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公共政策学教育の現状分析
ポリシー、カリキュラム、授業実践
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2023年3月20日
- 書店発売日
- 2023年3月17日
- 登録日
- 2023年2月1日
- 最終更新日
- 2023年3月17日
紹介
政策科学部や地域政策学部といった学部での「公共政策学教育」の現状と課題を多角的に究明。四半世紀を超える政策系学部のあゆみを振り返りつつ、「学士課程教育における公共政策学分野の参照基準」(2015年)の作成過程も内部と外部双方の視点から活写。
目次
はじめに
第1部 公共政策学教育の現状
第1章 学士課程教育における公共政策学教育の背景[村上紗央里]
1 これまでの高等教育政策
2 学士課程教育における公共政策学教育のこれまで
3 公共政策学教育に関する研究
4 公共政策学教育の基本的な知識・資質・能力
5 「学士課程教育における公共政策学分野の参照基準」について
6 考察
第2章 公共政策系学部のディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシーに基づく共通構造[村上紗央里]
1 目的・方法・対象
2 DP,CPのテキスト分析
3 「学士課程教育における公共政策学分野の参照基準」と公共政策系学部のDP・CPに見られる共通構造
4 考察
第3章 公共政策系学部のカリキュラム――京都市の公共政策系学部3大学を事例に[村上紗央里]
1 カリキュラムとは
2 目的・方法・対象
3 京都市の公共政策系学部3大学のDP,CP
4 京都市の公共政策系学部3大学のカリキュラム
5 考察
第2部 公共政策学教育の実践とその課題
第4章 公共政策学教育と初年次教育[村上紗央里・新川達郎]
1 初年次教育について
2 公共政策学教育における初年次教育の実態と位置付け
3 京都市の公共政策系学部3大学における初年次教育
4 同志社大学政策学部における初年次教育実践
5 まとめと課題
第5章 公共政策学教育における実践型科目としてのPBL[村上紗央里]
1 目的・方法・対象
2 公共政策学教育とアクティブ・ラーニング,PBL
3 公共政策系学部5大学におけるPBL
4 京都市の公共政策系学部3大学におけるPBL
5 同志社大学政策学部新川ゼミにおけるPBL
6 まとめと今後の課題
第6章 公共政策学教育の資格教育プログラム――地域公共政策士プログラム[村上紗央里・新川達郎]
1 地域公共政策士資格の全体像
2 初級地域公共政策士プログラムについて
3 まとめと今後の課題
第3部 公共政策学教育の今後に向けて
第7章 公共政策学教育とは何か[新川達郎・村上紗央里]
1 公共政策学教育のこれまで
2 公共政策学とその教育のアイデンティティ・クライシスについて
3 同志社大学政策学部の教育について
4 公共政策学教育の実際から
5 地域公共政策士の取り組みについて
6 これからの公共政策学教育と学際性
7 高等学校での「公共」の科目化について
8 ポストコロナの公共政策学教育と公共政策学研究
9 これからの公共政策学の研究と教育に向けて
第8章 研究の総括と今後の展望[村上紗央里]
1 各章のまとめ
2 学士課程教育における公共政策学教育の学びと成長のモデル
3 今後の展望と課題
おわりに
謝辞
参考文献
前書きなど
はじめに
今日の日本社会では,18歳選挙権が実現される一方で若年層の投票率が低調に終わっている。日本社会における民主主義は大きな岐路を迎え,民主主義の科学を自認する公共政策学の果たすべき使命はますます重いものとなっている。高等学校教育では,教科「公共」が2022年度から導入され,公共政策学教育に期待される役割は大きい。高等教育では,学部教育において1990年代より公共政策学分野の学部が設置され,教育研究を蓄積してきた(新川 2015)。高等教育における公共政策学教育もまた現代日本の市民社会の民主主義に対して果たすべき役割は大きい。
高等教育においては,1991年の大学設置基準の大綱化や各学問分野における質保証要請等の大学教育改革が進められてきた。しかしながら,学生調査の結果からは,今日の大学教育は学生を育てられておらず,目的意識をもった主体的な学びの成長には至っていないことが指摘されている(溝上 2018)。
公共政策学教育も例外ではない。民主主義社会への貢献のためにも,公共政策学教育についての研究の整備が急務となっている。これまで高等教育の質保証の動向から,公共政策学分野においては日本公共政策学会が中心となって「学士課程教育における公共政策学分野の参照基準」が作成されてきた(日本公共政策学会 2015)。一方,学士課程段階における公共政策学教育についての体系的な現状分析は未だなされていない。
本書では,学士課程教育における公共政策学教育の現状と課題を体系的に究明することを目的とする。そして,学士課程教育として公共政策学教育を行う大学を対象とする。具体的には,「『公共政策学教育の基準』に関する検討とその課題」(新川 2015)において示されている総合政策学部,政策科学部,政策学部,地域政策学部,現代政策学部,公共政策学部,政策創造学部を対象とし取り上げる。新川(2015)では「これらの大学が少なくとも特定の政策領域限定ではなく一般的に幅広く公共政策を取り上げていること,そして学部学生を対象に教育研究を進めようとしていることから,事例として適当」(新川 2015:75)と捉えており,本書でもその基本的な考えを踏襲する。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。