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『ニルスのふしぎな旅』と日本人 村山朝子(著/文) - 新評論
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『ニルスのふしぎな旅』と日本人 スウェーデンの地理読本は何を伝えてきたのか

発行:新評論
四六判
300ページ
定価 2,500円+税
ISBN
9784794811066
Cコード
C0098
一般 単行本 外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2018年11月
書店発売日
登録日
2018年10月6日
最終更新日
2018年10月31日
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書評掲載情報

2019-01-12 日本経済新聞  朝刊

紹介

魔法で小さくされた少年がガチョウに乗って国中を旅する冒険譚『ニルスのふしぎな旅』。スウェーデンで1906六年から07年にかけて刊行された、女性作家セルマ・ラーゲルレーヴによる一大長編物語(全二巻)です。この本、じつは「国土愛」の涵養を目的とする小学生向けの地理読本として書かれたものでした。しかし、時を置かず各国語に訳され、世界中で児童文学書として読まれることになりました。
 2018年は、日本・スウェーデン外交樹立150年という記念すべき年です。同時に『ニルス』初邦訳100周年でもあります。初の邦訳書は1918年、二巻のうち第一巻のみを訳した『飛行一寸法師』です(香川鉄蔵訳、大日本図書刊)。それ以来、さまざまな邦訳版が誕生しました。ただし、長編であることやスウェーデンの地名がたくさん出てくることから、抄訳や再話、絵本などが多く出回りました。
 戦前は雑誌に連載され、主人公と動物たちの胸躍る活躍とダイナミックな展開が、それまでの日本にはなかった冒険譚として人気を博しました。でもそれが一気に拡大したのは、1980年に放映が始まったテレビアニメのおかげでしょう。
 時を超えて繰り返し訳され、時代によって作品像を変えながらも、不死鳥のごとく命脈を保ち、読み継がれてきた日本版『ニルス』。訳者をはじめ、この作品を情熱をもって世に送り出してきた人たちは、いったい『ニルス』の何にそれほど魅せられたのでしょうか。そして、子どもたち、いや日本人は、それをどのように受け止めてきたのでしょうか。本書は地理教育を専門とする筆者が、その謎を解き、その意味を探るものです。
 近代化のスタートをほぼ同じくするスウェーデンと日本ですが、その歩みは必ずしも同質ではありませんでした。その差異の背景にある風土や国民性の比較も、本書の一つの読みどころです。(むらやま・ともこ)

著者プロフィール

村山朝子  (ムラヤマアサコ)  (著/文

茨城大学教育学部教授。専門は地理教育。中学校社会の教科書執筆に長く携わる。著書に『ニルスに学ぶ地理教育―環境社会スウェーデンの原点』(ナカニシヤ出版、2005年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。