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海岸と人間の歴史 オーリン・H・ピルキー(著/文) - 築地書館
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海岸と人間の歴史 (カイガントニンゲンノレキシ) 生態系・護岸・感染症 (セイタイケイゴガンカンセンショウ)

自然科学
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発行:築地書館
四六判
328ページ
定価 2,900円+税
ISBN
978-4-8067-1602-0   COPY
ISBN 13
9784806716020   COPY
ISBN 10h
4-8067-1602-2   COPY
ISBN 10
4806716022   COPY
出版者記号
8067   COPY
Cコード
C0040  
0:一般 0:単行本 40:自然科学総記
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2020年3月28日
最終更新日
2020年6月17日
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書評掲載情報

2020-08-08 日本経済新聞  朝刊
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紹介

人は砂浜とともに生きるのか? 砂浜を殺すのか?

地球温暖化による海面上昇で影響を受ける沿岸部の地域社会に警鐘を鳴らすとともに、
世界の砂浜にみられる浜の環境問題
――砂採掘、海岸保全構造物、ごみ、流出油の漂着、車の走行、細菌汚染などを
具体例をあげてわかりやく解説し、
経済活動を優先するのか、自然環境を優先するのか、
理想と現実のはざまで問題を投げかける。
日本の砂浜にも共通する問題であり、
海に囲まれた日本に暮らす人々にとって重要な視点を提起している。
今、世界的に砂浜の価値を見直す機運が広がるなかで、
これからの浜のあり方を考えるうえでの指針となる。

【原著書評より】
私たちは、寝転んだり、のんびりと時間を過ごすのに浜を利用してきた。
しかし、これからもずっと浜がそんな場所であってほしいと望むなら、
私たちは立ち上がり、私たちの声に耳を傾けてもらうべきだろう。
本書は、地球上で最も愛されるべき生態系に関する、たいへん興味深い、新たな情報を発信している。
―――ビル・マッキベン(タイムズ誌で世界最高と称された環境ジャーナリスト)

世界の浜の窮状に関心をもつ人なら誰もが読むべき本である。
海岸工学エンジニア、海岸事業者、デベロッパー、政治家、ビーチフロント資産の所有者に、
勇敢にも真正面から立ち向かい、彼らが世界の浜に及ぼす負の影響を本書は痛烈に批判している。
―――アンドリュー・ショート
(シドニー大学地球科学部、砂浜生態学に多大な影響を及ぼしたモルフォダイナミクス(morphodynamics)の観点から浜のタイプ分けを提唱した一人)

目次


まえがき

第1章 終わりは近い!
自然の浜はどのように働くか
変化する浜
嵐、洪水、津波――強打者
砂はどこから来るのか?
浜の生命
浜とともに暮らす

第2章 身代を食いつぶす──砂採掘
深刻な浜砂採掘――4つの事例
シンガポール/モロッコ/シエラレオネ/バーブーダ
浜砂採掘と浜の未来

第3章 防ぎきれない──砂上の硬構造物
浜に及ぼすエンジニアの影響
海岸工学エンジニアがすること
浜を見下した扱い
浜の苦しみ
護岸/突堤/導流堤/離岸堤/ジオチューブ/蛇籠/まゆつば工法/瀕死の浜/養浜
破綻するための仕事?

第4章 一時しのぎ──養浜
養浜とは何か?
よい面
侵食を遅らせる/高潮の影響を軽減する/レクリエーションの機会を提供する/護岸よりはましである
悪い面
応急措置にすぎない/いたって楽観的で無能な技術が当たり前/過去の振り返りが欠如している/生態系を破壊する/沖合の生態系へのダメージのもととなる/ウミガメに害を与える
醜い面
高密度の開発を助長する/海岸利用者に危険をもたらす
養浜の未来
浜の終焉

第5章 プラスチック圏──浜のごみ
危険な標着ごみ
海浜ごみはどこからくるか?
巨大なごみだまり
終わりのみえないごみ問題

第6章 タールボールとマジックパイプ
油汚染の源
船舶からの流出/嵐/海底からの滲出/沈船に残る油/暴噴/油と戦争
浜のタールボール
油に対する浜の脆弱性
「それで?」――油流出の何が問題なのか?
どのように油を浜から遠ざけるか

