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出版者情報
「ピーターと狼」の点と線
プロコフィエフと20世紀 ソ連、おとぎ話、ディズニー映画
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2021年6月25日
- 登録日
- 2021年6月1日
- 最終更新日
- 2021年7月15日
書評掲載情報
2021-11-20 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 栗原裕一郎(評論家) |
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紹介
春休みの宿題として、「ピーターと狼」のワークシートに取り組む中学生の「僕」。
そこへ突然、人形のような「道化師の妻」が現れ――!?
彼女に手渡された、輝くように明るい水色の本。
「ピーターと狼」の知られざる成立事情が、いま明かされる――
あの陽気でひねりがきいたメロディを、すぐに口ずさめるという人も多いでしょう。1936年にプロコフィエフが作ったこの曲は、作曲直後からソ連だけでなく外国でも大きな評判を呼びました。今も、子どものためのオーケストラの定番曲です。
この作品は、世界史とプロコフィエフの人生が交わる、一度きりの特別な「点」でした。
そこにどんな歴史があったのか?
その答えを探すため、ロシアからアメリカ、ヨーロッパ、ソ連へと移動したプロコフィエフの創作人生を追います。
キーワードは3つ。
「ソ連の陽気で勇敢な少年」~劇場監督サーツとの出会い、スターリン期の文化~
「パリ経由のロシアの昔話」~ディアギレフから学んだ民話の使い方~
「アニメとディズニーに近づく楽曲」~ディズニー本人に作曲家がアピールした「アニメ化」~
第一線の研究者が、ファンタジックな物語仕立てでお届けします!
目次
~プロローグ~
◆序
◆第一章 ソ連 ~劇場監督サーツとの出会い、陽気で勇敢な少年~
一度きりの特別な作品
ロシアからの旅立ち
アメリカからヨーロッパへ
ソ連への帰国
監督ナターリヤ・サーツ
モスクワ児童劇場の立ち上げ
サーツ、中央児童劇場の監督になる
「交響曲」ではなく「おとぎ話」
わずか二週間での作曲、そして初演
もうひとつの子どもの交響曲「音楽家ヴォロージャ」
検閲を通らなかった「赤ずきん」の台本
スターリンが推奨したおとぎ話
ピーターは勇敢なピオネール(共産党の少年団員)
笑いにみちた「赤ずきん」と「金の鍵」
ソ連が求めたピーターの陽気さ
プロコフィエフとサーツのその後の悲劇
~アントラクト~
◆第二章 ヨーロッパ~パリで気づいたおとぎ話(スカースカ)の魅力~
はじめてのヨーロッパと、ロシア・バレエ団の衝撃
あこがれのディアギレフとストラヴィンスキー
「ロシア的な音楽」を求められて…
冗談のうまい道化師
プロコフィエフがアヒルにかけた魔法
おとぎ話の不思議な鳥、アヒル
結婚、そしてパパになる
猫におそわれた小鳥事件
ストラヴィンスキーに初勝利
型破りな「狐」に学んだ遊び
『ロシア民話集』の動物たち
木がある風景
世界で通用するあたらしさがほしい
「小象ババールの物語」につながる線
~アントラクト~
◆第三章 アメリカ~ディズニーのアニメーションがお手本?~
ウォルト・ディズニーに会う
世界に広まるディズニー版「ピーターと狼」
大衆に近づく道と映画に向かう道
「三つのオレンジへの恋」にひそむポップさ
ハリウッド女優からの依頼
トーキー映画の最新技術に魅せられて
ミュージカル・コメディ「陽気な連中」とジャズ
「陽気な連中」から「音楽家ヴォロージャ」へ
「狼なんかこわくない」から「ピーターと狼」へ
めざせディズニー、追い越せディズニー
楽器を弾く動物たち
イメージをぴったり伴奏するという理想
映画音楽「キジェー中尉」と「皇帝ドゥランダイ」
空想上のアニメーションのための音楽
時間と空間を超える音楽
~エピローグ~
あとがき
[付録]「ピーターと狼」の録音~日本、欧米、ソ連・ロシア
主な参考文献
写真・図版出典一覧
上記内容は本書刊行時のものです。