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帰還 ヒシャーム マタール(著/文) - 人文書院
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帰還 父と息子を分かつ国

発行:人文書院
四六判
重さ 440g
312ページ
定価 3,200円+税
ISBN
9784409130414
Cコード
C0097
一般 単行本 外国文学小説
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2018年11月28日
書店発売日
登録日
2018年10月18日
最終更新日
2018年11月19日
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書評掲載情報

2019-02-09 朝日新聞  朝刊
評者: 西崎文子(東京大学教授・アメリカ政治外交史)
2019-01-26 日本経済新聞  朝刊
評者: 岡真理(京都大学教授)
2018-12-23 読売新聞  朝刊
評者: 一青窈(歌手)

紹介

1979年、リビア。反体制運動のリーダーだった父がエジプトに亡命。だが11年後に拉致され、消息を絶った。2011年、カダフィ政権が崩壊。息子のヒシャームは、ついに故郷の地に降り立つ――。バラク・オバマ、C・アディーチェ、カズオ・イシグロが絶賛する、世界的ベストセラー。ピューリッツァー賞(伝記部門)受賞作。


「本書は、ヒシャーム・マタールが故国リビアに「帰還」した旅の記録であると同時に、そこへ至るまでの家族の歴史と、彼自身の心の軌跡を綴った作品である。ノンフィクションでありながら、ときに抒情的に、ときにシニカルに、ときに激しい憤りをこめて語られるストーリーは、美しい情景描写やリアルな人物描写ともあいまって、まるで小説のようでもある。

印象深い場面がたくさんある。たとえば、十代の頃の親友と、大人になってからロンドンの通りでばったり会って、再会を喜び、電話番号を交換するものの、立場の違いから、お互い決して連絡をとることはないだろうと思って別れる場面。「聖ラウレンティウスの殉教」「皇帝マクシミリアンの処刑」といった絵画にのせて語られる心情や、建築学を専攻した作者ならではの、建築物や街並みに関する考察も興味深い。イタリアの支配に対する抵抗運動に身を投じていた、祖父ハミードのエピソードも印象的だ。故国への旅のあいだ、マタールは様々に心を乱され、不眠に陥ったりもするが、そんな彼をあたたかく迎え入れてくれる人が大勢いたことにほっとさせられる。図書館でのイベントに、昔、彼の父親と一緒に発行していた同人誌を持って訪れる老人、彼の母親から受けた恩に対して深い感謝と敬意を表明する男性、そして、父親の故郷で彼を出迎え、手を握ってくれる、父親にそっくりの目をしたおばたち……。(中略)

『帰還』は、二〇一七年のピューリッツァー賞(伝記部門)ほか、数多くの文学賞を受賞した。二〇一八年七月には、オバマ前米大統領が、退任後初のアフリカ旅行を前に、「この夏、お薦めの本」の一冊にあげて、話題になった。ナイジェリア出身の女性作家、チママンダ・アディーチェは本作について、「心を動かされ、涙した。愛と故郷について教えられた」と述べ、カズオ・イシグロも「引き裂かれた家族をめぐる、不屈の精神に貫かれた感動的な回想録」と称賛している。」

――訳者あとがきより

目次

1 トラップドア
2 黒のスーツ
3 海
4 陸 地
5 ブロッサー
6 詩
7 健康か? 家族は?
8 休戦とクレメンタイン
9 父と息子
10 旗
11 最後の光
12 ベンガジ
13 前世のこと
14 銃 弾
15 マクシミリアン
16 キャンペーン
17 独裁者の息子
18 行儀のいいハゲワシ
19 談 話
20 何年何ヵ月
21 骨
22 パティオ

訳者あとがき=金原瑞人・野沢佳織

著者プロフィール

ヒシャーム マタール  (ヒシャーム マタール)  (著/文

ヒシャーム・マタール(Hisham Matar)/1970年、ニューヨークでリビア人の両親の間に生まれる。幼少年期をトリポリ、カイロで過ごす。1986年以降、イギリス在住。2006年、『リビアの小さな赤い実』(金原瑞人・野沢佳織訳、ポプラ社、原題 In the Country of Men)で小説家としてデビュー。自伝的要素の色濃い作品は高い評価を受け、ブッカー賞の最終候補にノミネートされたほか、英国王立文学協会賞など、数々の賞を受けた。その後、二作目の長編小説、『消失の構造』(原題 Anatomy of a Disappearance、2011年、未訳)を発表。リビアのカダフィ政権崩壊後に発表した本作The Return: Fathers, sons and the land in betweenでピューリッツァー賞(伝記部門)を受賞した。

金原 瑞人  (カネハラミズト)  (翻訳

金原瑞人(かねはら・みずと) 1954年、岡山県生まれ。翻訳家、法政大学社会学部教授。児童文学、ヤングアダルト向けの作品を中心に精力的に海外文学の紹介を行い、訳書は500冊を超える。書評、エッセイなどでも活躍。訳書に、シアラー『青空の向こう』(求龍堂)、〈パーシー・ジャクソンシリーズ〉(ほるぷ出版)、サリンジャー『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』(新潮社)ほか多数。

野沢 佳織  (ノザワカオリ)  (翻訳

野沢佳織(のざわ・かおり) 1961年、東京都生まれ。翻訳家。訳書にセペティス『凍てつく海のむこうに』『灰色の地平線のかなたに』(ともに岩波書店)のほか、シュヴァリエ『林檎の木から、遠くはなれて』(柏書房)、バーネット『秘密の花園』(西村書店)、ウェストール『遠い日の呼び声』(徳間書店)、金原との共訳書にブラッドベリ『バビロン行きの夜行列車』(ハルキ文庫)、ゲイマン『アメリカン・ゴッズ』(KADOKAWA)など。

上記内容は本書刊行時のものです。