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子どもを見る眼
先生たちへの応援歌
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年12月
- 書店発売日
- 2012年12月3日
- 登録日
- 2012年11月15日
- 最終更新日
- 2019年11月6日
重版情報
7刷 | 出来予定日: 2019-11-15 |
6刷 | 出来予定日: 2017-11-20 |
5刷 | 出来予定日: 2015-10-15 |
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紹介
ベテラン世代から若い教員へ伝えておきたい「子ども観」「子どもをどう見るか」をまとめたメッセージ。実践から紡ぎ出される子どもと教師の具体的事例は共に生きる素晴らしさ・集団づくりの大切さ・教育への希望を感じさせる。
目次
1.子どもの話をじっくり聴ける教員に
まずは「どうしたの?」から始めよう/自分のことは、おいといて/「ごめんなさい」と言える力/子どもにかける願いはまっすぐに伝えよう/魔法の言葉「そうなんや」
2.スキルアップする学びの場を求めて
子どもを見る眼を養ってくれる職員室/論議する習慣をとおして打たれ強い自分をつくる/世界の中心で「わからない」を叫ぼう
3.豊かな授業をつくるために
わからないことが大切にされる教室/静かな授業から生まれる「立ち止まる力」/集団づくりと学力は見事なまでにリンクする/赤の他人の大人に認められるということ/ひと工夫から生まれたひとさぼりが継続のコツ
4.子どもと深く向き合うために
子どものせいにしないということの意味/子どもを信じるということの意味/「問題行動」を子どもの変わり目に/学校で二度、傷つく子どもたち
5.行事をとおして子どもをつなぐ
ピンチをチャンスに変える力/取り組みのなかでつながりのドラマを/みんなで遊べる力をつけよう/後輩につながりのモデルを示す/元気で明るいクラスって何?/すべての行事はつながりのため/子どもを尊敬するということ/行事での学びを日常にどうつなぐか/挫折からの再生
前書きなど
ベテラン世代が大切にしてきた同和教育は、まさに今、若い世代へのバトンタッチが思うようにいかず、途切れていくのではないかという状況にある。
この実態を冷静に見据え、では何をこそ踏襲していくのかと考えた。長年にわたる同和教育実践によって、教員の側がつけてきた力とは、「差別の現実に深く学ぶ」という姿勢であろう。
しかし、その差別の現実が見えにくくなっている今、そんなスローガンだけでは、この理念を若い世代に引き継いでいくことは難しい。
もっとわかりやすい言葉で伝えられないものかと考えると、それは、「子ども観」であり、「子どもをどう見るかという目の付け所」であり、「子どものせいにしない」「親や地域のせいにしない」というスタンスのことなのだ思うのだ。
その一方で、現在、大阪全体の教員採用状況は砂時計状。ベテランの言葉やスキルを若い教員に、また若い教員の思いをベテラン世代に、翻訳しながら世代間をつなぐ中堅世代がほとんどいない実態にある。
具体的には、50代と20代だけからなる教員集団という現場を生み出している。この傾向は時期の違いはあるにせよ、大阪だけの問題ではない。
筆者世代の新任当時は、大先輩のさまざまなスキルが、「数珠つなぎの年齢構成という『じょうご』」を通し、若い世代に自然に踏襲される環境があった。
各年齢層のキャリアを持ち寄った学年構成では、ともに作業する状況の中で、先輩の仕事ぶりを直接見、今何かを教えてもらっているという自覚もないまま、さまざまなスキルを自然に学んでいけた。
各々が教室という壁に囲まれた空間に一人でいて、先輩のやり方を日常的に目にすることができない職場環境を持つ学校が、今や、命綱であった『じょうご』を失っている。
ここ数年で去っていくベテラン世代は、若い教員は「知らない」のではなく「知れない」状況にあるという事実を、もっと深く自覚すべきである。彼らを尊重するのなら、黙って見守っているだけではいけないと肝に銘じる必要がある。
近い将来、保護者より年下で経験年数の少ない教員が大半を占める実態となることは明らかである。それでも学校が十全に機能できるようにするためには、「若い教員育て」こそが、緊急かつ火急に取り組まれるべき最重要課題であると思われる。
以上の問題意識から、若い教員に対して、
①「子どもを見る眼」について、具体例をあげてレクチャーするとともに
②豊かな子どもの姿に触れ、自分もそんな実践がしてみたいという意欲を喚起し
③ぶれない理念を自分の軸として持ってもらえるようにと願って
また、中堅およびベテラン層には
④今一度、原点の理念を整理し、集団づくりの大切さを再確認し
⑤若い教員にどのように伝えていくのかの参考文献として活用いただけるよう
という狙いを持って書いたものである。
子どものすばらしさ、子どもとともに生きることのすばらしさに、教育への希望を感じていただきたいと願っている
(著者より)
上記内容は本書刊行時のものです。