪 曲
第6章 著名性の力
モードの犠牲者?――マリー・アントワネット
革命を呼ぶ人気――ミラボー
偉人としての大統領――ジョージ・ワシントン
落日の島――晩年のナポレオン
第7章 ロマン主義と著名性
バイロマニア
「信徒を教え導く聖職」――シャトーブリアン
誘惑された女と公共の女
ヴィルトゥオーソたち
アメリカにおける著名性――ジェニー・リンドのアメリカ巡業
民主主義的人気と通俗的王権
時の著名人たち
著名性の新しい時代に向けて
終 章
謝 辞
訳者あとがき
注
図版一覧
索 引
前書きなど
「マリー・アントワネットはダイアナ妃だ!」。娘のソフィアによるフランス王妃を主題とする映画[ソフィア・コッポラ監督による二〇〇六年の映画『マリー・アントワネット』]の撮影に立ち会ったフランシス・フォード・コッポラは、二人の女性の運命があまりにも酷似していることに感銘を受けてこう言った。だがそうした比較は、この映画が意識的にアナクロニズム的な視点を取っていることに強く示唆されたものにちがいない。ソフィア・コッポラはマリー・アントワネットを、王族の地位につきまとう制約と自由への渇望との間で揺れる今日的な若い女性として描いているからである。映画音楽もまた、バロック音楽と一九八〇年代のグループ・ロック、最新のエレクトロニック・サウンドを混ぜ合わせたものであって、そうした解釈を意図的に強調している。『ヴァージン・スーサイズ』や『ロスト・イン・トランスレーション』[それぞれ一九九九年と二〇〇三年のソフィア・コッポラ監督の映画]に描かれた得体の知れぬメランコリックな若い娘たちと同じように、マリー・アントワネットは、とりわけ時代に左右されない若い女性像を体現する新たな存在として登場する。さらにそこにはセレブたちの生活という、ソフィア・コッポラがのちの映画ではっきりと取り上げることになる別のテーマが浮上する。彼女の映画『SOMEWHERE』[二〇一〇年の同監督の映画]に登場する主人公の歌手――高級ホテルに閉じこもって死ぬほど退屈しつつもそんな生活をやめようとは決して思わない――のように、マリー・アントワネットは公的人物という立場に由来するさまざ
……
[「序章」冒頭より/注は省略]
上記内容は本書刊行時のものです。