第7章 わだちにはまる──浜でのドライブ
浜走行の影響
浜の美観/浜の利用を制限する/生態系へのダメージ/加速する侵食速度?/自動車事故/歩行者の死亡
さまざまな浜走行の規制
カリフォルニア州/ジョージア州/デラウェア州/ノースカロライナ州/テキサス州/オレゴン州/オーストラリア/アイルランド
どんな浜を望むのか

第8章 内なる敵──浜の汚染
細菌――善玉と悪玉
糞便汚染の指標細菌
医療系廃棄物
MRSA
有毒藻類
赤潮
鉤虫(こうちゅう)
浜をどう利用すればよいか?
浜の汚染の未来

第9章 世界規模の浜の破壊
観光によるダメージ
浜の砂の国際的な取引
世界に輸出される海岸工学
外来種の影響
気候変動と開発援助
浜の未来

第10章 終わりが来た
浜のクオリティの未来
浜自身の未来
未来へのスケジュール
今まで通りのやり方──開発が進んだ国の浜/今まで通りのやり方──高層ビルが並ぶ浜/今まで通りのやり方──発展途上国の浜/今まで通りのやり方──遠隔地にある手つかずの浜/後退を前提とした選択肢
適切なやり方がある
状況にビルを合わせる/危機的な状況にあるインフラを移転させる/海岸の後退を許容する/自然のプロセスを再生し、過去の過ちを繰り返さな/生態系を保存する
いちるの望み
浜に対する新しい見方

用語解説
付録1・2
訳者あとがき
参考文献
索引

著者プロフィール

オーリン・H・ピルキー  (オーリンエイチピルキー)  (著/文

1934 年生まれ。ニューヨーク・タイムズ紙によって、「アメリカ第一の浜の哲学者」と称されている。デューク大学名誉教授。
『Global Climate Change(地球規模の気候変動)』をはじめ多数の著書があり、本書の後も、『Retreat from a Rising Sea(上昇を続ける海面からの後退)』(2016)、『Sea Level Rise:A Slow Tsunami on America's Shores(海面上昇:米国沿岸を襲う緩やかな津波)』(2019)など海面上昇による影響に警鐘を鳴らす書籍を出版している。一方、『Lessons from the Sand(砂から学ぶ)』(2016)、『The Magic Dolphin(マジック・ドルフィン)』(2018)など、子ども向けの啓発書にも力を注いでいる。
2013 年には、ノースカロライナ州のデューク大学海洋研究所に、彼の名前を冠したオーリン・ピルキー海洋科学・保全遺伝学センターが開設された。ノースカロライナ州、ヒルズボロー在住。

J・アンドリュー・G・クーパー  (ジェイアンドリュージークーパー)  (著/文

英国のアルスター大学地理学・環境科学部の教授。南アフリカのクワズール・ナタール大学の名誉教授。
『The World's Beaches(世界の浜)』(2010)や『Pitfalls of Shoreline Stabilization(海岸線安定化の落とし穴)』(2012)など、ピルキーとの共著がある。
世界各地の浜の研究や、海岸線への人の手の不介入を貫く姿勢でよく知られている。北アイルランド、コールレーン在住。

須田有輔  (スダユウスケ)  (翻訳

1957 年2 月20 日、神奈川県鎌倉市生まれ。
東海大学海洋学部卒業、東京水産大学大学院水産学研究科修士課程修了、東京大学大学院農学系研究科博士課程修了(農学博士)。民間企業勤務を経て、1992 年に水産大学校漁業学科講師に就任。現在、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校校長・同生物生産学科教授。
おもな著書・訳書に、『砂浜海岸の生態学』(共訳・東海大学出版会)、『砂浜海岸の自然と保全』(編著・生物研究社)などがある。
東亜建設工業株式会社在職時に訪れた米国のアウター・バンクスの砂浜に魅せられ、それ以来、砂浜の魚類や底生生物を中心に、砂浜の生態系に関する研究を行っている。NPOなどとともに啓発活動にも取り組んでいる。宮崎海岸侵食対策検討委員会や海辺の生物国勢調査に関する研究会などに委員として参画している。

上記内容は本書刊行時のものです。