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墓の建立と継承
「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学
- 初版年月日
- 2023年2月28日
- 書店発売日
- 2023年2月21日
- 登録日
- 2023年1月20日
- 最終更新日
- 2023年2月8日
書評掲載情報
2023-05-27 |
毎日新聞
朝刊 評者: 中島岳志(東京工業大学教授・政治学) |
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紹介
「家」なき時代において、墓を建て、それを継承することの背景には、何があるのだろうか? 社会的アクターとしての地方自治体・石材店・仏教寺院に注目し、それらが参与することによって、墓を建て、継承するという営みの意味が変容する過程を、社会学の観点から明らかにする。
目次
序 章 なぜ墓の継承の断絶は憂慮されているのか?
第1章 「家」なき現代社会と先祖祭祀
1 日本社会学における先祖祭祀と「家」の連関の解明
2 戦後日本における「家」と先祖祭祀の変容
3 孝本貢の研究成果と残された課題
4 〈祭祀の永続性〉と社会的アクターの参与の探究に向けて
5 「家」の解体とその帰結――先祖祭祀研究の現代的意義
6 本書の方法――「家」から社会的アクターの分析へ
第2章 近現代日本における墓地行政の展開
1 墓地行政における「福祉」と地方自治体の実践
2 国家による公衆衛生・公共の福祉に基づく規制と宗教的感情
3 東京都による墓地不足への対応
4 個人の尊厳と「コミュニティに生き貢献したことの証」としての墓地
5 「家」に代わる論理としての「福祉」への到達
第3章 都市計画としての墓地開発の構想と現実
1 都市計画としての多摩ニュータウン開発と墓地
2 多摩ニュータウンにおける墓地開発の構想
3 墓地開発の全体構想の崩壊
4 八王子市の墓地行政における納骨堂・合葬墓の管理・運営の意味
5 都市計画としての墓地供給の困難性とその結末
第4章 戦後日本における墓の「商品化」と墓の建立の大衆化
1 商品、モノとしての墓・墓地
2 石材店の生き残り戦略としてのリスクを抱えた墓地開発
3 墓石加工技術の変化と大量生産体制の確立
4 広告・宣伝にともなう墓の「商品化」と新たな墓の建立
5 墓地・墓石の規格化と死にまつわる平等性
6 戦後民主主義と墓の建立の大衆化
第5章 失われた二〇年と継承を前提としない葬送・墓制の「商品化」
1 継承を前提としない葬送・墓制の成立とその社会的意味
2 墓の生前建立の減少と新たなマーケティング戦略
3 女性を対象とした個性的な墓・墓地の「商品化」
4 継承を前提としない葬送・墓制の「商品化」
5 経済構造の変動と継承を前提としない葬送・墓制の社会的広がり
第6章 永代供養墓の建立をめぐる〈祭祀の永続性〉とその歴史的連続性
1 崩れゆく「家」ともとにした寺檀関係
2 都市移住者との「縁」と供養の継続
3 「商品化」されきらない永代供養墓とその歴史的連続性
4 寺院経営にとどまらない永代供養墓の意味と女性による墓の継承
5 「縁」ある人々の参拝の場としての永代供養墓と〈祭祀の永続性〉
第7章 セーフティネットとしての骨仏と安心感
1 死後の自己決定と制約された葬送・墓制の選択肢
2 現代社会における骨仏造立の実践
3 死後の希望としての骨仏
4 「家」なき現代社会における〈祭祀の永続性〉とセーフティネット
第8章 戦後日本における先祖祭祀の変容と〈祭祀の永続性〉の帰結
1 〈祭祀の永続性〉の基盤
2 「家」の解体と〈祭祀の永続性〉の帰結――本書の知見
3 ジグムント・バウマンの理論と後期近代に存続する不死性
4 残された課題と未来への責任
上記内容は本書刊行時のものです。