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〈無調〉の誕生 柿沼 敏江(著/文) - 株式会社音楽之友社
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【利用不可】

〈無調〉の誕生 (ムチョウノタンジョウ) ドミナントなき時代の音楽のゆくえ

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A5判
336ページ
価格 3,800円+税
ISBN
978-4-276-13205-4   COPY
ISBN 13
9784276132054   COPY
ISBN 10h
4-276-13205-3   COPY
ISBN 10
4276132053   COPY
出版者記号
276   COPY
Cコード
C1073  
1:教養 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2019年11月22日
最終更新日
2020年1月24日
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書評掲載情報

2021-02-20 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 栗原裕一郎(評論家)
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紹介

「現代音楽」とセットで語られることの多い「無調」は実在したのか? 「無調」という言葉に作曲家や音楽評論家は何を託そうとしたのか? 古典的な調性システムから離れた音楽は、時間軸をどこに求めたのか? 「調性の崩壊」という言葉でくくられがちな20世紀以降の音楽に本当は何が起こったのか? 音の縦の関係性、すなわちピッチと和声、音階や旋法に関連する問題を中心に、音楽史の再考を迫る画期的な論考。書き下ろし。「調性がなく、ひたすら難解で、聴くと頭が痛くなる音楽が現代音楽だ」と思い込んでいる人にこそお勧めです!

目次

プロローグ――ドミナントなき時代

第一章 「無調」とは何だったのか
無調という語/無調とは?

第二章 シェーンベルクを読み直す
『シェーンベルクの誤り』/シェーンベルクの信念/単一調性(モノトナリティ)/調性とジェンダー/ゲーテの原植物

第三章 無調と調性の間
浮かび上がる調性/一二音音楽における調性

第四章 無調と調性の修辞学
非芸術~狂気/調性の死/不気味/自由・解放/無調と革命/誠実さと倫理

第五章 クルシェネクの「転向」(無調の政治学1)
政治的芸術/《カール五世》への道/アドルノとの往復書簡/《カール五世》と一二音技法/独自の一二音技法/一二音技法と調性/ローテーションと旋法/避難所としての一二音技法

第六章 もうひとつのダルムシュタット(無調の政治学2)
前衛音楽批判/結節点としてのゼロ時/ヘルマン・ハイスと一二音技法/ヘルベルト・アイメルトと無調音楽/ゴリシェフ、フーイファールツとセリアリズム/創られたウェーベルン像

インテルメッツォ――ニコラス・ナボコフと「無調」

第七章 隠れた水脈――八音音階という魔術
半音階と全音階の狭間/全音音階/オクタトニック(八音音階)/媒介する音階/オクタトニックと半音階/移高の限られた旋法/オクタトニックと日本の現代音楽/オクタトニックとスペクトル、ポスト・スペクトル楽派/オクタトニックと実験音楽、ジャズ

第八章 調性の回路
調性批判――シベリウス問題/人々のための現代音楽――ハンス・アイスラー/軽いクラシック(あるいはダダとしての調性)――クルト・シュヴェルツィク/「ポスト」の美学(あるいは追伸としての音楽)――ヴァレティン・シルヴェストロフ

第九章 音律と倍音がつくる世界
一二平均律からの逸脱――三分音と四分音/純正律にもとづく調性――田中正平、ハリー・パーチ/倍音への眼差し――シュトックハウゼンとリゲティ/スペクトル音楽と「無調」/倍音の広がり――テニー、ラドゥレスクほか

第十章 時間の軌道
時間軸をつくるもの/物語の痕跡――シェーンベルク、ペンデレツキ/エピソード的な時間――サティ、ストラヴィンスキー、フェルドマン/時間の幾何学――セリアリズムとスペクトル音楽/循環する時間――パッサカリアと平方根リズム構造

エピローグ――中心のない現代

あとがき

参考文献

著者プロフィール

柿沼 敏江  (カキヌマ トシエ)  (著/文

カリフォルニア大学サンディエゴ校博士課程修了。ハリー・パーチの研究で博士号取得。著書:『アメリカ実験音楽は民族音楽だった』(フィルムアート社)。主要訳書:ジョン・ケージ『サイレンス』(水声社)、『アラン・ローマックス選集』(みすず書房)、アレックス・ロス『20世紀を語る音楽』(みすず書房、ミュージック・ペン・クラブ賞)、同『これを聴け』(みすず書房)など。2019年3月まで京都市立芸術大学音楽学部教授。現在、京都市立芸術大学名誉教授。

上記内容は本書刊行時のものです。