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跳ね返りとトラウマ
そばにいるあなたも無傷ではない
- 書店発売日
- 2022年12月26日
- 登録日
- 2022年11月18日
- 最終更新日
- 2022年11月24日
書評掲載情報
2023-03-12 |
読売新聞
朝刊 評者: 郷原佳以(東京大学教授・仏文学者) |
2023-02-04 |
朝日新聞
朝刊 評者: 金原ひとみ(小説家) |
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紹介
シャルリ・エブド襲撃事件の生き残りとなった風刺画家。
その妻であるジャーナリストが、夫のとなりを歩んだ5年間の記録。
■跳ね返り[Ricochet]
もとは(石の)水切りや跳弾を表す言葉。
転じて、ある加害行為により損害を受けた直接被害者と
身近な関係にある者が被る影響や被害も意味する。
■あらすじ
2015年1月7日、フランスのパリにある風刺週刊紙『シャルリ・エブド』の編集部に、覆面をして武装した二人組の男が侵入し、12名を殺害、11名に重軽傷を負わせた。犯人たちは逃走するも、二日後に警察との銃撃戦で射殺された。また、8日にはパリ近郊で女性警察官が銃殺され、犯人は翌9日にユダヤ系スーパーマーケットに籠城するが、こちらも突入した警察部隊に射殺された。一連の事件は犯人たちに交流があったため、あわせて「シャルリ・エブド襲撃事件」と呼ばれることが多い。
本書の著者の夫リュズは『シャルリ・エブド』の風刺画家だったが、編集会議に遅刻し、わずか数分の差で襲撃を免れた。しかし、凄惨な犯行現場を見たことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、「直接被害者」として認定された。不眠と悪夢に悩まされ、かすかな物音にも怯えてはパニック状態に陥る夫を支える著者の生活が、こうして始まった。
再び襲撃されるのではないかとの不安、警護による束縛、パリを離れての生活と異国の地での出産、加えて国の理不尽な対応や周囲の無理解……。こうした日々を耐えがたく感じた著者の心をとらえたのが、事件当日の夜、心理士に言われた言葉だった。
「あなたは被害者の近親者ですから、跳ね返りによる被害者なのですよ」
そのときは意味がわからなかった。自分が「被害者」だとは思いもしなかったから。だが、いまではこんな疑問を抱くようになった。どうして自分には「無償の愛」や「自己犠牲」ばかりが要求されるのか? 直接被害者である夫の影響を受けざるをえない自分のような存在を、どう考えればいいのか?
こうして著者は、実体験をもとに関係者や専門家へのインタビューをおこない、さまざまな調査を重ね、「跳ね返りによる被害者」とは何なのか、自分に起きたことにどんな意味があるのかを明らかにすることを決意する。
テロ、人災、無差別殺傷……この傷ましい時代を生きるすべてのひとに捧げる一冊。
目次
誕生日のピザパーティ
ぽちゃん
饒舌
狂った小道具係
幕間Ⅰ:疑問
青いコート
ハトの羽ばたき
ボニーとクライド
ピーポーピーポー
ピーポーピーポー、アンコール
幕間Ⅱ:鳥たち
サバイバー
幕間Ⅲ:馬車の蠅
スタンダップ
おそれ
定義の試み
再定義
幕間Ⅳ:鳥たち、再び
テロ後の住い探しドットコム
大きなチェスボード
ナマステ
エロスとタナトス
幕間Ⅴ:植物
自己への回帰
運命愛
ムステラ
フランス万歳、共和国万歳
横になってください
パスタとワイン
フィニステール県
亡霊
謝辞
訳者あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。