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脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか マット・ウィルキンソン(著/文) - 草思社
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脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年

発行:草思社
四六判
408ページ
定価 2,800円+税
ISBN
9784794223807
Cコード
C0045
一般 単行本 生物学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年2月21日
書店発売日
登録日
2019年1月21日
最終更新日
2019年2月23日
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書評掲載情報

2019-04-13 日本経済新聞  朝刊
評者: 吉川浩満(文筆家)

紹介

「物理学」が生き物の「形」を決めた!

動物は、効率的移動のため、何をおいても「物理法則」に適応して形を進化させなければならなかった――。
這い、泳ぎ、歩き、飛ぶため、動物はどう形を変えてきたか、その最新研究を紹介。
人間の直立二足歩行のメリットは何か、
多くの動物が左右対称である理由、
単細胞生物が光の方に進む意外な方法など、
生物の動きと形の進化に関する驚きの事実が次々と明らかになる。

内容より
◎人間の「かかと着地走法」が不効率な理由
◎ムササビの仲間から長距離飛行者が進化しないわけ
◎単細胞生物としては、植物は動物より移動が得意
◎なぜ車輪で動く生き物はいないのか
◎神経も脳も運動を制御するために生まれた


生物の形態の進化に、科学は「法則性」や「因果関係」を見出しうるだろうか。
かつて物理学者ラザフォードは、「物理だけが科学だ。ほかはみな切手収集みたいなものだ」と述べた。
法則性や因果関係を説明し予測しうる科学は物理学のみで、それ以外の科学は事例の「分類」と「記述」に終始している、と蔑んだのである。
生物は偶然による突然変異によって姿形を変え、これまた偶然にもたらされた周囲の環境に適応したものだけが生き残る。
変異も適応も偶然に支配されているとすれば、形態の進化には法則性は存在しないのか?
そんなことはない、と著者ウィルキンソンは言う。
生物は効率的に移動運動をしなくてはならない。
そのためには、ほかならぬ物理法則に適応できるかどうかが重要だ。
物理法則はすべての環境に等しく存在し、生物の移動運動の進化、
ならびに、その移動運動を可能にする生物の形状に、非常に強い制限を与える。
現在の生物たちの形態は、移動運動を司る物理法則と、形態変化を司る進化の法則があやなす40億年の物語のすえ、できあがった。
そこには「法則性」や「因果関係」も見出しうる――。

這い、泳ぎ、歩き、飛ぶため、生物はどう形を変えてきたか。
移動運動の物理から生物の形の進化を、最新研究で読み解く。

目次

はじめに
同じ物理法則の下、生物はなぜ多様に進化したか
二足歩行から移動運動の起源まで。本書の構成

1 人間はどのように歩き、走るか
「人はなぜ歩くことができるか」の基礎の基礎
人間や動物の移動運動をどう記録するか
驚異のマシーンとしての脚と足
歩くことと走ることの違いは何か
人間にとって歩行・走行はなぜ重要だったのか

2 人間の直立二足歩行の起源
チンパンジーはなぜ歩くのが下手なのか
人間の祖先が二足歩行をはじめたきっかけとは
化石に残された直立二足歩行の証拠
ついに見つかったルーシー以前のヒト族化石
森のなかで直立二足歩行が進化した理由
樹上で進化した拇指と歩き方

3 鳥はどのように飛び始めたか
「終端速度」で落下していく生き物たち
揚力はどのように発生するか
そもそもなぜ動物たちは滑空するのか
羽ばたき飛行できる生物が限られる理由
恐竜からどのように鳥が進化したのか
鳥は当初、足を開いて滑空していた

4 背骨は泳ぐために
背骨がある場合とない場合で動きがどう変わるか
「魚はなせ泳げるか」をよく考えてみる
魚は揚力を使って泳いでいる
背骨ができる前は何で背中を支えたか
脊索・脊椎の起源や進化を探る

5 ひれはいかにして肢になったか
陸へ出たがる魚はじつは多い
肢とひれの関係の証拠となった魚の発見
四肢が進化したのは陸上ではなかった
肉鰭綱のひれだけが上陸に成功した理由
空気呼吸する魚も実は多い
空気呼吸→中立浮力→器用で力強いひれ→陸上へ

6 多くの動物が左右対称なのはなぜか
身体の前後上下を決めるしくみ
身体のモジュール構造はどう作られるか
たくさんの肢を効率よく動かす方法「メタクロナール波」
多くの肢をそれぞれ別の形にできるのはなぜか
左右相称動物の爆発的多様化「カンブリア大爆発」
左右相称動物誕生の謎に迫る手がかりの断片

7 脳と筋肉はどのように生まれたか
神経の電気信号が身体を伝わるしくみ
筋肉の制御こそが神経と脳の存在意義
神経も筋肉もないカイメンの「くしゃみ」
神経誕生以前と以後の運動制御の違い
神経と筋肉を獲得した刺胞動物
クラゲはどのように筋肉を制御しているか
這う動物たちは頭がよくなった

8 移動しない生物が進化した理由
自力を使わずに移動する方法
動かずに生きる動物はなぜそうなったか
固着性動物が移動能力を再獲得した例
動かない植物が移動を必要とする理由
花粉や種を飛ばして拡散する
花粉や種の拡散に動物を利用する方法
植物や菌類が移動運動をやめたのは「壁」のせい

9 最初の移動運動はどう始まったか
小さな生物たちのまったく異なる泳ぎ方
繊毛は何から進化したか
「運動記憶」でアメーバは正しい方向へ動く
多細胞生物になって移動手段はどう変わったか
最初の移動運動はどう始まったか

10 動物はなぜ動きたいと思うか
赤ちゃんはなぜ立って歩きたがるのか
人間はランナーズ・ハイを求めて走るのか
ドーパミンは動物の行動にどんな影響を与えるか
歩きながら探究することの喜び
人間は歩くことをやめようとしているか

謝辞
参考文献

著者プロフィール

マット・ウィルキンソン  (マットウィルキンソン)  (著/文

マット・ウィルキンソン
ケンブリッジ大学動物学部の生物学者、サイエンスコミュニケーター。その研究はテレグラフやニュー・サイエンティスト、ネイチャーなどで取り上げられた。イギリス・ケンブリッジ在住。1975年生まれ。

神奈川 夏子  (カナガワ ナツコ)  (翻訳

神奈川 夏子(かながわ・なつこ)
東京都出身。日仏英翻訳者。上智大学外国学部フランス語学科卒業、同大学院フランス文学修士課程修了。サイモンフレーザー大学日英通訳科修了。訳書『偉大なる指揮者たち』『偉大なるダンサーたち』『偉大なるヴァイオリニストたち2』(ヤマハミュージックメディア)、『BIG MAGIC「夢中になる」ことから始めよう』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

上記内容は本書刊行時のものです。