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帰還
父と息子を分かつ国
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年11月28日
- 書店発売日
- 2018年11月28日
- 登録日
- 2018年10月18日
- 最終更新日
- 2021年10月7日
書評掲載情報
2019-02-09 |
朝日新聞
朝刊 評者: 西崎文子(東京大学教授・アメリカ政治外交史) |
2019-01-26 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 岡真理(京都大学教授) |
2018-12-23 |
読売新聞
朝刊 評者: 一青窈(歌手) |
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紹介
1979年、リビア。反体制運動のリーダーだった父がエジプトに亡命。だが11年後に拉致され、消息を絶った。2011年、カダフィ政権が崩壊。息子のヒシャームは、ついに故郷の地に降り立つ――。バラク・オバマ、C・アディーチェ、カズオ・イシグロが絶賛する、世界的ベストセラー。ピューリッツァー賞(伝記部門)受賞作。
「本書は、ヒシャーム・マタールが故国リビアに「帰還」した旅の記録であると同時に、そこへ至るまでの家族の歴史と、彼自身の心の軌跡を綴った作品である。ノンフィクションでありながら、ときに抒情的に、ときにシニカルに、ときに激しい憤りをこめて語られるストーリーは、美しい情景描写やリアルな人物描写ともあいまって、まるで小説のようでもある。
印象深い場面がたくさんある。たとえば、十代の頃の親友と、大人になってからロンドンの通りでばったり会って、再会を喜び、電話番号を交換するものの、立場の違いから、お互い決して連絡をとることはないだろうと思って別れる場面。「聖ラウレンティウスの殉教」「皇帝マクシミリアンの処刑」といった絵画にのせて語られる心情や、建築学を専攻した作者ならではの、建築物や街並みに関する考察も興味深い。イタリアの支配に対する抵抗運動に身を投じていた、祖父ハミードのエピソードも印象的だ。故国への旅のあいだ、マタールは様々に心を乱され、不眠に陥ったりもするが、そんな彼をあたたかく迎え入れてくれる人が大勢いたことにほっとさせられる。図書館でのイベントに、昔、彼の父親と一緒に発行していた同人誌を持って訪れる老人、彼の母親から受けた恩に対して深い感謝と敬意を表明する男性、そして、父親の故郷で彼を出迎え、手を握ってくれる、父親にそっくりの目をしたおばたち……。(中略)
『帰還』は、二〇一七年のピューリッツァー賞(伝記部門)ほか、数多くの文学賞を受賞した。二〇一八年七月には、オバマ前米大統領が、退任後初のアフリカ旅行を前に、「この夏、お薦めの本」の一冊にあげて、話題になった。ナイジェリア出身の女性作家、チママンダ・アディーチェは本作について、「心を動かされ、涙した。愛と故郷について教えられた」と述べ、カズオ・イシグロも「引き裂かれた家族をめぐる、不屈の精神に貫かれた感動的な回想録」と称賛している。」
――訳者あとがきより
目次
1 トラップドア
2 黒のスーツ
3 海
4 陸 地
5 ブロッサー
6 詩
7 健康か? 家族は?
8 休戦とクレメンタイン
9 父と息子
10 旗
11 最後の光
12 ベンガジ
13 前世のこと
14 銃 弾
15 マクシミリアン
16 キャンペーン
17 独裁者の息子
18 行儀のいいハゲワシ
19 談 話
20 何年何ヵ月
21 骨
22 パティオ
訳者あとがき=金原瑞人・野沢佳織
上記内容は本書刊行時のものです。