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近代世界システムIV
中道自由主義の勝利 1789-1914
原書: The Modern World-System IV: Centrist Liberalism Triumphant, 1789-1914
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2013年10月15日
- 書店発売日
- 2013年10月15日
- 登録日
- 2013年9月18日
- 最終更新日
- 2021年7月13日
書評掲載情報
2014-01-26 |
毎日新聞
評者: 三浦雅士(評論家) |
2013-12-22 |
朝日新聞
評者: 水野和夫(日本大学教授・経済学) |
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重版情報
2刷 | 出来予定日: 2019-08-31 |
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紹介
「長い19世紀」に確立し、現代世界をも決定づける中道自由主義のインパクトと、それに対抗する反システム運動の勃興を詳述、近代世界システムにおける自由主義国家の成立とその広範な影響を初めてとらえ、19世紀史を書き換える。著者のライフワークにして最高傑作、待望の新刊。
目次
凡 例
序 章 『近代世界システム』全巻の構成
『近代世界システム』における本巻の位置
第I巻の構成
第II巻と「ヘゲモニー国家」の概念
第III巻――イギリスのヘゲモニーへ
第IV巻
第1章 イデオロギーとしての中道自由主義
フランス革命と保守主義
自由主義とは何か
ギゾーとベンタム
社会主義
「変化の常態化」への三つの対応
歴史の主役は誰か
三つのイデオロギーと国家
自由主義と社会主義の同盟
保守主義の自由主義への接近
唯一のイデオロギーとしての自由主義
第2章 自由主義国家の建設
――1815年から1830年まで――
英仏抗争の終結――自由主義国家モデルの共有
主権在民というスローガン
秩序崩壊の危機感を共有した英仏
誰が国民なのか――労働者の排除
フランスでも進んだ工業化
イギリス――工業収益率の低下を補う海外投資益
大差のなかった英仏の経済実績
「ヨーロッパ協調体制」
イギリスのヘゲモニー確立に必要だったフランスのリハビリ
労働運動の抑圧
フランスにおける自由主義の確立
ジオカルチャーとしての自由主義
海外での社会変革――自由主義者の立場
ギリシアの独立運動
ヨーロッパの起源はギリシアかエジプトか
自由主義による労働運動の抑圧
七月王政――自由主義国家の勝利
ベルギーのフランスへの併合
ポーランド反乱の意味
イギリスにおけるカトリックの解放
1830年になぜイギリスに革命がなかったのか
英仏などにおける中道自由主義国家の成立
第3章 自由主義国家と階級闘争
――1830年から1875年まで――
中道自由主義国家の確立
英仏両国の労働運動
英仏友好協商体制の成立
フランス国家の脆弱性
ボナパルティスム――フランスとイタリア
イギリスの対外干渉
穀物法の廃止
レッセ・フェールという神話
フランスの成熟
イギリスの銀行論争とフランスの金融事情
改革をすすめるイギリス国家
フランスの場合
インターステイト・システムの作用
自由貿易帝国の形成
自由貿易の功罪
フランスの自由主義と帝国――クリミア戦争の意味
英仏による世界支配の動揺――アメリカとドイツの台頭
労働者の市民への組み込み
「危険な階級」の台頭
自由主義の完成形としての保守主義
第4章 自由主義国家の市民
フランス革命と市民権の概念
包摂と排除――「市民」とは?
受動的市民と能動的市民
女性の排除
黒人(解放奴隷)の排除
労働者の排除
社会的統合と二項対立概念の存続
1848年の世界革命
排除を切り崩す――社会革命とナショナリズム
労働・社会運動
労働運動の起点
ブルジョワとプロレタリア
職人から労働者へ
急進主義(社会主義)の台頭
イギリスの新組合主義
労働運動と社会主義政党
フランスの場合――すべての道は改良主義へ
社会主義者の国政関与
アメリカ――民族・国籍による労働者の排除
社会主義にとっての植民地問題
女性・フェミニスト運動
プロレタリアの反フェミニズム
「ファミリ・ウェイジ」を拒否したフェミニストたち
社会主義政党とフェミニストたち――ドイツとフランスの場合
イタリアその他の場合
反奴隷制運動と女性――イギリスの場合
サン=シモン主義とフーリエ主義
1848年が生んだ成果
公共圏のジェンダー
政治的フェミニスト――女性参政権運動
社会的フェミニストと優生学の対立
平和運動と女性
民族・人種運動
女性の権利と黒人の権利
保守化するフェミニズム
人種主義の強化
有機体としての国民――他者排除の装置
排除を正当化する科学
第5章 社会科学としての自由主義
激変する世界をどう認識するか――社会科学の成立
「二つの文化」の発明
近代世界システムの成立と知
社会科学の誕生
社会運動としての社会科学
英米における社会科学の運動
講壇社会主義――ドイツの場合
社会科学における専門化と価値中立性
「価値からの自由」
社会生物学から優生学へ
科学的歴史学の創出
歴史学の科学化――史料批判
中道自由主義国家にとっての歴史学の意味
法則定立的な学の創出
三位一体の社会科学
政治経済学から経済学へ
デュルケームとフランス社会学
A・スモールとアメリカの社会学
ブートミとシアンス・ポ
コロンビア大学政治学部
ウェブ夫妻とLSE
西洋以外の世界
「残りの世界」――人類学と東洋学の対象
中道自由主義に奉仕する学
ヨーロッパ文化の起源
エジプトかギリシアか
ドイツのインド学・中国学
人類複数起源説――人類学と人種差別
第6章 再 論
訳者解説
参考文献
索 引
前書きなど
▼『近代世界システム』における本巻の位置
『近代世界システム』の第一巻は、一九七四年に刊行された。本書は、その第四巻にあたる。四巻全体では、近代世界システムの歴史的・構造的発展の分析になっている。各巻は、それぞれ独立の一書ともなっているものの、同時に、単一のより大きな著作の一部を構成するようにも仕組まれている。この姿勢は、著者にとっても、読者にとっても、いくつかやっかいな問題を引き起こす。そうした困難のなかには、当初、私が予想もしなかったものもある。したがって、こうした問題に、私自身がどのようにアプローチしてきたかを、はじめに明らかにしておくことが、読者にとって有益ではないかと思う。それに、そうすれば、私の意図するところが、読者によりわかりやすくなるかとも考える。
各巻・各章には、それぞれにひとつのテーマがあり、したがって、それぞれの論点をもっている。他方、全巻を通じて、歴史的・通時的であると同時に、構造的・分析的・理論的な構成にもなっている。というのは、かねて、認識論を[歴史などの人文学にみられる]個性記述的な方法と[自然科学の前提とされた]法則定立的な方法に区分する、かつて大いに喧伝されたやり方は、時代遅れの誤謬であり、健全な分析を妨げると考えているからである。社会の現実は、つねに、しかも必然的に、[現実は、瞬間、瞬間に動いているという意味で]歴史的である。しかし、同時に、すべての社会的行動は、何らかの歴史的社会システムのなかでとられるわけで、そのシステムからくるさま……
[「序章」冒頭より]
上記内容は本書刊行時のものです。